※表グラジオラスの花(6.忘却)の後に続く話です。
こちらを読まなくてもストーリーには影響しません。

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裏グラジオラスの花(情熱的な恋篇)/兄→神

 

あまりの息苦しさに私は目を開けた。

暗闇にぼんやりと、微かに浮かんでいるのは銀ちゃんの寝顔だった。

それを見て私は安心した。

だけど、そんなのは束の間で、私はスグに体に感じる異変に気付いた。

どこか肌寒い。

見ればパジャマの上着のボタンは全て外れ……いや厳密には引きちぎられ、腕は何かで後ろ手に縛られていた。

体がガタガタと震えだす。

だって、ズボンも脱がされてるアル。

そんな事をするなんて、この家にたった一人しかいなかった。

 

背後で何か呻くような声が聞こえる。

そして、お尻から太ももから、何か熱くヌメヌメしたものが這いずり回っていた。

かと思ったら、それは私の太ももの間に入り込み、前後に動きだす。

やだ。何アルカ、これ。

寝たフリを続けた方が良いのか、それとも叫んで銀ちゃんを起こした方が良いのか。

頭は軽くパニックを起こしていて、どんな行動が正解なのか分からなくなっていた。

だけど、そうしている内に後ろから手が伸びてきて、私のはだけた胸が弄られる。

 

「いやっ」

 

思わず体を捻って手から逃れようとしてしまった。

 

「起きたの? おはよう」

 

神威はいつもと変わらない声でそう挨拶をするも、耳元でニタニタ笑いながらこう言った。

 

「お侍さんが起きたら俺達をどう思うだろうね。だって兄妹でこんなことやってるんだから」

 

そう言い終わると神威は私の耳を舐め、そして強く胸を鷲掴んだ。

やめろ! そう言いたいのに体は力が入らなかった。

何よりも声を上げることで銀ちゃんが起きて、今のこんな姿を見られる事がとても怖かった。

悔しい。

どうにか腕を抜こうとするも、神威の力には敵わない。

私は歯を食い縛って、ただひたすら早く終わることを待つしかないの?

この絶望的な状況に私は目の前が真っ暗になった。

 

神威は抵抗しない私に気を良くしたのか、更に大胆な行動に出た。

私の下着を脱がしてしまうと、自分の固くて熱いものを私の性器へと引っ付けた。

 

「何する気アルカ……」

 

私はあまり詳しくないけど、今行っていることが人には言えないことだと充分に分かっていた。

神威は私の体を自分へ引き寄せると、私を銀ちゃんから少し離した。

 

「俺は別に良いけど、お前は嫌だろ?」

 

まるで親切な気遣いとでも思ってるような口調だった。

こんなのおかしいアル。

神威の布団へ引き込まれた私は仰向けに寝させられると、上に覆い被さる神威の顔をようやく見た。

笑ってる。

それを見て私は確信した。あぁ、狂っているんだって。

 

神威は私の唇を優しく撫でた。

そして、好きだと笑顔で囁く。

私は頑張って身を捩るけれど全然ダメで、神威の唇は容赦なく私の唇に落とされる。

イケナイコト。

頭でそれは渦巻いていて許せないはずなのに、神威のキスは優しくて、とても甘いものだった。

嫌だと蹴ってやろうと思うのに、魔法のようなそのキスが私の気力を奪っていく。

舌が絡み合うのが心地好くて、体が熱く火照りだす。

すぐ隣では銀ちゃんが寝てるって言うのに、私は何をしてるんだろう。

頭では分かっているのに、言葉も声も何も出なかった。

 

「お侍さん、悲しむだろうね」

 

その言葉に私は我に返った。

だけど、神威の手は私の胸の一番敏感な部分を弄っていて、何か言い返そうと口を開くも出てくる声は情けなかった。

 

「やんっ、神威、やめっ」

 

更に舌を使って激しく弄られると、それは明らかな喘ぎに変わった。

神威を押し返したいのに口からは勝手に声が洩れちゃう。

私の両手は自分の口を塞ぐことで精一杯だった。

そのせいで神威は自由に私の体をもてあそふ。

そして、私の下半身の割れ目へ自分の性器を押し付けると、中へ入れようとした。

だめアル! それは絶対に!

なのに、私のカラダからは次々に体液が溢れだし、男を迎え入れる準備をしてるようだった。

ダメって思ってるのに、体は弄られる度に神威を強く求める。

神威が私の中へ指を突っ込むと、腰が勝手に動きそうになる。

ピチャピチャと変なイヤラシイ音がすごくて、銀ちゃんにこれが聞こえてしまってるのかと思うと恥ずかしくて堪らなくなった。

それが分かってるのか、神威はわざと銀ちゃんの方へと私の股を開くと指を入れたり出したり繰り返した。

 

「んんっ、イヤァ! 銀ちゃん起きちゃうヨ」

「だったら、こんなに溢れさせなきゃ良いだろ」

 

神威が激しく私の中を掻き回すと、私の体はガクガクと小刻みに震え、口から息のような音のような声が出る。

 

「んはっ、あァ!」

「入れていい? 神楽」

 

上から私を覗き込む神威の声は、私が今までに聞いたことのない声だった。

神威は私の返事を待たずに自分の固くなったソレを押し付けた。

私は股をなんとか閉じて対抗するも、神威の力の前ではどうにもならなかった。

絶対にそれだけはダメ。

 

「初めては銀ちゃんって決めてるアル」

 

必死に抵抗するも神威はやめようとしない。

それに私だって……悔しいけど私の体は明らかに神威のソレを求めていた。

神威が私の割れ目に固いモノを押し付けるも、腰は勝手に入りやすいように浮こうとする。

だけど、私の気持ちは銀ちゃんだけのものアル。

それを知っていてこんな事するなんてやっぱり絶対許せない。

兄ちゃんとして神威はずっと大事だったけど、こんな事を無理矢理にする男は大嫌いだ。

私は唇を噛み締めると、最後の願いを込めて神威に言った。

 

「兄ちゃん!やめるアル!」

 

神威はその言葉に動きを止めたかと思うと、私の顔の横の床を強く叩いた。

コロ……サレル?心拍数が今まで以上に上がっていく。

だけど、そんな心配は必要なかった。

どうやら私の願いは届いたらしく、神威は私の上から降りた。

そして、静かになると、黙って私の腕を解放して頭を撫でた。

どうしてだろう、胸がズキっと痛む。

神威はそのまま一人で布団に潜り込むと、もう何も言ってこなかった。

我に返ったのだろうか。それとも、良心の呵責?

いくら神威が反省したところで、私たちはもう二度と普通の兄妹には戻れない。

その現実に苦しくなった。

だけど、それは今も昔も、大して変わらないような気がしていた。

私は急いで体を起こすと、裸のまま銀ちゃんの隣に戻った。

 

2012/09/16