23.決着/神楽
サドとは、朝の決闘の申し込み以外に言葉を交わす事はなかった。
六限目の授業が終わると私はサドに屋上に来るように伝えた。
教室にはまだ残ってる生徒がいて決闘どころじゃなかったから。
私はサドよりひと足先に屋上へ向かうと、少し肌寒い気温に身震いをした。
そう言えば、ここでヅラに慰めてもらったっけ。
なんだかとても遠い昔のように思えた。
風は少し強めで、制服のスカートをひるがえすも、私の足はシッカリとアスファルトを踏みしめていて、もう簡単には飛ばされる事はなかった。
逃げ出さない、立ち向かう。
私は仁王立ちでサドが来るのを待っていた。
それから少しして、屋上のドアが勢いよく開いた。
私はドアよりだいぶ遠い位置にいてよく見えなかったけど、あれがサドだと確信していた。
もし違ったら裸で校庭10周してやっても良いと思っていた。
それくらいに確信めいていた。
柔らかい髪色の男は下を向いていて、顔は見えないけど私の方へと一直線に歩いてくる。
そして、私の前でピタリと止まった。
「決闘なんて言う割には、泣きそうな面してんな」
そう言った男はやっぱりサドで、言葉は決して優しくないけど普段のどSっぷりは全然見受けられなかった。
「決闘はオマエとのじゃない。私自身アル」
そう言った私にサドは噴き出して笑った。
「青春ごっこ、ご苦労さん」
いつもなら、ここで蹴りの一発や二発入れてるところだけど、今日はケンカをしにきたんじゃない。
ケリをつけにきた。
何を言われても怒らない、泣かない、ブチのめさない!
その三か条は心に決めていた。
「私、オマエにどうしても言っておきたい事があるネ」
「昨日の事なら誰にも言わねぇから安心しろィ」
そう言ったサドは屋上を囲うフェンスにもたれかかり、ガシャンと乱暴な音を立てた。
「昨日の事も前の写真も……ちゃんと話したいアル」
サドはポケットに手を突っ込んでずっと下を向いていた。
表情なんて見えなくて、やっぱり怖さはあるけど、仲直りがしたいから。
「私、ヅラの事をいいなって思ったアル。だから、昨日あんな事になって、それをオマエに見られてしまったネ」
「ハァ?俺に言ってどうすんだよ。桂の野郎に言や良いだろ」
「違うネ。オマエに私は言いたいアル」
何度も頭の中でサドに話すデモンストレーションを繰り返してたのに、結局本人を前にすると上手くまとまらないでいた。
「でも、ヅラの事は好きじゃないアル。良い奴だけど、好きじゃないネ。昨日、オマエに勘違いされたかもしれないけど、キスしてないアル。付き合ってもいないアル」
「……あのなァ」
サドは溜め息混じりに私に言った。
多分、うんざりしてるんだろうな。
私だってこんなにオロオロするとは思ってもみなかった。
サドは頭を掻きながら何か言いたそうにしてた。
でも、いつまでも何も言わないから、私はバラバラの話をサドに続けて喋った。
「写真の事も誤解アル。どいつとも付き合ってもないし、好きとかじゃないし、どの写真もわざとらしく撮られたアル。だから、いっ、淫乱とかじゃないネ、わたし……」
サドは何も答えなかった。
ちゃんと伝わってるのかすごく不安で、だけどふとした瞬間に目が会うから、多分話は聞こえてるんだと思う。
「それでオマエに言いたいネ」
サドは顔を上げると私を見た。
その顔が何となく弱々しく見えて、私まで弱くなってしまいそうだった。
だけど、自分に負けちゃダメなんだ。
私はサドに伝えたい事があるんだから。
「私はオマエに言われた事で苦しくなって、泣きたくなって、簡単に仲直り出来なくて苛々したアル。だけど、私……」
「やっ、ちょっと待て」
サドが急に私にストップをかけた。
良い感じに来てたのに、急に止められて少し不愉快だった。
「なにアルか?」
「いや、多分だけどな、チャイナが言おうとしてる事、分かっちまった」
「えっ」
もしかして、エスパー?
それとも、サドも私と同じ気持ちアルか?
「その前に俺の話も聞いてくれ」
サドがそう言ったから、私は自分の話は諦めて聞いてあげる事にした。
何を話されるか分からないせいか、自分が話してる時よりも緊張していた。
「あの事件は身から出た錆びだろ、なんて思ってた。その癖、被害者面して……なんか分かんねぇけど、そんなチャイナを俺はムカつくなんて思ってた。俺は勝手にお前のイメージを作り上げてたんでさァ。男に興味ねぇって」
サドがそんな風に思ってたなんて知らなかった。
確かに私は普通の恋愛が出来ないのかもしれないけど……そんな事を思って目の前のサドを見ていたら、急に恥ずかしくなった。
改めて、私はコイツが好きなんだと実感した。
「そんなよく分かんねぇ苛立ちからチャイナにあぁ言ってしまって、だけどな、俺は悪くねぇって思ってた。俺は批難出来る立場にあるなんて思ってた。お前の気なんて知らずに」
サドは私を見つめながらずっと話していて、少しずつ2人の間の壁が薄くなっていくのが分かる。
全く不透明で分厚かった壁が、今やっとお互いの姿を映すくらいに透けてきて。
あと、もう少しでわだかまりは無くなる。
そんな風に思えた。
「チャイナが俺のせいで……俺に関わったせいであの騒動に巻き込まれたなんて知らなくて、知った時にはもうチャイナをズタズタに傷付けてて、もう戻れねぇんだろうなって思ってた。実際に桂とお前がちゅうしてると思っ……」
「ちゅう?オマエ、キスって言えないアルか!」
真剣な話だったのに、聞こえてきたあまりにもふざけた単語に私は思わず口を挟んだ。
「な、なんだよ!ちゅうの何がダメなんだよ!言ってみやがれ!」
「高校生にもなってちゅうって何アルか!おかしくって私……プハハハ」
お腹を抱えて笑う私をサドは睨み付けてたけど、全然私は怖くはなかった。
うん。もう、全然怖くなかった。
「笑ったままでいいから聞けよ。俺のせいで嫌な思いをしても、お前は今までみたいに戻ろうとしてくれてんのに、俺はそれを変な意地で突っぱねてた。気付いた時には手遅れで、チャイナは俺との関係を捨てたんだと思ってた」
「捨てた?」
「あぁ。だから、昨日は眠れなかった。だってそうだろ。あんな現場見ちまって。それで俺は分かった。自分の本心が。だから、もう俺もチャイナと元の距離に戻る事を諦めた」
「じゃあ、なんで決闘を受け入れたアルか?」
サドはもたれていたフェンスから体を離すと、一歩私に近づいた。
見上げる顔は何を考えてるか分からなかった。
だけど、私自身はきっと多分顔が真っ赤で、緊張してるのがバレバレだったと思う。
「そんなの決まってんだろ」
アレ?私が言いたかった事をもしかして先にサドに言われてしまうアルか?
「ちょっと待つネ」
私は今日、自ら決闘を申し込んだ。
それは私が私自身でケリを着ける為に。
「私にその先を言わせてヨ。きっと同じだから」
私は普段ならこんな事は言わない。
相手がサドなら尚更で。
だけど、私は口にする。
「謝らなくても、私はオマエを許してやるヨ」
ようやく言えた。
あんなに傷つけられたし、本当ならさっさと謝って欲しかったけど……仲直りしたいから。
だから滅多にないけど、私から折れてやろうと思ってた。
仲直りしたいなんて口にするのはさすがに照れるから、こんな言い方ではあるけど、2人の間の壁が崩れ去ったらいいな。
そう思って言ったのに。
「ハァ?」
「だから、許してやるって言ってんダロ。お前は謝って来ないし、隣の席なのにギスギスしてるし。なんかもう、疲れたアル」
サドは冷めた目で私を見下ろしていて、2人の間の壁は崩れ去るどころか、益々分厚くなったのが分かった。
なんでだヨ。
「なにアルか。誰かを許すことってスゴく大変な事アル。私はそれを頑張ったネ。何か不満があるアルか?」
「だったら、てめぇは心が広いのか?」
「へ?」
「心が広いかって聞いてんだよ」
このサドを許すんだから、私の心はきっとこの宇宙より広いはず。
だから言った。
「今なら何でも受け入れられるヨ。それくらい広いアル」
「じゃあ、目を瞑って、歯を食いしばれ!」
何でもって言ったけど飽くまでもそれは喩えで、無意味に殴られるなんてやっぱり私には受け入れられそうにもなかった。
「やっぱり、それは無理アル!」
「だったら目だけ瞑ってろ」
ワケが分かんなくて、言われるまま目だけを瞑ったら、すぐ近くにサドを感じた。
それに私は目を開けた。
目の前には見慣れた“S”のマークがあって、耳にはドクドクと激しい鼓動が聞こえていた。
体はすっごく暖かくなってきて、背中に回されてる腕が私を締め付ける。
私、サドに抱きしめられてる――!?
それが分かった途端、膝に力が入らなくなって崩れ落ちそうになった。
そんな私をサドは更に抱き締める。
「許せとは言わねぇ。だけど、謝る気もねぇから」
いつもよりもずっと近くで聞こえた声は掠れていて、どこか自信なさげなのに、ムカつくくらい私の心臓を跳ね上げさせた。
「俺はもう、元の距離になんて戻れねぇ。お前と今まで以上を望んじまってんだ」
サドに望まれてる“今まで以上”を私は叶えてあげる事が出来るかな。
緊張していて言葉は何も出ないから、せめて体で伝えたかった。
私もオマエが好きだって。
あの後、私達は見廻りに来た風紀委員に見付かってスグにバラバラになった。
家に帰ってからも全然落ち着かなくて、明日学校でどんな顔をしたら良いだろうなんて思ってたけど、兄ちゃんの買ってきたジャンボシュークリームを食べたら、意外にもあっさりと忘れてしまった。
次の日の学校に行く時になって、私は漸く思い出した。
なんだか落ち着かない私はいつもより時間をかけて洗面すると、前にお妙ちゃん達と買いに行った香水を振り掛けた。
サドに会ったらなんて言おう。
それより、あんなことをして来たんだから、サドも私の事を――
私は舞い上がりそうな気持ちを抑えた。
だって、ハッキリと言葉で言われたワケじゃない。
私はドキドキしながら学校へ向かった。
教室に入る前にそれは居た。
ニヤニヤした顔のゴリにジミーに他の風紀委員。
昨日の風紀委員の奴がチクったに違いなかった。
3zの教室の前に集っていて、私は恥ずかしいようなムカつくような何とも言えない気持ちになった。
私はそいつらを無視すると教室に入って、いつもの席に座った。
サドは私をチラッと見て、スグに顔を伏せた。
恥ずかしいのは分かるけど、挨拶くらいあっても良いのに。
私は小さな声でいった。
「おはよ」
サドはそれにはヒラッと軽く手を挙げて返事しただけだった。
遠巻きでこのやり取りを見ていた風紀委員はゲラゲラ笑いながら私に言った。
「総悟の奴、昨日一睡も出来なかったんだぜ!アハハ、布団に入ってナニしてたんだろなぁ!」
「委員長!それはいい過ぎですって!プププ、隈が酷くて顔上げれないなんてねぇ」
これには顔を伏せてたサドもぶちギレて、結局元気に追い回していた。
散々追い回してジミーをボコボコにしたかは知らなかったけど、チャイムが鳴ると教室に戻って来た。
その時、サドの顔を見たけど隈なんて全然気にする必要がなく見えた。
「顔色いいじゃん。隠すナヨ」
「なぁ、今日は俺から決闘申し込む。放課後、会議室に来てくれ」
「う、うん」
そんな事があって、私は今日一日、授業が全く手につかなかった。
昨日のサドもそうだったんだろうか。
じゃあ、おあいこかな。
放課後、私は何度も鏡で髪型や顔を確認すると、緊張しながら会議室へと向かった。
昨日の今日って事もあるけど、もしかしたら昨日のアレは無かった事に――
そんな事を言われるかもしれないと私は覚悟を決めていた。
「あれ、まだ来てないアルか?」
会議室は相変わらず薄暗く、部屋を隠すようにかかっているカーテンが光を遮断していた。
私は電気を点けようか迷ったけど、カーテンを少しだけ開ける事にした。
「先に来てたのかよ」
ドアが開く音とサドの声に振り向けば、午後の太陽の光が丁度サドを照らしていた。
「なんでここアルか」
サドはドアを閉めると鞄を長机に置いた。
そして私の隣へ立った。
「ここなら、俺もリラックス出来るからな」
その言葉からもサドの緊張が伝わって来た。
窓の外には中庭が見えて、帰宅する生徒や清掃活動をする生徒、様々な生徒がいた。
私達はここで何する生徒だろう。
相変わらずの緊張が私を震えさせていた。
「初めてお前を見た時、大人しそうだって思った」
突然、サドがそんな事を言った。
初めて見た時?
きっと、それは私がサドの隣の席になった時だろう。
「私もオマエがどSなんて思わなかったアル」
笑いながら言った私とは正反対に、サドの声色はすごく落ち着いていた。
「深く知れば知るほど、チャイナとぶつかればぶつかり程、初めの印象とは違うって分かった。だけど、それが俺を――」
サドはそう言って私を見た。
その眼差しにいつかの日を思い出した。
トクンと一際大きく心臓が音を立てて、私は身体中が痺れたような感覚に陥った。
息が上手に出来なくて、私は思わず窓を開けた。
すると、一気に風が入りこんで、せっかく来る前に綺麗に直した髪も乱れてしまった。
だけど、息が詰まりそうなのには変わりなく、カーテンから透けて見えるサドのシルエットに更に苦しくなる。
もういっそのこと、呼吸なんて止めてしまってヨ。
「昨日……いや、俺はもっと前から言いたかった。ずっとチャイナの事が好きだったって。昨日、言葉より先に体が動いて自分でも驚いた。よっぽどお前の事が好きなんだってな」
揺れるカーテンが落ち着いて、私とサドを遮るものは何も無くなった。
止まってしまったかと思われた呼吸もなんとか大丈夫で、私は今日こそ返事をしなきゃと思った。
サドが言ってくれたから、だから私も今まで以上に踏み出す一言を言いたかった。
「私もずっと好きだったアル」
泣いてしまいそうになった。
悲しいからとかじゃなく、なんだろう、ずっと言いたかった事を口に出来た喜びなんだろうか。
見つめる先のサドは照れ臭そうに笑って、私の額に軽くデコピンをした。
私も微笑みながら、仕返しに脛を軽く蹴ってやった。
するとサドは私の左頬を軽く摘まんだ。
私もそれと同じ事をしてやろうと、サドの左頬を摘まむと見せ掛けて鼻を摘まんだ。
「ハハハ」
「アハハ」
きっと、次は右頬を摘ままれるに違いない。
私は先回りをしようと、サドの空いてる手と私の手を繋げたのだった。
「これでもう何も出来ないダロ」
するとサドは私の頬から手を離した。
だから私もサドの鼻から手を離した。
そして、繋がってる手だけになって恥ずかしくてそれも離した。
「…………」
「何やってんでィ、俺ら」
本当に何やってんだろう。
告白なんてするのは初めてで、こんな時どうすれば良いか分からなかった。
多分、サドだって同じだから、2人でこんな馬鹿みたいなことをやってるんだろう。
「でも、楽しいヨ。お前とバカやるの」
これは私の本心だった。
サドとの言い合いやケンカ。
今までたくさんぶつかって来たから分かる。
本当に嫌なら無視してる。
相手をするのも愛があるから。
「じゃあ、俺とバカじゃねぇ事、一緒にやるのも楽しいって思えるか?」
「そんなの、やってみなくちゃ分かんないヨ」
じゃあ、やってみるか。
サドがそう言って窓もカーテンも閉めてしまった。
それには、もう大丈夫だなんて思ってた呼吸は、瞬く間に元に戻り私をまた苦しめだした。
サドの表情は見えずらくて、何を考えてるか想像が出来なかった。
だけど、私の体は何かに期待していて、逃げ出してしまおうなんて全く頭に無かった。
それをサドも分かってたのか、それともこんな雰囲気には当たり前なのか、サドは私の肩に手を置いた。
そして、少し屈んで私の顔に自分の顔を近付けた。
もうこの時点で何が起きるか分かってた。
サドの目は熱っぽく、その目に見つめられてる事が恥ずかしかった。
だから私は目を瞑った。
すると、サドの呼吸が際立って聞こえた。
なんだ、サドも苦しそうネ。
私だけじゃなかったんだ。
サドの熱い息が顔に掛かったかと思ったら、私の唇に軽く何かが触れた。
そしてスグに離れた。
それがサドの唇なのは明白だった。
だって熱いんだもの。
ヤケドするくらいに。
うっすらと私が目を開けると、サドは私の眼鏡を外してしまった。
「今は必要ねぇだろィ」
サドは片手を私の頭の後ろへと回すと、また顔を近付けた。
だけど、さっきよりも躊躇いはなく、私の唇に一直線だった。
軽く下唇を吸われて私は死んじゃうかと思った。
さっきのキスとは全然違う。
サドが男の子なんだって、改めて感じるようなキスだった。
「んふっ」
思わず声が漏れて、私は力が奪われてる体に少し怖くなった。
このまま熱で溶けてしまいそう。
溶けちゃったらどうなるんだろう。
サドと一つになるアルか?
私の奥の方まで深く入り込むサドは何を考えてるのかな。
私は微かに残る思考でそんな事を考えてた。
どれくらい唇を引っ付け合ったのか。
窓の外もすっかり暗くなり始めていて、私はサドの腕の中に抱き締められていた。
「付き合ってくれるよな」
散々、人の唇を支配していた人間には思えないくらい、サドは自信無さげに言った。
意地悪く答えてやろうと思ったけど、ここは素直に答えてあげた。
「もちろんヨ。でも、浮気は許さないからナ」
「バーカ。誰がするか」
色んな事はあったけど、正直そんなこと全部忘れちゃうくらいに今、幸せだった。
隣の席のムカつく奴が私の恋人になるなんて思ってなかったけど、私にはサドしかいないから。
好きなのはサドだけだから。
だから、どんなにムカついたってこの気持ちは変わらないはず。
「そろそろ帰るか」
「そうアルナ」
2人で手を繋いで歩く廊下は、いつもと変わらないハズなのにすごく新鮮に映った。
まだ、季節は夏前で、これから受験の事や色々と大変な事もあるだろうけど、2人ならバカやりながら乗り越えられる。
そんな風に思えてならなかった。
私はこれからの日々を今まで以上に大切に過ごそう。
そんな事をこの右手に誓った。
2011/6/9
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