※神楽→神楽さん。続くかどうか分かりません。

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闇討ち/沖→神(→銀)

 

見廻りから屯所へ帰れば、取調べ室から怒号が聞こえて来た。

 

「ふざけんなッ! 雁首、斬られてェのか!」

 

 資料室へ向かおうとしていた俺は、それを廊下で聞いていると、向こうから資料を抱えてやって来た山崎が、青い顔をしながら俺に言った。

 

「ハァ。俺、取調べられる事になっても、絶対に副長だけは避けたいです」

「心配すんな、山崎。てめーが罪を犯したら、俺が介錯してやらァ」

「ひえっ!」

 

 益々青い顔になった山崎は、逃げるようにその場を去った。たかが土方さんにビビるとは、あいつもまだまだだな。

 

立ち去った山崎に俺もそろそろ資料室へ向かおうとしたが、聞こえて来た言葉にその足を止めた。

 

「……たまが……」

「はっぽう……」

 

 どうも土方さんが取調べてるホシは、拳銃所持の上、発砲事件を起こしたらしい。だが、耳障りな怒号が聞こえなくなったところを察するに、ホシは吐いたのか。

しかし、すぐにまた怒号と喚き声が聞こえて来た。

 

「だから、テメェは通報されたつってんだろッ!」

「ケチくせーな! オイ!どっちにしても、一つくらいイイだろ!」

 

 俺は一体なんの騒ぎか気になった。

 

「発砲事件じゃねーのかよ」

 

 いつまでもギャアギャアとうるさいホシに、ギャグボールの一つでもぶち込んでやろうと、俺は資料室へ向かうのを中止して、取調べ室のドアを開けた。

 

 そこにいたのは、銀髪頭の侍と、青筋を浮かべまくった土方のバカだった。

 

「あり? 旦那ァ。今日はなんの用件でさァ」

「見りゃわかんだろ。お宅の副長に難癖付けられて困ってんだよ。俺はてめーらと違って暇じゃねーんだよ」

 

 土方さんはついに血管がいっちまったのか、頭から血飛沫を出しながら旦那の胸ぐらを掴んだ。

 

「ふざけんなッ! 俺もテメェなんかを相手にしてる程、暇じゃねェんだよ! オイ、総悟! 後はテメェに任せた。やってられるかッ」

 

 煙草を口に加えたまま土方さんはそう吠えると、旦那を俺に預けて取調べ室から出て行った。

 

「沖田くん、俺帰っていい?」

「旦那、何やらかしたんでィ。弾がどうとか、発砲がどうとか聞こえたが……」

「ああ、それか」

 

 すると、旦那は神妙な面持ちになった。正直、いくら元攘夷志士とは言え、そう簡単に拳銃が手に入るとは思わなかった。と、なると――俺の頭にどっかのバカが使っている、紫の番傘が思い浮かんだ。

 まさか、アイツが何か事件を起こしたのを旦那が庇ってるのか?あり得ない話ではなかった。

 旦那がアイツを犬っころみてーに可愛がってることは、俺も知っていた。だが、罪を犯したなら償うのが当然だろィ?それは服役という方法もあるが、腹を斬るのもまた然り。

 俺はあの女が臓物ぶちまけて死に逝く様を想像すると、ニヤリとせずにはいられなかった。

 

「旦那ァ、チャイナ娘どこに居まさァ?」

「あ? 神楽? 家にいんじゃねーの? つか、連れて来てくれんの? いや、さっき、土方くんにカツ丼頼んだらダメだって言われて、じゃあ、ラーメンで良いつったら、それも断られて。しかたねーから、八宝菜でって言ったんだよ。今晩はここで晩飯食えば飯代浮くだろ? だから、丁度俺も神楽を呼びつけようかなって思って……って沖田くんいない!!」

 

俺は旦那の話を最後まで聞かずに、チャイナがいるであろう万事屋へと向かった。

 

 

 

「何しにきたネ」

 

 不機嫌な声でそう言ったチャイナは、俺を玄関の中にも入れずに睨み付けた。

相変わらず、可愛げのねー顔だ。なのに、旦那が溺愛してるところをみりゃ、こいつが旦那にはどんな顔を見せてるのか想像がつく。

 

「心当たりはあんだろィ? てめーが、俺について来ねぇってなら、旦那は一生務所暮しでさァ」

 

 チャイナの悔しそうな表情に俺は心の中で笑った。遂に、この女が俺に屈伏する日が来たんだ。これが、笑わずにいられるか。

 

「心当たりなんてないアル。銀ちゃんどうせ、拾い集めたパチンコ玉で遊んで捕まっただけダロ? 明日には帰ってくるネ」

「……まァ、俺は旦那がどんな判決受けようと知ったこっちゃねぇ。たとえ、それが死刑でもなァ」

 

 チャイナは玄関戸を強く握ったらしく、バキッと木の軋む音がした。いや、戸が折れた。だが、俺に殴りかからねぇところをみれば、育ったのはその身体だけじゃなく、頭ん中も多少は成長したらしい。

 

「どうしても旦那を助けてぇなら、分かってんだろな? やる事は……」

 

 ただ一つ。この俺に負けを認めて、大人しく跪けばいい。そして、その後は、俺の手でテメェを地獄に送ってやらァ。

 

「汚ぇアルナ! オマエ、絶対許さないアル!」

「何言ってんだ。どっかバカの罪を被って執行台に上ろうとしてる旦那は、一体誰のせいでこんな事になったと思ってんだ」

「それは……どっかのバカのせいアル!」

 

 こいつは冗談で言ってんのか?皮肉も通じねぇバカだったとはな。

 

「まぁ、いい。よく考えろィ。今夜中にてめーが動かなけりゃ、明朝には旦那はただの肉塊だ」

 

 見開いたチャイナの目は瞳が揺れていて、俺を通り越し、どこか遠くに焦点が合っていた。

 俺はそんなチャイナに背を向けると、万事屋の階段を降りた。

 

 あいつが今夜俺に跪きに来るかどうか。それは、賭けだったが、少なくとも旦那を助け出しに屯所へは来るハズだ。

 俺は屯所へ帰ると、建物の中で一番頑丈な部屋へと旦那を移した。

 

「で、神楽は? つか、八宝菜と酢豚、あとギョウザ注文してくれた? すげー腹減ってんだけどォ!」

 

 旦那は自分の立場をまだ理解出来てねぇのか、相変わらず呑気な事を言っていた。

 

「旦那、チャイナが今夜中に俺んとこに来なけりゃ、明日あんたが死刑でさァ」

「だよな。俺もなんかそんな気がして……え? 沖田くん、今なんて?」

 

 旦那は自分が何の罪を被っているのか、分かってねぇらしい。この町じゃ、一般市民が刀、拳銃、その他諸々。それらで人を殺めりゃ、死刑という決まりだ。バカでも分かるハズだ。身代わりになるには、重過ぎる罪だってな。

 

「チャイナを庇って死刑宣告を受けるとは、旦那の愛は海より深いらしいなァ」

「庇う? は? 何だよ! 俺はな、拾ったパチンコ玉で5000円儲けたらパチンコ屋に通報されて……」

 

 俺は耳を疑った。今、なんて?

 いや、そんなハズねぇ。確かに俺は聞いた。発砲が――

 

「で、沖田くん。俺の八宝菜は? 俺の酢豚は? ギョウザは? いい加減にしてくれよ! 食わしてくれねぇなら、帰らせろ!」

 

 マズイ。今、ここで旦那を帰らせると、チャイナが屈辱を感じながら俺に跪く計画がパァになる。

 俺はケータイをポケットから取り出すと、馴染みの店に電話を掛けた。

 

「真選組屯所まで、八宝菜と酢豚、ギョウザをたのんまさァ。請求書は真選組の土方十四郎で宜しく」

 

 俺は電話を切ると、旦那に丁寧に言った。

 

「今夜はこの部屋、好きに使ってくだせィ」

「あのさ、あとでいちご牛乳頼める? あと、今週のジャンプと、今月の家賃の120万円と……」

 

 俺は旦那のケツに小刀をブッ刺すと、チャイナが来るであろう夜に備え、刀の手入れをしに自室へ戻った。

 

 

 

 夜10時を回っても、チャイナは屯所には来なかった。旦那の入ってる部屋に仕掛けたセンサーに反応はない。その他にも異常は見つからず、意外にもあの女は旦那に恩も情も感じてなかったらしい。

 

「……旦那もチャイナを庇ってたわけじゃなく、チャイナも旦那を助けに来ない。全て思い過ごしかねィ」

 

 深い愛情で繋がってるように思えたが、どうやらそれは俺の勝手な思い込みだったらしい。男女間の情なんざ、所詮そんなものか。まだ、俺たち"真選組"の方が、太いもので繋がれてるようだった。

 

「あ、やべっ。連続窃盗事件の容疑者、洗うの忘れてた」

 

 俺は捜査中の事件の資料を閲覧しに、資料室へと急いで向かった。勤務時間は10時の時点で終わっていたが、土方さんにサボった事がバレる前に、今日中に資料に目を通しておきたかった。

 

 敷地の奥にある暗い資料室。俺は一人で資料を閲覧していた。他の隊士は見廻りか、自室にいる時間帯で、資料室付近には人の気配を感じなかった。

だが、微かに土を踏みしめる音が聞こえた。随分と慎重に動いてるらしく、他に音は聞こえない。野良猫か?そう思ったが、資料室の戸の開く音に、それが猫の仕業じゃない事を確信した。俺は資料を静かに棚に戻すと、右手を腰の刀に置いた。

 遂にヤツが来たか?俺は胸の高鳴りと、体の火照りに、自分が興奮状態であることを感じた。

 

「ッ!?」

 

 突然、資料室の電気が消され、俺は暗闇に視界を塞がれた。

 すると、背後にガチャリと嫌な音が聞こえ、俺はその音に向かって刀を斬りつけた。

 

「どこに目ぇつけてるネ」

 

 聞こえて来たその声に、俺は口角を上げた。

 

「随分、遅かったじゃねーか。旦那は片思いだと悲しんで、自決しちまいそうだったぜィ」

「……言ってる意味がわからんアル」

 

 チャイナは俺に引き金を引かず、傘で殴りつけて来た。それを俺は刀の背で受け止めると、チャイナが何をしに来たのか尋ねた。

 

「俺をヤって旦那を助け出すか? だが、てめーは浅はかだったな。旦那の処遇は俺が決めるわけじゃねぇ。言わば、俺はてめーにとって天使にも悪魔にもなれる存在だ。俺を殺しちまったら、上の奴に掛け合う者は消える。結果、旦那は助からねぇ」

「んな事、分かってんダヨ! だから、余計腹立つアル! せめて、一発殴らせろヨ!」

 

 暗闇で見えねぇが、どうやらその顔は俺を涙目で睨み付けてるらしい。いい気味だ。そのまま負けを認めて、俺の靴でも舐めな。バカ兎。

 

「その傘、下ろせよ」

「お前も、その刀しまえヨ」

 

 俺たちは同時に体を離すと、互いの得物を収めた。だが、隙は見せられねぇ。油断したが最後。こいつは旦那を助ける為なら、ここにいる野郎共全てを敵に回すことの出来る女だ。俺を平気で殺しに来るだろう。

 

 窓のない資料室。月明かりすら届かない、電気の消えた部屋は、何一つこの目に映すことが出来ないほど、深い闇だった。

 俺は棚に背を預けると、暗闇のどこかにいるチャイナに向かって言った。

 

「で、てめーは、何をすれば良いか分かってんだろな?」

 

 実際は、旦那はくだらねぇ事でしょっ引かれただけで、死刑とは無縁だったが、このチャンスを利用しない手はなかった。

 この女がその白い膝を地に汚し、頭を垂れる。そして、屈辱を感じながら、慈悲を請う言葉を口にする。想像するだけで、愉快だった。

 だが、その姿を目に、ケータイに焼き付けるには、ここはちと暗すぎた。

 どうせなら、明るいところがいいだろう。俺は場所を変える事を提案した。

 

「俺の部屋に来い」

「いっ!?」

 

 チャイナは不細工な声を上げると、ガタンと何かにぶつかった。まさか、逃げる気か?だが、そんな気配はなく、鼻をすする音だけが聞こえていた。

 あ?もしかして、こいつ泣いてる?

 

「てめー、泣いてるだろ」

「は、はぁ? 泣いてねーアル! 腹くくって来たネ! 私が泣くっ、ぐすん、わけねーダロ!」

 

 泣いてんじゃねーか!俺は益々、体が熱くなり、もうすぐやって来るであろう勝利の瞬間を期待して、脈拍数が急上昇した。

 

「とりあえず、いいから部屋に来い。あんまり手間取らせるな。てめーがこんな遅くに来たから、予定が狂っちまっただろィ」

 

 俺はチャイナを跪かせ、嘲笑い、写メを取ったら、さっさと資料に目を通したかった。もう、10時は確実に過ぎてんだ。チャイナごときに、時間を取られるのは癪だった。

 

「……し、仕方ねーダロ! 色々と準備があったアル」

「準備? ああ、心の準備か。なら、もう充分だろィ?」

 

 俺はすぐそこにいるであろう、チャイナの腕を引っ張った。だが、奴の力でそれはすぐに引き剥がされた。

 

「ま、待てヨ! ここじゃ、どうしても駄目アルカ?」

 

 よっぽど、屈辱的な顔を見られたくねぇらしいな。だが、それじゃあ意味がねぇ。俺を満たすには、こいつの悔しがる顔が何よりも必要だった。

 

「どうすんだよ。早くしねーと、日が昇っちまうぜィ」

「……分かったアル。お前の部屋に行ってやるネ。だけど、一つ条件があるネ。お前がいつも着けてる、あのヘンテコなアイマスク貸せヨ。それがダメなら、ここを火の海にしてやるネ」

 

 アイマスク?俺は、正直迷った。こいつの屈辱感溢れる顔を見ることを優先させるか、俺のドS心を満たすアイマスク着用姿で跪かせるか……だが、アイマスク一つでチャイナが大人しくなるなら、貸してやるのが得策か。

 俺はチャイナの条件を飲むことにした。

 

「いいだろ。貸してやらァ」

 

 俺は再度チャイナの腕を掴むと、資料室を後にし、自室へと向かった。

 

 

 

 俺は畳の上で、膝で立ってるチャイナを見下ろしていた。チャイナの目を塞ぐアイマスクが、俺を馬鹿にしたように見ていた。

 このアイマスク、腹立つ顔してんな。

 

「……オマエ、どうしても見てたいアルカ?」

「当たり前だろィ」

 

 チャイナはよっぽど俺に見られたくないらしく、への字口が今にも泣き出しそうだった。

 

「コレしたら、銀ちゃんを釈放してくれるアルナ」

「しつけぇな。俺がそんな悪魔に見えるか?」

「悪魔以下のくず野郎アル!」

 

 その薄汚ぇ口に得物でも突っ込んでやろうか。だが、チャイナの次の行動に俺の頭は混乱し、それどころではなくなった。

 

「お、おい?」

 

 見下ろしているチャイナは、俺の前で確かに膝をついている。だが、そのチャイナの手は地に伏せることなく、俺のズボンのベルトを外した。

 金属のぶつかる音がいやに大きく聞こえる。それと混じって、俺の心臓の音が聞こえる。顔が熱い。

 チャイナは俺のズボンを膝あたりまで下ろすと、次は俺の下着に手を掛けた。

 ま、待て。そう思うのに、俺の体は動かない。心臓がさっきからバクバクとうるさい。ただ、チャイナに下着を脱がされるだけだろ?それくらい何だって――脱がされる!?

 チャイナは下着もズボンと同じように脱がしちまうと、俺の股間に手を伸ばした。そして、その手で俺のモノを包んだ。

 

「っ!?」

 

 チャイナのその手は驚くほど熱く、そして小刻みに震えていた。怖がってんのか?なのに、チャイナは俺の股間により一層顔を近付けると、手に握ってるモノを――

 

「待て! チャイナ、待て」

 

 すると、チャイナは主人に忠実な犬の様に、俺の言葉通り動きを止めた。

 

「……どういうつもりでィ」

「何がアルカ! お前がどうすれば良いか分かってるな? って言ったんダロ!」

 

確かに俺ァ言った。だけど、俺が言ってるのは、跪いて泣きすがることであって、俺に奉仕しろなんてことじゃねぇ。

 

 チャイナは俺のモノを握ったまま、アイマスクで塞がれている目で俺を見上げていた。

 非現実的な光景。眩暈がしそうだ。

 あまりにも突然にこんな事になっちまったが、チャイナがその身を俺に捧げようとしてるなら、俺はそれを断るつもりはなかった。

 相手がチャイナとはいえ女で、ましてや……上玉だ。

 嫌ってる男に抱かれる。悪いシチュエーションでもねぇな。俺のどS心をくすぐった。

 

「分かった。てめーが俺を気分良くさせる事が出来たら、旦那を釈放してやらァ」

「絶対約束守れヨ」

 

 チャイナはそう言うと、手に握ってるモノを軽くしごいた。そのぎこちない動きと、僅かにかかる熱い息に俺のモノは一気に血液を集めた。

 

「な、なにこれ……」

「何って、ナニでさァ。まさか、てめー初めてか?」

 

 チャイナの見えてる顔が赤くなると、俺はその事実に言葉を失った。まさか、始めての癖に俺にカラダを捧げるとは。旦那が聞いたらどう思う事か。

 そんな事を考えてると、またカラダが熱く火照った。

 

「もう、充分ダロ? お前のすごく固くなってるアル。この反応、気持ちいいんダロ?」

 

 確かに、自分でするのとは随分と違う。だが、困ったことに、既に達してしまいそうだ。チャイナの手の平の柔さと、温かさが俺から何か搾り出そうとしていた。

 だけど、俺はまだそうなるワケにはいかなかった。多分、イケば終わる。

 巡って来たこの機会を俺は、早々終わらせたくはなかった。たっぷりチャイナを堪能してやる。このカラダでチャイナに負けを思い知らせるまで、果てる事は避けたかった。

 

「もう、やめろィ! それ以上は、やるな」

「なんでヨ! オマエ、気持ちいいんダロ? 」

 

 ヤバイ。チャイナは俺のモノを丁度いい加減でしごき上げると、口の中で溜めていた唾液をそれに垂らした。

 

「っ!?」

 

 初めてってのはウソだろィ?俺は、思わず歯を食いしばった。

 何だこれは。滑りやすくなったチャイナの手の中で、俺のが刺激されている。 その危ない手付きに、今にも爆発しちまいそうだ。なのに、チャイナは更に追い討ちを掛ける如く、それに唇を近付けた。

 

 今までのと比じゃないほど、熱いものに包まれた。

 チャイナの口の中。うごめく舌が、俺のモノに絡みつく。

 

「どこでっ、覚えたんでィ」

「……出て来る前に、勉強してきたアル」

 

 チャイナは糸を引かせて口から俺のを抜き取ると、そう口にした。

 唾液で濡れた俺のモノとチャイナの唇が、部屋の明かりを受けて卑猥に光り輝いていた。その光景に俺は我慢出来なくなった。どうにでもなれ。

 俺はチャイナの頭を掴むと、無理やりに口に肉棒を突っ込み、チャイナの頭を動かした。

 

「うがっ、んぐっ!」

 

 苦しそうな声が聞こえるが気にしねぇ。むしろ、その苦痛に耐えかねる声が俺を欲情させた。だが、俺は忘れていた。この女が普通の女じゃない事を。

 チャイナは急に俺をぶっ飛ばすと、咳き込みながら叫んだ。

 

「殺す気アルカ! このクソどS!」

 

 チャイナは床にへたり込むと、苦しそうに息を荒くしていた。

 俺はと言うと、ぶっ飛ばされ、肘が障子にぶつかり、軽く半紙が破れちまった。

 

「オイ、俺にそんな口聞いていいと思ってんのか? くそチャイナ」

 

 俺は、足にかかっていたズボンと下着を脱ぎ捨てた。そして、隊服の上着も脱いだ。さて、どうしてやろうか。

 チャイナを敷きっぱなしの布団に転がすと、耳元で言ってやった。

 

「旦那を助けてぇんだろィ? なら、もう分かってるよな?」

「上等アル。どっからでも来いヨ」

 

 相変わらず色気のねぇヤツだ。

 俺はまだ強気でいるチャイナの隣に体を横たえた。そして、短いチャイナドレスの裾から伸びている足に手を置いた。

 

「この……垂れてるのは何でィ」

「ひィ!」

 

 チャイナは強く股を閉じるも、滑る肌に俺の手は簡単にチャイナの下着まで辿り着いた。

 濡れている下着。多分、間違いない。チャイナは興奮しているようだった。

 

「俺のしゃぶってヨダレ垂らすたァ、旦那が知ったら悲しむだろうな」

「銀ちゃんのことは言うナ!」

 

 強気な口調だったが、その様じゃ説得力は皆無だった。

 俺はチャイナの下着越しに指を滑らした。すると、情けない程に、そこから次々とヨダレが溢れ出した。俺の指は、チャイナの愛液であっと言う間に汚れちまった。

 

「まだ軽く擦っただけだろィ?」

 

 チャイナは何も答えず、ただ顔を俺のいる方とは反対側に向けていた。

 どうやら悔しいのか、チャイナの両手は布団のシーツを強く掴んだ。

 

 俺の手は更にチャイナの奥へ進むと、今にも何かを加えたそうに疼いている熱を見つけた。そこへ、望みのまま指を挿し込んで――いや、そう簡単には入れてやらねぇ。

 

「あっ……な、なんでヨ」

「そうかィ。そんなに、俺のが欲しいか」

「違う! 仕方なく付き合ってやってるだけネ! 勘違いすんなヨ!」

 

 チャイナは赤い顔でそう言ったが、カラダは正直なようだった。

 

「仕方ねぇってわりには……本当は欲しいんだろィ?」

 

 俺はそんな言葉を口にしながら、チャイナドレスをゆっくりと脱がし始める。そして、ずっと隠れていたチャイナの胸を露わにさせた。それを鷲掴めば、ゆっくりと揉んだ。柔らけぇ……。

 俺はそこに顔を埋めると、一瞬全てがどうでもよく思えた。これが誰のカラダだとか、この後何をどうするだとか。だけど、そういうワケにはいかないらしく、俺のカラダがこいつを欲した。疼いて仕方ねぇ。

 

 俺はチャイナの無駄に育った乳房を口で弄ったりしながら、下腹部を指で遊んだ。

 チャイナはただひたすら、体に感じる刺激に負けないよう、シーツを握りしめ、歯を食いしばっていた。

 

「どうせなら、てめぇも楽しめよ」

 

 俺のその言葉にも何も答えないチャイナは全身汗まみれで、たまに小さな声を漏らしていた。

 嫌々と言った風でもないが、楽しむほどでもないようだった。カラダはこんなに悦んでるのにな。

 

 いつの間にか、チャイナのカラダは何も身にまとわず……いや、アイマスク一枚だけをその顔につけていた。

 そして、布団の上で座ってる俺のモノを必死にその口に含んでいた。

 

「気に入ったのかよ」

「……痛いとヤだから、濡らしてるだけヨ」

 

 可愛げのない声でそうは言ったが、チャイナの舌の動きは、オトコを悦ばせる使い方だった。

 

「そこまでして旦那を釈放させたいかねィ……虚しくねぇのか?」

 

 俺には愛だなんだと言った事は、よく分からなかった。

 好きな男の為に嫌いな男に抱かれる。女ってのは、どうも解せねぇや。俺なら、好きな女しか抱きたくねぇ。例え、そいつに愛されなくとも。

 

「そのアイマスク、外せ」

 

 こいつが何故これを着けたがったか、俺は今になってようやく気付いた。

 こいつは、少しでも俺を感じないようにしてる。その暗闇に俺以外の誰かを浮かび上がらせてんだ。

 

「その目で見ろィ。てめぇを抱くのは誰なのか」

 

 俺は仰向けに倒れてるチャイナの体を引き寄せると、その体にのし掛かった。そして、既に爆発しそうになっているコイツをチャイナに押し当てると、先の方が軽く割って入った。

 

「随分と簡単に入るじゃねぇか。やっぱりてめぇも、望んでんだろィ」

 

 さっさと奥まで入っちまいたかったが、それじゃあ興がねぇと俺はぐっと堪えた。だが、腰が勝手に動く。俺は顔を歪めると、チャイナのアイマスクを取るか迷った。こんな面を見せるわけにはいかねぇ。そうは思っても、チャイナの顔を拝みたいのが本音だ。何よりも、間抜けな面でもかまわねぇから、その目に俺を映して欲しかった。

 

「取るからな」

 

 俺はチャイナにそう言うと、見えてる顔に着いているアイマスクを剥がし取った。

それと同時に俺のモノがチャイナの奥の方へ突き刺さる。眩しそうに片目を瞑るチャイナの顔が、途端に苦痛に歪んだ。

 

「……いてぇのかよ」

 

 思わず、腰の動きを止めると、チャイナはそこでようやく俺を見た。だが、その目には薄っすらと涙が浮かんでおり、睨みつける目付きは俺を殺したいと言っているようだった。

 

「お前が勝手に捧げた身だろィ。他にやり方なら、いくらでもあった」

「……ベラベラと、さっきから1人でうっさいアルナ」

 

 チャイナは俺の首にかかってるスカーフを引っ張ると、無理やり顔が近付いた。

 不意打ちを食らった。俺はチャイナにこの口を塞がれ、息を吸われ――そして、溺れちまった。

 そこから後の記憶は曖昧だ。ただ、飽きもせず長い時間、同じような事を繰り返し、チャイナが見せる反応に胸を痛めた。

 

「俺の上でお前がヨダレ垂らしながら腰振ってるのを知ったら、旦那はどう思うかねィ」

 

 そうだ。全ては旦那の為の行動だ。俺の体に酔うのも、俺の体に鳴くのも、俺を溺れさせるのも全て。どんなにチャイナが感じてようが、果てようが、俺の為の行動じゃねぇ。

 虚しいのは、一体、誰だ――

 

2013/09/06

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