※近藤→おっさん、神楽→神楽さん。

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美女と野獣・上/近神

 

カラオケ店の個室。

酔い潰れたゴリラが一匹、冷たい床に突っ伏して涙を流している。

そのゴリラ――近藤勲の傍らには、ハッと息を呑むような美女が腕を組み、仁王立ちで見下ろしていた。

 

「……だらしないアルナ」

 

スタイルの良い体。

女はその体つきからは想像出来ないような力を発し、大柄な近藤を担ぎ上げた。

近藤は真っ赤な顔で足元もおぼつかず、その女へと全体重を預けていた。

 

神楽。

野獣のような近藤を担ぐ美女の名前だった。

神楽はカラオケ店から近藤と2人で通りに出ると、雪がちらつく空を仰いだ。

そして、隣の近藤を見てため息を吐いた。

 

今日神楽は合コンのため、カラオケ店を訪れていた。

前々から友人であるそよ姫に、一度で良いから合コンに行ってみたいと神楽はお願いされていた。

しかし、いくら大切な友人の頼みとは言え、一国の姫を一般人との合コンに連れて行くことは正直なかなか難しい事だった。

安全第一。

それが前提条件である。

いくら神楽がついてるとは言え、城から許可が下りるとは思えなかった。

なら、お忍びで?

どうしたらいいだろう。

そこで思い付いたのが、武装警察・真選組の隊士達相手に合コンを開催するだった。

そよ姫は飽くまで“合コン”の雰囲気を味わいたいだけだろう。

本気で姫様が一般人から恋人を探すつもりはないハズ。

ならば、相手が真選組の隊士であっても文句はないだろう。

それにアイツら芋侍にとっても悪い条件じゃないだろう。

そう考えた神楽は合コン開催の為に近藤の元を訪れ、許可を貰ったのだった。

 

それが一週間前の話だった。

しかし、案の定そよ姫は公務の予定が入りキャンセルとなり、他の女子はと言えば――まさか当日になって神楽以外全員、突然の奇病に掛かるなど誰が想像出来ただろうか。

カラオケ店に着きドアを開けた瞬間、イスに腰掛けているゴリラ・サル・チンパンジー……彼女達はそれらを見た瞬間に発熱と目眩に襲われ、一斉に具合が悪くなり帰って行ったのだった。

残された神楽は真選組のボスゴリラに苦笑いを浮かべた。

 

「合コン中止アルナ」

 

その言葉にサル顔とチンパンジー顔の若い隊士は仕方ないかと、物分かりが良く帰って行った。

なのに、近藤は肩を落としたままソファーから立ち上がる様子がなかった。

神楽は近藤の隣に腰掛けると、大きな背中に手を添え首を左右に振った。

 

「せめてトッシーかバカサド連れてくるべきだったネ」

「……顔か、そうだな。顔だよなぁ」

 

そう呟いた近藤は浴びるように酒を飲み始めると、マイクを片手に熱唱した。

そんな近藤に神楽も暇になったし付き合ってやるかと、頼めるだけの食事を注文したのだった。

 

 

 

夜風に辺りながら神楽は近藤を真選組屯所に送り届けようとしていた。

別にゴリラを野に返すだけなんだからその辺に捨てても良いかと考えたが、さっきからうわ言を繰り返す近藤にどこか見捨てる事が出来なかった。

 

「俺ァよぉ……お妙さんをいい加減に諦めてぇんだよォ」

 

その言葉はとても痛々しく、神楽には近藤の言葉と心がチグハグに思えた。

鼻声で涙声。

神楽は好きな人を諦めるなんて、自分でどうにか出来るものじゃない事を知っていた。

見てる横顔がこちらに向く事がなくても、好きでいることをやめるなんて――

 

「チャイナ」

 

突然、足を止めた近藤は神楽のあだ名を呼んだ。

心なしか近藤が震えている気がした。

神楽は先ほどよりも更に強く近藤の体を支えると、何かと言葉を待った。

だが、近藤が言葉を紡ぐ事はなく、真っ赤な顔で神楽を見つめているだけだった。

その眼差しがどういうわけか神楽の心臓を大きく跳ね上がらせた。

ナニコレ。

今までに感じたことのない体の異変に、どうも居心地が悪くなった。

 

神楽と近藤はただの腐れ縁の付き合いだった。

特別に仲が良いわけでもないし、むしろ万事屋の邪魔ばかりするなどと思うことはあったが、どこか持ちつ持たれつの関係だと思っていた。

今回の件も真選組の土方に話していたとすれば一蹴されかねなかったが、近藤だからこそ実現した事だった。

利害さえ一致すれば話が通る軟らかさを神楽は近藤には感じていた。

真っ裸になったり、プロストーカーだったり、印象は決して良くはなかったが、悪いヤツとも思うことが出来なかった。

何故か憎めない。

それは近藤がバカだからか?

それともアホだからか?

憎めないと思ってしまう原因は神楽にも分からなかった。

 

そんな近藤が今、真っ直ぐな目で神楽を見つめている。

 

「なにアルカ?」

「……我慢できねぇ」

 

その言葉に神楽はまた心臓を跳ね上げた。

今度はその後もドキドキが止まらない。

何故なら、今立っている場所が場所だからだ。

ネオンが煌々と輝くホテル街。

どこもかしこもアダルトな看板を掲げ、休んで行きませんかと誘っている。

休むとは言っても名ばかりで、どの部屋もカロリー消費に明け暮れていた。

神楽はその現実を知っている年頃なだけに、近藤の言葉に震えていた。

アネゴを忘れたくて……私を?

神楽はそんなスキャンダラスな遊びなど、今まで一度もしたことがなかった。

慣れない状況に言葉なんて出てくるわけがなく、神楽は唇を噛み締めた。

 

「もう限界」

 

近藤はそう苦しそうに言い放つと、何も言わないでいる神楽の胸元に――

胃の中のモノを全てぶちまけた。

真っ青な顔の近藤と真っ赤な顔の神楽。

 

「おいいいいッ!何してッ、うっぷ、私もなんかぎもぢわるぐ……」

 

神楽はありったけの力を振り絞ると近藤を担ぎ上げ、安っぽいピンクの看板が眩しいホテルへと入って行った。

 

 

 

近藤をベッドへぶん投げると、神楽はチャイナドレスのまま浴室へと飛び込んだ。

そして、シャワーを勢い良く出すと服ごとお湯を浴びたのだった。

お気に入りのチャイナドレスも下着も何もかもずぶ濡れだ。

脱がなきゃ。

そう思うも、全面ガラス張りの浴室に、神楽はそれを躊躇っていた。

見えてる先の近藤はベッドの上でグロッキー。

きっとこちらには気づいていないはず。

だけども、神楽の指先は震え、心臓も高鳴った。

恥ずかしいけど、いつまでもこのままではいれない。

 

「起きるなヨ、絶対」

 

神楽は祈るような気持ちでチャイナドレスのホックに手を掛けると、服に付いた汚れをキレイに洗い流し脱ぎ捨てた。

そのまま勢いで濡らした下着も脱いでしまうと、急いでタオルを体に巻いたのだった。

 

「乾くまでタオル一枚アルナ」

 

頼りない薄いバスタオルに艶かしい体を包んだ神楽は、素早くベッドに潜り込むと眠っている近藤に背を向けた。

明日の朝には確実に服も下着も乾いてるだろう。

それまで男の隣で裸でいることにはなるが、近藤なら大丈夫だろう。

神楽はそう思い、丸まって目を閉じた。

 

「眠れるかーい!」

 

神楽はやはり眠れないと身体をベッドの上に起こした。

隣の近藤は随分と顔色もよくなり、イビキをかいて眠っていた。

神楽は一人何も知らない近藤に少し腹立たしくなった。

誰のせいでこんな目に遭ったのか。

それはオマエだとぶん殴ってやりたかったが、起きられると厄介だと殴り飛ばすのは諦めた。

 

「暇だしテレビでも観るかナ」

 

神楽は枕元に置いてあったリモコンをテレビに向けた。

そして、電源ボタンを押せば、神楽は画面に映った映像に思わずテレビを消した。

そして、自分の背中の向こうで眠っている近藤を振り返り見た。

 

「あっぶな!セーフアルナ。良かった」

 

近藤は相変わらず眠っていて、神楽はホッと息を吐いた。

それにしても……まさか、裸の男女が獣のように求め合う姿が映し出されるなど、全くの想定外だった。

 

男の荒い呼吸と女の艶かしい声。

そして、女の身体に伸びた男の手が欲望のままに這いずり回る。

たったの一瞬だったが、男が女を愛撫している事は神楽にも分かった。

 

「……なんか、熱いネ」

 

神楽は両頬に手を添えると、自分の顔の熱さに参った。

たったアレだけのことに、興奮してしまったのだ。

身を包む薄いタオルすら脱ぎ捨ててしまいたい。

だが、やはり背中で寝ている近藤の存在にそんな事は出来なかった。

しかし、熱い。

神楽は寝ている近藤をしばらく見つめていた。

じーっと何かを考えているようだった。

 

「いいこと思いついたアル!」

 

神楽は突然立ち上がると、使われていないタオルをどこかから持ってきた。

それを寝ている近藤の顔に巻き付けると、近藤の視界を遮ったのだった。

 

「これなら起きても大丈夫アルナ」

 

神楽はそれに満足すると、身に付けていたタオルを外してしまった。

そして、また近藤に背を向けて座ると、テレビの電源をつけたのだった。

 

「……さっきよりも、激しくなってるネ」

 

神楽は食い入るようにその映像を見ていると、身体をモゾモゾとくねらせた。

テレビの中の女は気持ち良さそうに喘いでいる。

神楽はそんな映像に身体の中心が疼き、刺激を求めていた。

神楽はベッド上で正座している足を崩すと、膝を立て股を軽く開いた。

そして、割れ目へと手を伸ばすと、そこは既に熱く溶け出していた。

 

神楽は後ろを気にするも、指の動きを止める事は出来ず、苦悶の表情を浮かべると声をグッと我慢した。

しかし、ピチャピチャと水分を含んだ音までは止められず、神楽は近藤の耳も塞いでおけば良かったかと後悔した。

 

「ンくっ!」

 

神楽は声を必死に我慢すると身体を震わせて絶頂を迎えたようだった。

そのままバサッとベッドに倒れるも、テレビの中の行為に興味は引かれていた。

 

「……ハァハァ」

 

神楽は無言で近藤を見るとまた身体を起こした。

そして、寝ている近藤に近寄ると、真っ赤な頬のまま険しい表情をした。

 

「最悪ネ」

 

好きでもない男の前で素っ裸な上に、眠っているとは言え隣でイヤらしい行為をした。

そんな自分は普段ならあり得なかった。

なのに、胸の高鳴りとどうしようもなく疼く身体が神楽から理性を奪っていた。

最悪だと分かってはいたが、もう止められない。

テレビの真似をするように、神楽は恐る恐る近藤の手を取ると、自分の胸へと導いた。

 

「っ!」

 

温かい。それが胸全体へと広がった。

自分のモノとは全く違う武骨な手に、神楽は身体を震わせた。

気持ち良い。

自分の柔らかく形の良い胸が近藤の手によって雑に形を変える。

起きてしまうんじゃないかと心配する気持ちはあったが、目隠しをしていては何を触っているか分からないだろうと踏んでいた。

 

神楽は近藤の指先で自分の胸の先端をつつくと、思わず声を漏らしてしまった。

ビリビリする、今までになかった感覚。

神楽はまた身体の中心が熱くなるのを感じた。

もっと、シたい。

神楽は寝ている近藤に向かって膝を立てると、大きく股を開いた。

 

「さすがに……これはまずいアルカ」

 

神楽は恥ずかしい格好になるも興奮しているようだった。

今、この瞬間にゴリが起きたらどうするネ?

しかし、まだ大丈夫だと、神楽は掴んでいる近藤の手をゆっくりと自分の熱い割れ目へと導いたのだった。

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美女と野獣・下/近神

 

神楽は自分の身体の中に、ズブズブと音を立てるように入っていく近藤の指を直視出来ないでいた。

 

「あっ……はぁ」

 

神楽は吐息のような声を上げると、自分の中に吸い込まれてしまった近藤の指を今度はゆっくりと引き出した。

近藤の指が神楽の体液でテカテカ光っており、僅かに糸を引いていた。

神楽はそれを恥ずかしく思い、また中へと差し込んだ。

気持ちいい。

神楽は恍惚の表情を浮かべると、ゆっくりその行為を二、三回繰り返した。

 

「むにゃむにゃ」

 

突然近藤が何かを言い、僅かに体を動かした。

そのせいで神楽の中にある指が思わぬ動きをした。

 

「それっ、だめアル!」

 

神楽は今までと違う大きな快感の波に体を仰け反らせた。

足の先はピンと伸び、膣内はキュッと近藤の指を締め付けた。

神楽は好きでもない男の指で絶頂を迎えたのだった。

それは自分の指とは比べようのない程に気持ちが良く、近藤のことはどうでも良いのだが、近藤の指の事は大好きだと思った。

 

神楽はどうにか落ち着くとようやく近藤の指を自分から抜いた。

近藤は相変わらずグーグーと眠っていて、バレていない事に神楽は安心した。

しかし、まだ神楽は満足出来ていなかった。

何を求めているか分からなかったが、身体が新たな刺激を求めている事だけは分かっていた。

テレビ画面を見れば、男の顔に跨がった女が男の何かを握っていた。

ボヤッとしかそれは映っておらず、それがどんな形でどんなものか神楽には分からなかった。

だが、検討はついていた。

前に近藤が下半身を露出した時に見たアレだろう。

あんなの触りたくないとも思ったが、自分のを触らせた以上偉そうな事は言えないと、見よう見まねでテレビの真似をした。

 

神楽は恐る恐る近藤の顔に跨がると、次は近藤の袴の腰ひもを解いた。

今、この瞬間近藤が目を覚ましたら?

神楽はそうなったら寝たフリでもすればいいと、一気に近藤の袴をずり下げた。

下着も一緒に下げたせいで、近藤の下半身は神楽の眼前に無防備な姿で晒された。

ムワッとした男臭いニオイが漂う。

 

「これ、握るアルカ?」

 

神楽は自分の馬鹿力にどれぐらいの力量で握ればいいか分からず、指で軽くつついてみる事にした。

 

「うおっ」

 

僅かだが、近藤の仔近藤が反応を見せた気がした。

まるで生きているようだ。

男は獣を飼ってると言うが、これがそのそれなのだろうかと神楽は考えていた。

しかし、獣と呼ぶには情けなく横たわっており、猛々しさは皆無に思えた。

 

ふと神楽がテレビに目をやると、女が男のそれを口に頬張ってる姿が映っていた。

神楽は眉間にシワを寄せると、再度近藤の獸らしくない獸に目をやった。

これを口に含む?

汚いダロ!無理アル!

絶対にいやアル!

そんな事を思っているのに、目の前にある好奇心には勝てなかった。

少しだけなら?

 

神楽はポタポタと近藤の顔を覆うタオルに、自分の股から滴が落ちている事に気が付いた。

カァと顔が熱くなる。

もし、今近藤が起きたらどうなるのか。

一瞬、神楽の頭にイヤらしい映像が浮かんだ。

起きちゃってもいいかも……

堪らなくなった神楽は、近藤の縮こまってるそれを一気に口の中に突っ込んだ。

 

「んん」

 

さすがに寝ている近藤も、体に違和感を感じたのか小さく唸った。

だが、起きる気配はなく、神楽は無我夢中で口の中の塊を舌でねぶった。

 

「ぷはっ」

 

遂に神楽の小さな口に収まらなくなったソレはポンと神楽の口から飛び出すと、天井に向かってそそり立った。

神楽はそれを紅潮した顔でもの欲しそうに見ると、コレをどうするべきか本能的に分かっていた。

 

神楽は体勢を変えると近藤の今度は近藤の下腹部辺りに跨がった。

そして、逞しく硬いソレを神楽は自分の柔らかく熱い割れ目に引っ付けると、自分から溢れだす愛液で滑らせた。

近藤の硬い肉の塊が神楽の割れ目をぐちゅぐちゅ音を立てて滑る。

 

「これはっ、スポーツネ……あっ、愛なんかなくてもっ、セーフアルっ」

 

神楽は近藤の肉棒を自分の中にさえ入れなければセーフだと、勝手なルールを設けた。

神楽は後ろ手に近藤の太ももに手をつき、腰を突き出すように動かしながら近藤の熱い塊へと擦り付けていた。

それは段々と激しさを増し、神楽は胸を大きく揺らした。

次々に溢れだす神楽の体液が快感の波の大きさを物語っていた。

 

「なんっで、こんなに気持ちぃアルカっ。オマエの指もコレもっ、好きっ、大好きヨ」

 

少しでも角度を変えれば中に入ってしまうかも。

神楽は近藤の収まらない勃起に少しだけならと考えてしまった。

いや、頭の中はそれでいっぱいだった。

挿れたい!ダメ!挿れたい!ダメ!挿れたい!ダメ!挿れたい、ダメ。

でも、挿れたいッ!

 

「さっ、先っぽだけなら……」

 

神楽は腰の動きをピタリと止めると、近藤の腹に手をついて前屈みになった。

そして、さっきよりも更に大きくなったように見える肉棒に神楽はゆっくりと腰を下ろした。

グチュっと卑猥な音がして、僅かに近藤の先っぽが神楽の割れ目に隠れた。

神楽の身体にビリビリと電撃が走る。

だらしなく開いた口からはヨダレが垂れる。

早く抜かなきゃ。

そう焦っているのに、腰はびくともしない。

むしろ、少しでも気を抜けば深く突き刺さってしまいそうだ。

神楽は今にも泣き出しそうな声を上げた。

 

「あぁ……もう、無理アル」

「ちょっ、ちょっと待て!」

 

突然、近藤の声が聞こえて、神楽の腕は伸びてきた手に強く掴まれた。

しかし、近藤の肉棒はどっぷりと神楽の中に沈み込み、ギュウギュウと奥の方まで締め付けた。

 

「オオッッ!オオオオオオッ!」

「あっ、あ」

 

近藤の獸のような雄叫びと神楽の吐息のような甘い声が部屋中に溢れた。

 

「なんっ、なんでこんなことになってんだ!」

「オマエのせいアル」

 

神楽は近藤の上で気持ち良いポイントを探すように腰を動かした。

そのぎこちない動きが近藤の身体を焦らす。

身悶えする近藤は歯を食い縛るも、今までの人生にない程の快感にヨダレと声が盛大に漏れた。

 

「とりあえず抜かねぇと……あああっ!マズいッッ!」

 

しかし、神楽は腰の動きを止める事はなく、近藤の言葉がまるで聞こえていないようだった。

 

「ちょっとォ!出る!出るからァアア!」

 

神楽は無視するように腰を動かし続けた。

すると近藤の肉棒が大きく膨らみ、神楽の体の中に熱いものが広がった。

神楽は身体を小刻みに震わせると、今までにない強い快感を得た。

神楽は近藤と繋がったままふらっと倒れ込むと、近藤の胸に頬を寄せた。

 

「お、おい?」

 

近藤はようやく顔を覆っていたタオルを取ると、目の前の全裸の美女に一気に顔が赤くなった。

 

「えええ!チャイナァ!ってえええ!ここラブホッッ!」

 

神楽は小さくコクンと頷くと、もう回復したのかまた身体を起こした。

神楽のたわわに実った胸と括れた腰、繋がっている結合部その他諸々が一気に近藤の目に飛び込んで来た。

 

「あれ?また硬くなったアル」

「チャイナ」

 

近藤は急に起き上がると、突然神楽の身体を抱きしめた。

神楽は何かと思ったが、優しく抱き締められたせいか全然嫌ではなかった。

むしろ、どこか心地よさを感じていた。

 

「何があってこうなったか正直分からん。すまねぇな。でもよ、お前も嫌じゃなかったんだろ?」

 

近藤は上半身の着物を脱いでしまうと、今度は神楽を自分の下に寝かせた。

近藤の身体が神楽にグッとのし掛かり、先程までとはまた違った深い位置で身体を繋いだ。

 

「無理矢理にするつもりはねぇが、今は止めろと言われて止められそうにねぇ。でも、どうせこれは夢だろ?」

「フン、そう思うなら無理矢理にしたっていいジャン」

「……だよな」

 

2人は身体が求めるままに肉体を擦り合った。

全てをさらけ出し、まるで獸のように荒々しく求め合った。

 

神楽は不思議に思った。

お互いに愛してないのに結ばれて、見つめ合う瞳が熱い。

これってなに?

たまにぶつかる視線に神楽は顔を赤く染めた。

 

「あっ、あんま、見んなヨ」

「いや、悪い。あんまりお前がベッピンなもんでな、つい」

 

神楽はそんな事を柔らかい表情でさらりと言った近藤に胸がときめいた。

じわっと温かい気持ちが胸の辺りに広がった。

でも、こんな事を言うゴリはアネゴが好きで――

 

「オマエ、アネゴが好きアルカ?」

「へ?こんな時にそういう事は聞くな」

 

神楽は自分の上で動く近藤から不満そうに顔を背けた。

何だか怒られたような気がして、神楽は少し不貞腐れた。

なのに、どうしようもなく身体は気持ちがよくて、神楽は近藤に懇願してしまった。

 

「もっと擦ってヨ」

 

そう言った神楽の赤い横顔に近藤は胸を高鳴らせた。 

身体中の血液が下腹部へと集まる。

生唾を飲み込んだ。

 

「……たまんねぇな」

 

近藤は神楽の仰せのままに腰を速く打ち付けてやった。

その腰使いに悶える神楽は手を伸ばすと、近藤の身体を自分にぐっと引き寄せた。

そして、何か言葉を囁きたくて唇が疼く。

何を口にすれば良い?

だけど、近藤の名前も今の気持ちも何も分からないから、神楽はその唇を近藤の唇に―― だが、近藤が首を振ると神楽は諦めた。

キスまで求めるなんて私、何やってんダヨ。

身体はヤケドしそうな程に熱いのに、胸の中はグッと体温が下がったかのように冷たかった。

 

「もう限界だ」

 

そう呟いて自分の身体から離れようとする近藤に神楽は必死にしがみついた。

意地悪をしてやりたい気持ちと、その身体から離れたくない気持ち。

あとは、何がなんだか分からない快感のせいだった。

 

「へ?いや、ちょっとォ!出るゥウウウ!あっ……」

 

近藤から神楽の体内へ白濁色の体液が注ぎ込まれた。

二度目とはいえ、神楽の膣内からは白い液がコポコポと溢れだしていた。

ボヤーとした視界に神楽は目を瞑った。

近藤の汗やニオイ、息遣い、色んなことが神楽に届く。

いや、息遣いは聞こえなかった。

 

「え?オイ?ゴリ?」

 

どうやら神楽は近藤に力いっぱいしがみついていたらしく、腕の中の近藤はと言うと白目を剥いて気絶していた。

 

 

 

最近、真選組隊内である噂が流れていた。

それはあの近藤局長が志村妙のストーカーを卒業したと言う噂だった。

隊士達は初めこそ飽くまで噂だと気にしなかったが、近藤がスマイルにも通わず連日大人しくしている姿に、こればかりは真実ではないかと思い始めていた。

 

「遂に近藤さんも現実を受け入れたんでさァ。さすがは近藤さんだ。振られたことをようやく学習したんでさァ。これでようやくゴリラから人類に進化出来るな」

 

沖田は道場に若手の隊士達を集めて何やら話終えると、軽い足取りで道場から退出した。

そんな沖田と廊下ですれ違った土方は不気味そうな面構えで首を捻ると、道場でたむろしているサボり達に一喝入れた。

 

「テメェら、訓練はどうした!今から素振り1000回だ。手ェ休めんじゃねェぞ。斬るからな」

 

土方がギロリと隊士達を睨み付ければ、隊士は飛び上がり一斉に竹刀を握りだした。

土方は呆れた顔でそれを見ていたが、さっきの沖田の雰囲気からアイツに逆らえず仕方なく集ったんだろうと考えていた。

沖田が集めて話したとすれば、近藤の噂話をしていた事は間違いないはず。

土方もその噂は耳にしていた。

確かに近頃はどういうわけか、真面目に勤務している。

それに越したことはないが、どうも土方は引っ掛かっていた。

何故、急に。確か、近藤さんがストーカーをやめた噂が出たのは――?

 

土方は一人青い顔をして竹刀を握る山崎を見つけた。

そのあまりにも憔悴しきったような表情に、土方は山崎を手招きした。

 

「なんだその面は。腹でも下したか?」

「ふくちょ~!それならまだいくらかマシですよ!」

 

今にも泣きだしそうな山崎に、さすがの土方も理由を聞かずにはいれなかった。

 

「何があった?」

 

山崎は真っ青な顔で土方を廊下に引っ張り出すと、小さな声でこう言った。

 

「副長、誰にも言わないで下さいよ。特に沖田隊長には……」

 

土方は煙草を加えたまま黙ってうなずくと、山崎の言葉に耳を傾けた。

 

「何から話せば……ハァ。俺、先週末に飲酒運転の取り締まりで、飲み屋街で突っ立てたんですよ。そしたら、カラオケから出てきてホテル街の方へ向かう局長と……」

「近藤さんと誰かが……つまり、そういう事だな」

 

山崎はコクリと頷いた。

土方は山崎の様子から察するに、近藤がカラオケ店から共に出てきた人物に問題があると予測した。

ただ、山崎が青い顔をする人物だとすると、だいたいは女のナリをした男か……むしろ男かと土方はゾッとした。

 

「待て、山崎。近藤さんは酒にでも酔ってたんだろう。そういう間違いがないとは言いきれねェ。お前だって機械にホレたり男を抱いた事くらいあんだろ」

「何言ってんですか、副長。とりあえず、局長がその……万事屋……」

 

土方に激震が走った。

加えていた煙草を落とし、立ちくらみに思わず山崎にしがみついた。

まさか相手が知り合いだったとは……。

まだ隊内の者に手を出さなかっただけマシか?

土方は自分の上司のとんでもない秘密を目撃した山崎を不憫に思った。

そして、それを聞いてしまった自分も可哀そうだと思った。

 

「副長?聞いてます?それで、そのまま二人でホテルへ入って行ったんですよ!俺、もう何て言うか……」

「まぁ、そうだな。言葉はでねェよな」

「羨ましくて、羨ましくて!あの人、ゴリラですよ!なのになんでですか!?俺、悔しくて電柱の影から二人が出てくるのを、朝まで待ってたんですよ!そしたら、仲良く手を繋いだ二人が出てきて、俺それ見てたら朝勃ちなのかなんなのか、ガチガチでしたから!」

 

土方は山崎の言葉にまたもやに驚愕した。

山崎までもか。

まさか、いくら女に飢えてるからと言って、こうも次々と男に走られるとは。

土方は副長として、今度隊士達をキャバクラにでも連れて行ってやろうと思った。

 

「山崎、お前も疲れてんだろ。いいか、休暇を取れ。これは命令だ、休め」

「いや、もう大丈夫です。副長に話したらスッキリしました。それよりも、沖田隊長にだけは絶対に漏らさないで下さいね。色々複雑でしょうから」

 

土方はひたすら驚愕の連続だった。

総悟までもか!

ついに土方はその場にへたり込んだ。

 

「やめろ、もうやめろ。分かった。俺の方が疲れてるらしい」

「いやぁ、でも他の隊士もたまに屯所で見かける度に、良いなって狙ってるヤツもいたとかいないとか」

 

土方はついに勘違いをしたまま山崎と別れた。

もう、この屯所に身を置いておくのは危険すぎるとの判断だった。

土方はパトカーに乗り込むと、とりあえずここから出ようと車を走らせた。

そして、信号待ちの為、交差点で停車していると、パトカーの横を近藤と腕を組んだ神楽が通り過ぎて行った。

 

「……病院、いこ」

 

土方はそのままパトカーを病院へと向かわせた。

 

2013/07/06

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