※情熱的な恋篇のつづき。

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裏グラジオラスの花(ひたむきな愛篇)/銀神

 

まだ心臓がバクバクしていて、体も神威に弄られた感触が消えない。

唇もそう。

あんな口付け、スグにでも忘れたいのにまだ神威がそこにいるようだった。

嫌だよ、銀ちゃん。

私は自分勝手に眠ってる銀ちゃんの唇に口付けをした。

どうしても忘れたかった。

銀ちゃんで埋め尽くして欲しかった。

 

「ごほっ、あ?神楽……いやいやいや!お前なにッ」

「銀ちゃん、いっぱいキスして、お願い」

 

銀ちゃんの体に抱きつけば、私が裸だってこともバレてしまうだろう。

変な女だって思われてしまうかもしれない。

だけど、今はそんなことよりも銀ちゃんを感じたかった。

銀ちゃんは眠そうだったけど、何も聞かず私の唇にキスをくれた。

そして、額に、頬に、頭に。

あちこちにキスをしてくれた。

だけど、それじゃ足りないの、銀ちゃん。

 

「もっとネ」

「つか、お前なんで裸?夜這いにしても、もうちっとタイミングとかあんだろ」

 

銀ちゃんは向こうの布団に潜り込んでいる神威を気にすると、私の頭を撫でて寝かせようとした。

それじゃ、だめアル。

私の体から神威の感触を消すには、銀ちゃんの温もりが必要だから。

 

「銀ちゃん、お願いアル。私をもらってヨ!今すぐ、今夜じゃなきゃいやアル!」

 

私はそう言うと否応なしに銀ちゃんの手を自分の胸へと持っていった。

銀ちゃんはそれに手を引っ込めようとしたけど、私がすかさずキスをすると諦めたようだった。

大きな手が私の胸を優しく包む。

それからキスも少し大胆になると、口の中へ舌が差し込まれ絡み合った。

唇も胸も銀ちゃんの温もりでいっぱいだった。

それがさっきまでの恐怖や不安を溶かしていく。

 

あちらこちらにいつの間にかキスをされて、私の体はもうどこも神威の感触を残していないようだった。

銀ちゃんも気付けは上着を脱いでいて、汗ばむ肌が擦れあった。

それがすごく心地好くて、もっと深く引っ付いて1つになったら、一体どうなってしまうんだろうと嬉しいような怖いような気分になった。

 

「銀ちゃんのここ固くなってるネ」

 

仰向けに寝転んでる私は、覆い被さるようにしている銀ちゃんの股間を膝でつついた。

 

「お前、マジでどうしちゃったの?なんか変なもんでも食ったか?」

「違うアル。早く銀ちゃんと一つになりたいだけアルヨ」

 

いいのか?

銀ちゃんが言った。

良いに決まってる。

私は銀ちゃんじゃなきゃ嫌アル。

それは絶対だった。

でも、銀ちゃんはやっぱり神威を気にしていて、どこか躊躇っていた。

 

「ぐっすり眠ってるアルヨ」

 

私は嘘を吐いた。

気にならないワケがなかったけど、だけど今夜だけは神威に思い知らせてやりたかった。

私はお前のものには絶対にならない。

何よりもお前と私は兄妹アル。

残酷だけど現実を見せてやりたかった。

 

「まぁ、今更やめろって言われても、キツイもんはあるけどなァ」

 

銀ちゃんはそう言って荒い呼吸で私を見下ろした。

一瞬その目がさっきの神威のものと重なった。

体に力が入る。

だから、私は瞼を閉じると銀ちゃんの声を聞いた。

そして、体に感じる熱に銀ちゃんの存在を確かめた。

うん、間違いなく銀ちゃんアル。

 

「銀ちゃっ、気持ちぃアル」

「そりゃどうも。でも、神楽ちゃん、もう少し声どうにかなんないの?」

「ムリムリっ、銀ちゃんの指っ、ああっ!やぁッ」

 

奥の方を掻き乱す指も、胸に這わされる舌も、甘く囁く声もどれも私が大好きな銀ちゃんアル。

散々、銀ちゃんに可愛がられた体は既に蕩けてしまいそうになっていた。

なのに太ももに当たる銀ちゃんのアナログスティックは、私の体とは反対にカチコチに固くなっていた。

 

「もう、怖くないヨ」

 

私がそう頷けば銀ちゃんも頷いた。

そして、ゆっくりと銀ちゃんが私の中へ入ってくる。

温かいヨ。

キュンっと体の奥が鳴く。

遂に銀ちゃんと1つになれたんだネ。

 

「んっ、奥まで入れるから」

 

銀ちゃんはそう言って私の腰を掴むと、今まで誰にも触れられたことのない場所まで銀ちゃんで満たされた。

体の奥まで入り込んで、私は意識とは別に勝手にのけ反ると、抑えきれない感情が溢れた。

 

「すきっ、すきヨっ」

 

銀ちゃんにそう伝えるも実際は言葉になんてなってなかった。

込み上げる想いは口から出るも、ただのメスのそれだった。

神威がいることなんてすっかり忘れてる。

私は自分の行いがどれ程神威にとって残酷なのか分かっていた。

だから、もう諦めて。

私は銀ちゃんが誰よりも好きだから。

 

「銀ちゃん、それ気持ちぃアル」

「ここ?」

 

銀ちゃんに擦られて、私は悦びの声を上げる。

銀ちゃんもそんな私に夢中で、呼吸を乱しながらひたすら上で動いていた。

 

「お前の兄ちゃん起きるかもしんねーから、あんま声っ」

「聞こえ、んっ、ないヨ」

「まさか、わざと聞かせてんじゃねぇだろーな」

 

そう言った銀ちゃんの目がぎらりと光った。

まずいアル。もしかすると銀ちゃんのドSに火を点けてしまったかも。

案の定、銀ちゃんはニタリと笑って私から一旦体を離した。

そして、私をうつ伏せに寝かせると腰をグイっと上にあげた。

 

「獣みてぇだな」

「えっ、えっ、銀ちゃん?」

 

私の顔は神威が潜り込んでる布団の真ん前に来ていた。

嫌アル。こんなのさすがに恥ずかしい……

だけど、さっきよりも私の体からはポタポタとイヤラシイ液体が溢れていて、この状況に興奮しているみたいだった。

それに気付いてる銀ちゃんは躊躇うことなく背後から私を一気に貫いた。

私のカラダは興奮を隠すことが出来ず、ジュブジュブと音を立ながら銀ちゃんのを根本まであっという間に呑み込んでしまった。

さっきと違う。ずっと深い。

 

私は神威の布団をギュッと掴むと声が出ないようにと必死に堪えた。

だけど、銀ちゃんは容赦なく私に腰を打ち付ける。

そのせいで私の体はすっかり快楽の虜だった。

銀ちゃんが好きだから、こんな気分になるアルカ?

でも、神威に弄られても同じように気持ち良いと思ってた。

もし、あのまま神威と1つになってしまっていたら……

私は出来るだけ考えないようにした。

 

「神楽、お前今なに考えてた?」

 

背後から銀ちゃんが私に囁いた。

それに心臓が大きく跳ねた。

なんでそんな事を聞くんだろう。

もしかして、バレてしまったアルカ?

 

「すげぇ、濡れてんだけど」

「うっ、嘘ネ!」

 

なんで神威のこと考えて……そんな……絶対。

なのに目の前に神威が居ること、さっきされたこと。

そんな事を思い出せば思い出すほど、カラダは疼いて全てが分からなくなるくらい壊して欲しくなる。

 

「ぎぃ、ぎんちゃあっ!」

「声がでけェって」

 

銀ちゃんは動きを止めると私を抱えたまま仰向けに寝転んだ。

そして、腹の上に私を座らせるとニタニタした顔で言った。

自分でしてみろよって。

 

「そ、そんなの恥ずかしすぎるアル。出来るわけ……」

 

なのに銀ちゃんは私の足を思いっきり広げると、私の濡れている性器を触った。

もう、全部丸見え。

恥ずかしくて嫌がってるはずなのに、体が疼いてることがバレバレだった。

 

「お前なら出来るから。絶対大丈夫だから」

 

なにが大丈夫ネ。

そんな励ましなんていらないアル。

だって、もう欲しくて欲しくて堪らないから。

私は自分で足を広げると、銀ちゃんの固く上を向いてる性器目掛けて腰を下ろした。

 

「やれば出来ると思ってたわ」

「しょ、そんなのっ」

 

当たり前アル。

だって、これ大好きになったアル。

初めてなのに腰の動き止まらないヨ。

私のだらしなく開いた口からは体液や声、色んなものがだだ漏れだった。

銀ちゃんはそんな私に何度も動くなと言っていた。

だけど、そんなに簡単にやめられないアル。

火を点けたのは銀ちゃんなんだから。

止まらなくたって怒らないでよネ。

 

「かっ、神楽ちゃん。ちょっといい加減下りよう!下りねぇとちょっ、マジで……」

 

銀ちゃんの顔は熱く火照っていて、私が前のめりになって飛び付けば、銀ちゃんはふぅふぅと苦しそうな声をあげていた。

 

「なんか犬みたいアル。可愛いネ」

「あっ、あぁ?天下の白夜叉捕まえて、それはねぇんじゃねーの?」

 

銀ちゃんは隙を見つけたと言わんばかりに私を押し倒すと、銀ちゃんと私は上下逆の体勢になった。

見えてる銀ちゃんはいつになく真剣な眼差しで私を上から見下ろしていて、そんな真面目な銀ちゃんに私の心臓は大きく跳ねる。

 

「愛してる」

 

聞き慣れないそんな言葉に体が溶けてしまいそうだった。

もう、この耳も口も目も鼻も全部、私の体は銀ちゃんのものアル。

 

「私も愛してるヨ」

 

そうして私と銀ちゃんは、あっという間に2人で溶けてしまった。

嘘みたいに思えるけど、多分全て本当のこと。

朝になって全て忘れてしまってたとしたら――私は悲しむんだろうか、それとも喜ぶのかな。

 

2012/09/16