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賽は投げられた:06

 

放課後、神楽は帰ろうとしているお妙と九兵衛を引き留めた。

昼休みに聞けなかった事を聞こうと思ったのだ。

 

「あのね、昼休みに聞きたかったことなんだけど」

 

神楽は教室から出ようとしていた2人に尋ねた。

 

「姉御も九ちゃんも乳になんか入れてるアルカ?」

 

するとお妙は不気味な程ににっこり笑うと神楽に言ったのだった。

 

「あら?私は元々これくらいだけど、どうして?」

 

神楽は地雷を踏んだ事に気が付いた。

 

「んっ、ううん。そうだったアルナ!姉御はそうだった!だけど九ちゃんは?」

 

すると九兵衛は神楽にグッと近寄ると小声で話した。

 

「実はお妙ちゃんが胸にエアーパットを入れたらしく、いざって時に手こずらない為にも僕も入れて研究してるんだ」

 

神楽はそっかと目を見開いたまま言うと、愛想笑いを浮かべた。

 

「時間とらせて悪かったネ」

「いや、良いよ。だけど、神楽ちゃん。君のもなかなか本物っぽいね。じゃあ、また明日」

 

そう言った九兵衛はお妙と2人仲良く帰って行った。

その後ろ姿を神楽は赤く染まる頬で眺めていた。

そして、胸の辺りで小さくガッツポーズをしたのだった。

 

「あれってそういう意味アルナ?」

 

やったと喜んだ神楽は鞄を持つと、スキップで銀八がいるであろう準備室を目指したのだった。

 

「ぎんちゃーん」

 

ドンドンと激しくドアを叩く神楽は満面の笑みだった。

それもこれも全部銀ちゃんのお陰。

神楽は銀八になんてお礼をすれば良いか分からなかった。

 

「そう言えばブラがなんかきついのはそのせいだったアルカ!」

 

神楽はドアが開かれるのを今か今かと待っていたが、一向に開かれる気配がなかった。

すると携帯電話がブルッと震え、銀八からメッセージが届いた。

 

「げっ、職員会議アルカ?」

 

神楽は仕方なく今日は帰ろうと下駄箱で靴を履き替えていた。

そう言えばと、神楽は財布にパピーからもらった臨時収入があることを思い出した。

それさえあれば新しい下着が買える!

神楽は今日は下着屋へ寄って帰ることにした。

 

 

 

店に着けば隣町の高校の生徒や、仕事帰りの大人の女性が買い物をしていた。

神楽はもう自信のない昔の自分とは違うと思っていた。

ただサイズが正確に分からず、神楽はBのコーナーに立ち尽くしていた。

 

「多分、これくらいかな?どっちだろう」

 

神楽が首を傾げて悩んでいると若い女性店員が声を掛けて来た。

 

「サイズ測りましょうか?」

 

神楽は顔を赤くしてどうしようかと悩んだが、現実にしっかり向き合おうとここはお願いする事にした。

 

「多分、これくらいが合うと思いますよ」

 

サイズを測り終えた店員が持ってきたのは、Bの65と書かれたブラジャーだった。

神楽は震える手でそれをつけると、胸の形がとても綺麗に見えた。

今までのAと書かれた小憎たらしいブラジャーとは全く違う。

見た感じはB、いやCにだって見えるほどのBだった。

これでスクール水着も恥ずかしくない。

神楽は早く銀八と喜びを分かち合いたいと思っていた。

谷間なんてのは夢のまた夢だったが、Bもあればまな板とは呼ばせないと神楽は自信に満ち溢れていた。

結局、店では淡いピンクの控えめなデザインの下着を買った。

明日、これを着けて学校へ行って、銀八に見せてあげようかなどと神楽は考えていた。

 

「だめアル!そんなのは恋人同士がすることネ!」

 

神楽は夜寝る前にベッドの中でジタバタともがくと、いつか銀八の恋人になれたらなぁと考えていた。

そんな事を考えている内に神楽は眠りに落ちて、次の日を迎えたのだった。

 

翌日、神楽は鏡の前で悩んでいた。

昨日買った下着を着けていこうかどうか。

気持ちはもちろん着けていきたかった。

だけど、隣の席の沖田が厄介だった。

急に私まで胸が大きくなったら、銀ちゃんが疑われる。

神楽は渋々いつもの物を着けて学校へ行った。

しかし、今日に限って沖田は休みだった。

どうも連日裸で寝ているらしく風邪を引いたらしい。

神楽は何となく嫌なイメージを頭に浮かべると、寒気がした。

だけど、沖田の気持ちが分からなくもない神楽は、沖田の分もノートを取ってあげる事にした。

そうして四時限の授業を終えると、神楽は銀八がいる準備室へと向かった。

銀八は職員室に寄ってから来るらしく、鍵は神楽が預かっていた。

なんだか合鍵を貰ってアパートを訪れる恋人の気分だった。

神楽は準備室の鍵を開けると、部屋の真ん中に置かれている真っ赤なソファーへ腰掛けた。

そして、昨日の昼間を思い出した。

どうしてたったアレだけで自分の体はおかしくなったんだろうか。

銀八に舐められた耳がまた熱くなった。

ゾクゾクして、いやらしい事しか考えられなくなった。

きっと頭の中のことがバレてしまったら、軽蔑されるかもしれない。

神楽はソファーに倒れ込むとハァと息を吐いた。

するとフワリと銀八の匂いがした。

それはソファーについた煙草の匂いらしく、神楽は思わず頬を擦り寄せた。

 

「ぎんちゃん」

 

好きダヨ。

いい加減言ってしまおうかと思っていた。

好きって言えたら、恋人になれたら、もっと側にいられるのにと胸が苦しくなった。

神楽はソファーにうつ伏せになりながら、そっと胸に触れてみた。

銀八の真似をして体に触れてみるのに、ちっとも気持ちよくなんてなかった。

これは他の誰がしたって同じだろう。

銀八以外を今の神楽は求めていなかった。

だから早く来てヨ。

神楽は銀八に触れられるのを今か今かと待っていた。

しかし、15分経っても銀八は来なかった。

携帯電話を見てもメッセージ一つもない。

本当は面倒臭いの?

なんだか神楽は不安になった。

喜んだり不安になったり。

銀八の匂い包まれた神楽は不安を紛らわそうと、妄想の銀八に慰めてもらおうとした。

 

うつ伏せの体勢のまま腰を上げると、神楽はスカートの奥に右手を忍ばせた。

既に下着は僅かに湿っていて、指で押せばじわっと染みが広がった。

 

「ぎんちゃん」

 

銀八に深いところまで探られたら、一体どうなってしまうんだろう。

神楽は上がる呼吸と小刻みに震える右手にその答えを見つけ出そうと思った。

だが、それは急遽後回しになったのだった。

 

「わりぃ。ちょっと校長に捕まって」

 

銀八がノックもなしに部屋へ入ってきたのだった。

 

「きゃっ!」

 

神楽は短い悲鳴を上げると、急いで体を起こした。

銀八を見れば、額に手を当てると目を瞑り天井を向いていた。

バレた?バレてない?

神楽の心臓は爆発してしまいそうだった。

 

「あのー……神楽ちゃん。まぁいいか」

 

銀八はそう言うと、神楽の隣にドンと腰を下ろした。

神楽は赤い顔を伏せてもじもじすると、自分から銀八の股の間に座ったのだった。

 

「随分大胆になったなお前」

「ち、違うアル。違う」

 

神楽はフルフル首を横に振ると、まだ興奮冷めやらぬ体にどうしようかと悩んでいた。

イってないから、まだジンジンしてる。

神楽は太股を擦り合わせると、どうにかならないかと思っていた。

 

「いつも言ってるけど、声は出すなよ」

 

神楽はうんと頷くと、銀八の手でブラのホックを外された。

ブラを上へまくると、胸が夏服の越しにくっきりと膨らんでいるのが分かる。

それを銀八はいつものようにマッサージをした。

撫でて揉んで摘まんで。

その動きに併せて神楽は呼吸を跳ねさせると、唇を噛み声を漏らさない努力をした。

 

神楽は下着がまたジワリと濡れていくのが分かった。

太股を擦り合わせ、なんとか保っているようだった。

そんな神楽に銀八は気付いてるらしく、見かねたように言ってきた。

 

「声出さねぇってなら、スカートの中触っても良いけど」

 

神楽は太股を軽く開くと、恐る恐るスカートの中に右手を滑り込ませた。

やっぱり濡れていた。

それはお尻の方まで垂れていて、ソファーも濡らしているようだった。

どうしよう。

神楽は焦った。

 

「下からも体を刺激した方が効果でけーの知ってるか?」

 

神楽は銀八の言葉に安心すると、いつも一人でするように下着の上から指で刺激したのだった。

 

「ふぅん、んっ」

 

神楽の口から嗚咽が漏れる。

我慢なんて出来そうもなかった。

 

「だから、声は出すなって」

 

そうは言っても、もう神楽はすっかり快楽の虜になっていた。

胸は銀八が刺激をし、スカートの中は自分の指が暴れていた。

神楽は歯を食い縛り、フゥフゥと呼吸をしながら目を閉じた。

そして、絶頂を迎えようと下着の中に指を滑らせた。

 

“ぬちゅ”

 

大きく卑猥な音が響いた。

すると銀八は神楽の耳に唇を寄せた。

耳に熱い息が掛かる。

呼吸も荒いようだ。

そして、銀八の舌が容赦なく神楽の耳を這い回る。

 

「あっ、あっ」

 

神楽は鼻に掛かった甘い声を上げた。

まるで全身が性感帯になった気分だった。

どこを触られても気持ちがいい。

神楽は我慢ならず、下腹部をたどたどしい指で刺激した。

びちゃびちゃと水分を含んだ音が小さく聞こえる。

それに併せて神楽の控えめな喘ぎ声が漏れる。

 

「……神楽、だから声はっ」

 

今までに聞いた事のない銀八の切なそうな声が聞こえた。

呼吸は明らかにハァハァと苦しそうだ。

そんな銀八に神楽はゾクリとした。

限界アル。

神楽はもう抑えられないと、甘い声を惜しむことなく響かせた。

 

「ぎんちゃっ」

 

すると、突然神楽は胸に強い刺激を感じた。

遂に銀八が無許可に神楽の夏服の中に手を入れ、強めに神楽の乳首を摘まんだのだった。

神楽は体を大きく仰け反らせると、しばらくビクビクと痙攣した。

神楽はどうやら絶頂を迎えたようだった。

頭は真っ白、体もフワフワする。

力の抜けた神楽はぐったりと背中の銀八にもたれ掛かっていた。

そんな意識もはっきりとしない中かったが、神楽はあることに気付いてしまった。

自分のお尻の辺りに硬くて熱いモノが当たる事に。

この間の沖田と同じだった。

 

もしかして、私は銀ちゃんに酷い事を強いてたの?

本当は私の体に銀ちゃんも興奮していたの?

ずっと私だけが気持ち好いことばかりで……

神楽はこの時、初めて銀八の事をまともに考えたのだった。

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