2016 Request

セーフティーゾーンの続き

神楽と銀時の関係を知らない新八

お妙との事を思い出し、服を買いに行こうと言う銀時の誘いを断る神楽(新八と行く)

神楽を女性扱いしはじめる新八と絡んでくる沖田、その他男共

銀時の嫉妬に気付かない神楽(最終的に銀神)

R18


続・セーフティーゾーン/銀神(リクエスト)

 

 朝のソファーの上。銀時の膝の上には神楽が居て、二人は向かい合って唇を重ねていた。昨日も体を結んで、先ほども共にシャワーを浴びた。そのついでとでも言うように互いの性器を舐め、結局二回も銀時が神楽に注ぎ込んだ。それでもまだ離れる事が出来ないと、付き合ったばかりの二人は新八が来るギリギリの時間まで熱を求めあっていた。

「お前さ、またおっぱいデカくなったんじゃねぇ?」

 そう言って銀時が服の上から神楽の乳房を揉めば、確かにそこにはむにっと形を変える乳房があった。神楽は最近少しチャイナドレスがキツくなったと感じていたのだが、まさか胸が成長したとは思ってもみなかったのだ。

「なぁ、神楽。来週、依頼料が振り込まれたら……」

 銀時が何かを言いかけた時だった。

「銀さん、神楽ちゃん。おはようございます」

 新八が玄関の戸を開けて入って来たのだ。神楽は慌てて銀時の膝の上から下りると意味もなく怒鳴ってみせた。

「どぉわ! だから、お前はモジャモジャなんダヨ!」

 新八には秘密にしていたのだ。神楽と銀時、二人の関係のことを。知れば変に気を遣われるだろうとの銀時の意見だ。神楽もこれには賛成であった。万事屋は万事屋としてしっかりやって行きたかったのだ。なので、少しもそう言った素振りを見せずに二人はやっていた。

「銀さんも神楽ちゃんも朝から何なんですか! 最近、お登勢さんからも苦情が来てるんですよ。夜中までギシギシうるさいって」

 その言葉に銀時も神楽も顔を赤くすると、急いで新八から顔を背けた。

「少しは仲良くしてくださいよ」

 お前が知らないだけで、体を繋げるほど仲良いんだけどナと神楽は思っていたが、確かにわざと喧嘩する必要もないかと思っていた。

「そ、そうだよな。確かに俺も大人げなかったわ。だから、神楽。今度、服買いに行かねえか?」

 なんの芝居だろうか。神楽はこちらを見ている銀時の様子を窺ったがよく分からなかった。新八の前でわざと争うことは止めようと言う合図なのだろうか。半開きの口と額の脂汗を見ても神楽には、銀時の思惑がよく分からなかった。それに――――――嫌なことを思い出してしまった。何もなかったとは言え、銀時とお妙が二人で買い物へ行き、同じように着物を選んで……自分が一番だとわかっていても嫌なくらいヤキモチを妬いてしまう。どことなく気分が乗らない。それなのにキツくなり始めたチャイナドレスは存在するのだ。

「……いい。銀ちゃんとは買いに行きたくないネ」

 また新八がギャーギャー言うかと思ったが意外にあっさりとその言葉を受け入れると、反対にこう言ったのだ。

「じゃあ、神楽ちゃん。僕と行こうよ。ちょうど新しい着物が欲しい所だったんだ」

 神楽は先ほどとすっかり変わった表情をしている銀時を見ながら頷いた。

「うん、そうするアル」

「それなら今日行こうよ! 銀さんと違って振込みを待たなくても、僕はお金持ってるから」

 確かに銀時の財布はすっからかんだ。そう思うと新八に買ってもらった方が良いのかもしれないと神楽は新八と買い物へ行く事に決めたのだった。

 

 それからすぐに家を出た神楽と新八は、いつも神楽がチャイナドレスを買いに行くアジア街へと向かった。

「神楽ちゃん!」

 後ろをちんたらと歩いている新八がまた叱るように名前を呼んだ。

「なんダヨ」

 そう言って振り返り立ち止まれば、新八は神楽の腕を掴んだのだ。

「この辺は治安が悪いから、あまり一人で歩かない方が良いよ」

 どうやら新八は神楽の心配をしているようなのだ。つい先日までの態度とは随分と違う新八に神楽は思わず尋ねた。

「なんでそんなこと言うアルカ?」

 すると新八は顔を赤くし、神楽の腕を取って歩きだしたのだ。その様子に新八もこの私の魅力にようやく気付いたのだと神楽は更に胸を張った。

 その後、結局神楽は真っ赤なチャイナドレスを買ってもらうとさっそく着て帰る事にしたのだ。窮屈さも感じず、サイズもぴったりのものだ。スリットもどことなく大胆に入っている気がする。とにかく神楽は大人っぽいと気に入っていた。早く銀時に見せたくて駆け足で急いだ。後ろでは相変わらず新八がちんたらと歩いている。神楽はそちらへ振り返ると新八に叫んだ。

「先に帰ってるアル!」

 そして前を向いたと同時に何かとぶつかった。顔面をぶつけた神楽はよろめくと尻もちをついた。

「うぉおお! 折れたぞ! これは折れた」

「兄貴! 大丈夫か。おい、ねえちゃん、このオトシマエどうつけてくれんだ!」

 神楽は上から降って来た声に聞き覚えがある事に気が付いた。確かあれはお妙が襲われた日だ。神楽の腹を殴り、お妙の着物を脱がそうとした連中であった。神楽は急いで立ち上がるも、すぐにタックルされ肩へ担ぎ上げられた。

「離せヨ!」

 しかし、神楽は腰をがっちりとホールドされると、更に尻を撫でられてしまった。気持ち悪いと暴れるも男共もそう簡単に神楽を離さない。男共は路地裏へ神楽を連れ込むのだった。

「活きが良い方がやりがいもあるってもんだ」

「神楽ちゃんを離せェェエ!」

 神楽の誘拐に気付いた新八が男共に飛び掛かるも、さすがに新八一人で数人を相手するのは不利である。新八が戦っている間にも神楽は変なクスリを嗅がされて体に力がはいらなかった。

「カレシの前で貫通させるのもなかなか良いかもな」

 連中は下品でおぞましい事を言って笑っていた。神楽は朦朧とする意識の中、ただひたすら銀時の事を考えていたのだ。助けに来てと。すると次の瞬間、誰かが新八の助太刀に入り、男共はあっさりとぶっ倒れた。神楽は地面に転がりボンヤリとした視界に銀時の姿を探した。こちらへ近付いてくる足音。新八の草履の音ではない。神楽は銀時が来てくれたのだと嬉しくなると、こちらを覗き込んだ男の首に抱き付いた。

「来てくれたアルナ……大好きヨ」

 新八の前だろうがもうどうだって良かった。神楽はそのまま首を伸ばして口づけをすると、ぐたっと倒れるのだった。

 

 次に目が覚めたのは、布団の上であった。どうやら薬品を嗅がされたせいで気を失ったらしい。時刻は既に零時を回っていた。まだ多少頭がぼーっとするが、布団の上に体を起こすと隣の布団で眠る銀時を起こした。

「なぁ、銀ちゃん」

 すると銀時は飛び起き、神楽にぶつかる勢いで迫った。

「もう平気か?」

 神楽は心配する銀時にたまらず背中へ腕を回した。

「ぎんちゃあん……」

「だから《一緒に》つっただろ?」

 こんな事なら最初から銀時と一緒に行けばよかったと後悔した。それでも神楽は傷ひとつ負っていない。それもこれも銀時が助けに来てくれたお陰である。

「あっ、そう言えば新八は何も言ってなかったアルカ?」

 思わず駆けつけた銀時へキスをしたのだ。しかし、銀時は首を傾げながら「いや」と口にした。もしかするとあの時、新八にはバレてなかったのかもしれないと神楽は安心すると、シャワーでも浴びに行こうと布団から出るのだった。

 

 翌日、新八が朝来たかと思えば、神楽を物置へ連れ込み声を潜めてこう言った。

「神楽ちゃんも嫁入り前なんだから、外でああいう事はしたらダメだよ!」

 これは昨日、助けに来た銀時へキスをした事について言っているのだろう。銀時へ何も言いはしなかったが、やはり新八は気付いていたようだ。神楽は頬を赤らめるとフンっとソッポを向いた。

「お前に関係ないダロ!」

「……確かに関係ないかもしれないけど。でもまさか二人が付き合ってたなんて意外って言うか……知らなかったな」

 神楽は他の人には秘密だと新八に約束させると物置から出た――――――ところで万事屋の電話が鳴ったのだった。居間にいる銀時が受話器を上げた、その様子を神楽は居間と廊下の境で見ていた。するとこちら見た銀時が一瞬険しい表情をし、何だろうかと思っていると受話器をこちらへ差し出したのだ。

「私に電話ネ?」

 神楽は何も言わない銀時に代わって電話に出ると受話器を耳に押し当てた。

「もしもし?」

 目の前で椅子に腰掛けた銀時を見ながら電話の向こうに話し掛けた。

「てめー、昨日のこと説明しろ」

 真選組の沖田の声であった。あの沖田がこうして電話を掛けてくるなど初めてのことだ。それに昨日の事とは一体何だろうか。神楽は意味が分からないと首を捻った。

「昨日って何のことダヨ」

「まさか忘れたわけじゃねぇだろーな」

 そう言われても昨日、沖田とは道ですれ違いもしていない。人違いではないかと思った。

「あんまり意味分からんこと言ってると電話切るからナ!」

 神楽が苛立ちながらそう言うと沖田は急に笑い出したのだ。

「てめーから俺を求めたことを認めたくねぇってことか?」

「なっ!?」

 神楽は全く身に覚えがないのだが、何故だかドキッと心臓が跳ねた。そのせいか顔が熱くなる。神楽は銀時に背を向けると小声で言った。

「冗談言うなら笑える冗談を言えヨ。なんのつもりアルカ」

「なんでィ。てめー……あ、分かった。今からそっちへ行くから直接説明してくれ」

 今から沖田がこちらへ来るらしい。神楽は背後の銀時を軽く確認すると明らかに不愉快そうな顔をしており、余計なトラブルを持ち込まれるのはゴメンだと思った。

「待つアル。私が行くネ。今どこダヨ?」

 神楽は沖田が駄菓子屋に居る事を聞き出すと、電話を切って慌てて万事屋から出て行こうとした。だが、銀時が後を追って来て玄関で腕を掴まれたのだ。

「神楽。沖田くん、何だって?」

 焦った。本当の事を言えば厄介事になりそうだ。神楽は咄嗟に嘘をつくと銀時の腕を引き剥がした。

「決闘の申し込みアル。駄菓子を賭けて勝負しようって……」

 そこで神楽は急に唇を塞がれてしまった。居間には新八がいる。それにも関わらず銀時は神楽を抱き寄せキスをしたのだ。あまりにも急の事に何よりもまず驚いたのだが……その強引さを嫌いにはなれなかった。唇を吸われ、舌を撫でられる。神楽の身体から力が抜けていき、頭の中もふわふわとして来た。沖田の所へ向かう事や新八の存在。なんだかどうでもよく思えて来た。その時だった玄関の戸がドンドンと叩かれた。すると銀時は神楽を物置へ引き込み、入れ替わるように新八が玄関へと来た。新八は銀時と神楽の姿が見えない事には気付いたが、まさか物置の中で口づけ合っているなど考えもしていないようだった。

「あれ? 神楽ちゃんと銀さん、出てったのかな?」

 そう言いながら新八が戸を開けると、痺れを切らした沖田が万事屋まで来てしまったのだった。

「チャイナ娘はいるか?」

 その声を神楽は激しいキスを受けながら聞いていた。そうこうしている内にスリットから銀時の手が入り込み、いつもよりも強引に股を開かせる。戸一枚隔てた向こうにいる沖田と新八にバレやしないかと緊張した。一言『やめて』と言えば良いのだろうが、声を出せばきっと神楽が銀時とここに居る事がバレてしまうだろう。二人が行っている行為のせいでそれだけは絶対に避けなければならないと、神楽は銀時の手を静かに受け入れる事にしたのだ。だが、そんなのは建前である。本当は銀時の無理矢理とも思える指遣いに言葉が出ないだけであった。呼吸が荒くなる。壁に押し付けられ銀時の体にしがみつきながら、神楽は勝手に動く腰になんて自分はダメな子だろうかと思っていた。

「あれ? 神楽ちゃん。いつもより興奮してね?」

 銀時が耳元でそう囁やけば、嫌になるくらいいやらしい汁が溢れでた。そのせいで下着の中に突っ込まれている銀時の指がピチャピチャと音を立てて動く。これでは沖田と新八にバレてしまうかもしれない。神楽は必死に何か別の事を考えようとした。すると、戸の向こうの会話が聞こえてきた。

「沖田さん……昨日のことで来たんですよね?」

「何かあいつから聞いてねーか?」

 神楽は銀時にもこの会話が聞こえているのではないかと焦った。考えたのだ。なぜ、沖田がただの冗談で家にまで押しかけてくるのか。それはやはり冗談ではないのだろう。そして、昨日起こった出来事と言えば、悪い連中に襲われた事件だ。あの後、銀時へ新八に何か言われなかったかと尋ねたが、首を傾げただけである。どうもあの時の態度が引っかかるのだ。まるで何も知らないとでも言うような銀時の表情。だとすると、昨日神楽がキスをした相手は銀時ではなかったのか? そうなると沖田が神楽に訊きたい事が見えてくる。つまり昨日、神楽が銀時だと思ってキスした相手は――――――沖田だったと言うことだ。薬品をかがされ意識が朦朧としていたとは言え、銀時の耳に入れば嫌われてしまうかもしれない。沖田が何か言う前にどうにかしなければと焦った。今出来る事といえば……神楽は銀時の耳を塞ぎ、キスをした。すると突然銀時の呼吸が荒くなって、神楽の下着を手早く脱がせた。そして片足を思いっきり高く上げさせると、既にいきり立っている肉棒を神楽の割れ目にあてがったのだ。ねじ込もうと銀時が腰を突き出す。神楽の膣もそれを早く飲み込みたいと、大きく口を開け始めた。だが、あまりにも溢れ出てくる愛液のせいで銀時の肉棒が滑り、神楽のクリトリスをグニュっと刺激した。

「んんーッ!」

 あまりの刺激に神楽は思わず銀時の耳から手を離してしまうと、運悪く沖田が言ったのだ。

「なんであの女、俺に『大好き』なんて言ってチュウして来たのか……見当もつかねえや」

 向かい合っている銀時の顔がそこで強張り、動きが止まった。神楽は違うとブンブンと首を振る。だが、銀時は神楽を冷たい目で見下ろすと睨みながら挿入するのだった。

 腰を掴まれ、強く突かれる。肉棒を奥深くに突き刺さされては擦られ、こんな所でダメだと分かっているのだが抗う事は出来なかった。銀時のなすがままに子宮を突かれる。荒々しく、まるでお仕置きでもされているかのように。

「神楽ちゃん……沖田くんのこと好きだって?」

 銀時が耳元で意地悪く呟く。神楽は銀時にしがみつきながらただブンブンと首を横へ振っていた。違うのだと、好きなのは銀時だけなのだと。すると銀時はニヤリと笑った。その何かを企んでいる顔ですら、この身を焦がそうとする。銀時を根元まで咥え込んでいるにも関わらず神楽はまだ足りないとさえ思った。

「それなら言えるだろ? 銀さんのおちんちんが大好きだって」

「はぁ、ぁッ、はぁ……」

 神楽はぼぅっとする頭で考えてみるも、それを言っちゃいけないだとか、戸の向こうへ聞こえてしまうだとか……どんどんと理性が崩れて分からなくていた。今もだらしなく開いた口から犬のように舌を出して、快楽に飲まれている。だが、こんなにも壊れてしまうのは大好きな銀時だからであって、沖田へのキスは本当に事故のようなもので、気持ちは微塵もないのだ。それでもきっと銀時は今、苛立っている。それがこの乱暴とも思えるセックスの理由だろう。神楽は戸の向こうに誰が居るかなどもうどうでも良いと、なまめかしい声を上げながら言うのだった。

「ぎんちゃんのッ、んッ、おひんちんッ、ぁッ、好きヨ! 大好きアル!」

 すると満足そうな表情を浮かべた銀時が更にこう言った。

「じゃあ、中に射精(ダ)して良いよな?」

 神楽はどんどん溢れる愛液と締まる膣に体が何を欲しがっているのか分かっていた。銀時にしがみつき、自ら腰を振って言うのだった。

「銀ちゃんの中にッ、いっぱい出してヨ!」

 その言葉通りに銀時の熱い精液が注がれ、神楽は目に涙を溜めながら絶頂に達した。

「ぁ、ああッ! んあああッ!」

 神楽はその場に崩れ落ちると銀時がすぐに受け止めた。もう体中の力が入らない。更に言えば脳はトロトロに溶け、余韻が抜け切らないのだ。すぐにでも新八に説明し、沖田へも……と頭では分かっているのだが、神楽は銀時の腕に包まれながらどうずる事も出来ずにいるのだった。

 そこから少しして身なりを整えた二人がゆっくりと物置の戸を開けると――――――そこには誰も居なかった。

「なんだよ。あいつら出てったのかよ」

「いなくて良かったアル……」

 神楽はひと安心したが、まさか気まずいと逃げ出した新八と沖田が、玄関の外で赤い顔をしているなど知りもしないのだった。

 

2016/09/03