[MENU]

甘いお菓子にご用心/銀神

 

 たまに、末恐ろしさを感じる。

 神楽のことだ。

 俺は自分をド級のSだと思ったりしているが、神楽の前での様子を振り返ってみるに……俺はトンデモなく打たれ強いドMだった。

 何かある度に文句の一つもなく、殴られ蹴られ。ンな事だから、下の連中にも甘いだの、ロリコンだの馬鹿にされんだろうな。

 うっせェ、誰がロリコンだ。

 

 夜、居間のソファーに座ってた俺は、そろそろ歯を磨いて布団にでも入るかなんて考えていた。なのに今の今、神楽の奴がまだ半乾きの髪のまま、俺のすぐ側にまで迫って来たせいで、それは妨害されることとなった。

 俺の膝に跨って座った神楽は、目を三角にしていた。

 何怒ってんだ。つか、顔がちけーんだよ。それと、膝の上に乗る必要なくね?

 

「なんっでプリン無くなってるアルカ! お風呂に入る前まで、ちゃんと冷蔵庫にあったダロォ!」

 

 プリン。身に覚えがあった。だって、さっき風呂上がりに、俺が食ったんだもん。そういや、フタにマジックペンで名前が書いてあったような……ヤベ。あれ神楽のだったのか。だが、俺は神楽に嘘を吐く事には、もうすっかりと慣れていた。罪悪感のざの字もねぇ。

 

「はぁ? プリン? あぁ、あの茶碗蒸しな。茶碗蒸しなら、さっき定春にやったわ」

 

 神楽の表情が怒りから、呆れたようなものへと変わった。そして、目を瞑ると、軽く首を左右に振った。風呂上がりのいい匂いが漂う。

 

「オマエ、本当に最悪アルナ。定春に罪着せて許されると思ってんのかゴルァ!」

 

 神楽はそう言うと、俺の額目掛けて頭突きをした。ぶつかった衝撃で俺の脳は激しく揺さぶられ、痛みと共に眩暈がした。

 これ、頭割れたんじゃね? いや、マジでヤバいだろ。

 どうやらこのダメージは、体だけじゃなく精神にも影響したらしい。霞む視界の先にいる石頭の持ち主を見たら、何とも言えない不安な気持ちになった。

 

「ちょ、神楽? 何してんだよ」

 

 額をさする事も許されないのか、神楽は膝の上に跨ったまま、俺の両腕を強い力で押さえつけていた。額に血……じゃなく、汗が滲んだ。

 見下ろす神楽の目は、まるでこんな俺を楽しんでいるかのようにニヤリと笑い、悪巧みを感じた。

 

「銀ちゃん、何度言ってもダメアルナ。こうなったら、体に覚えさせるしかないアル」

「……おいおい、冗談だろ。アレは確かに茶碗蒸しだったって」

「まだ謝らないアルカッ!」

 

 神楽は俺が謝罪するまで、許す気配はなさそうだった。なら、テキトーに謝っちまうか。

 俺が渋々、神楽に謝罪の言葉を口にしようとした時だった。神楽がまた頭突きをした。

 いってェェェ! 今度こそ頭割れたァァァ! 絶対コレ、割れただろッッッ!

 

「どうせ口先だけダロ!」

 

 神楽がンな事を言いながら、急に俺の両腕から手を離した。

 え? 気が済んだ? 許してくれんの? だが、それも束の間の喜びだった。次はネチネチと精神への攻撃が始まった。

 神楽は俺の耳元に顔を近づけると、心をえぐるような言葉を投げてきた。

 

「いい大人が恥ずかしくないアルカ? それとも、そんな嘘しか考えつかない可哀想なオツムアルカ? プリンを茶碗蒸しって……ばっかみたい」

 

 俺を嘲笑うような神楽の笑い声が鼻についた。

 

「あっ、もしかして本当に間違えたアルカ? さすがは馬鹿舌ネ。頭も悪い、舌も悪い……本当に可哀想になってきたアル」

 

 黙って聞いてりゃ随分と。俺は静かに涙を浮かべた。

 つか、プリンを食べたのは、そんなに悪いことだったの? 俺の家の冷蔵庫に入ってるプリンだろ? それをこの家の主人が食っただけの話だ。そもそもあのプリンの金は、誰が出したかってことが大事だろ……あ、神楽か。そういや、俺の全財産はパチンコに飲み込まれてたわ。

 俺は自分以外、誰も悪くない事を再確認した。

 

「もう二度としません」

 

 俺は素直に謝った。だが、神楽はそれだけで許す期限は過ぎてるようだった。

 

「じゃあ、今すぐプリン買って来いヨ!」

「分かった。すぐに買いに行くから、とりあえず500円を――」

 

 3度目の頭突きを喰らった。

 

「もっと酷いことして欲しいアルカ? そうか、そうか。分かったアル。お望み通り、苦しませてやるからナ」

 

 すると、神楽はソファーの上に脱いだままになっていた俺の着物の塊から、腰紐を掴み取った。それを持ってニッコリ笑う顔に、どこかの誰かを思い出した。

 ゾクリと背筋が凍る。

 

「ちょっと、待て! 落ち着けェ!」

 

 だが、神楽は俺の両腕を頭の後ろで縛り上げると、無邪気に微笑んだ。

 

「馬鹿には躾が必要アル」

 

 俺はどうやら今から、この小娘に調教されるらしい。思わず変な顔になった。

 

「おいおい神楽ちゃん、躾って随分なこと言うじゃねーか。銀さん、お手もおかわりも、ちんちんだって出来んだけど」

「……だったら、見せてもらうまでネ」

「え?」

 

 神楽は俺の首に抱きつくと、寝巻きの中に片手を突っ込んだ。神楽の細い指が、皮膚の上を這いずり回る。その感触に体が震え、心臓まで激しく揺れた。

 

「ちょ、ちょっと待て! 神楽ァ!」

「もう、ただ闇雲に痛め付けてもダメアル。銀ちゃん、全然反省しないダロ」

 

 いや、だからってコレはダメだろ! 反省するからァ! もう、二度とプリンを茶碗蒸しだなんて嘘つかねぇからァ!

 だが、そんな心の声など届くはずもなく、神楽は遂にその指で俺の起動スイッチを押した。

 

「ヒャアア!」

「くすぐったいアルカ? いい気味ネ」

 

 そう言って神楽は、どこで覚えたか知らねぇが、俺の首筋を小さな舌で舐めやがった。

 熱い湿った舌は俺の首筋から、耳元、あちこちに移動して体に勘違いをさせる。細い指に至っては、確信的に俺の体を呼び覚まそうとしてる。これは、本当に危機的状況じゃねーか!

 痛いのなら大抵の事は経験済みだが、こういうサービスされたことねぇから! 店のネーチャン、もっと事務的だから! 全然慣れてねぇからァ! 

 

「え、えーっと1足す1は24だから、2足す2は56で……ヤメテェェ!」

 

 神楽の指と舌の動きに、俺は一瞬意識が遠のいた。マズイ。このままだと、確実に昇天する。だが、神楽はそんな俺を冷めた目で見下ろしていた。

 

「なっさけない顔アルナ」

 

 神楽は寝巻きの中から手を抜くと、俺の両頬を手で包みながらそんな言葉を吐いた。

 

「うるせー! いいから腕をほどけェェ!」

「立場分かってるアルカ? ちゃんと謝るまで絶対ほどいてやらないアル!」

 

 ちゃんとって何だよ。土下座ってことか? 四つん這いになれって事か? これ以上、虐げんのはマジでやめて!

 神楽は俺の両頬からまだ手を離さずに、俺を見下ろしている。相変わらずその目は冷めてたが、神楽の頬は薄紅色に染まっていた。

 

「それより銀ちゃん。嫌がってる癖に、何でこんな事になってるアルカ?」

 

 神楽はそう言って俺の膝の上で、自分の尻を――俺の熱くなってるモノへと押し付けた。

 体中に電撃が走る。

 神楽の程よく柔らかな肉体が、俺の硬派な野郎をそそのかす。

 

「かぁぐらっ! いい加減にしろ!」

「苦しいアルカ? でも、仕方ないネ。私のプリン食べた罰アル」

 

 今まで俺は神楽が膝の上に乗る度に、体が反応しないように努力をして来た。ある時は下の婆さんの顔を思い浮かべ、ある時は人の生死について考えたりもした。なのに、今日でその努力は全て水の泡となった。

 

 神楽は俺のジョイスティックへと、下腹部を擦り付けるように座った。

 神楽の薄いパジャマは、危なっかしい程に熱をダイレクトに伝えた。まずい、また――反応せずにはいられなかった。

 

 いつしか神楽の冷たい視線はどこかへと消え去り、代わりに俺を溶かすような熱い瞳がそこにはあった。

 だが、気のせいだよな? 神楽は何も分かっちゃいねぇ。きっと、良くない知識を得て、試してみたかっただけだろ。

 

「ぎんちゃん」

 

 すぐそこまで迫ってる唇が、まるでこの俺を求めているように見える。

 いやいや、それはねぇ。こいつは俺をその気にさせて遊んでるだけだ。俺が苦しむ姿を見て楽しんでるだけ。つか、さっきから眩暈が酷い。間近で神楽の吐く息を吸ってるせいかクラクラする。

 本当にこいつも俺も何やってんだか。

 

「こんな遊戯、どこで覚えた? 吉原か? 」

「ツッキーは、こんな事教えてくれないアル」

 

 じゃあ、こんなのどこで――いつも神楽と戯れているど、こぞのドSのガキの顔が頭に浮かんだ。

 それこそねぇよ。あのガキが神楽と殺りあう事はあっても、ヤりあう事はねぇ筈だ。なのに、胸の中が騒がしかった。落ち着かねぇ。それどころか、神楽の妙に男に慣れた手つきに、更に騒ぎは加速した。

 俺の唇を人差し指でなぞっては、物欲しそうな目で見下ろしている。そんなに欲しいならくれてやる。だが、神楽はその桜色に染まる唇を、一向に近付けはしなかった。

 いや、近づいて来たかと思えば、急に神楽は俺の頭を抱いた。お陰で神楽の胸が顔に押し付けられた。急に何かと思ったが、それよりも俺の想像より、ずっと女の体をしている事に驚いた。なら、あのガキと何かあってもおかしくないなどと、バカな考えが頭に過った。

 だが、そんなものは、一瞬にして吹き飛んだ。どうでもよくなった。

 

 神楽は俺の頭を抱いたまま、その細い腰を動かすと、俺の体に擦り付けた。まるで、何か刺激を求めるように。

 ンな事されたら、俺のも擦られて益々硬くなる。きっと、もう隠せない程にそそり立ってるに違いない。すっかりと、気分は高揚していた。

 正直言えば、今すぐにでもこの腕を縛る紐を解いて欲しい。そして、神楽の薄手のパジャマをひん剥いて、その白い肢体を好きに弄ぶ。例えそれを神楽が拒もうが、こんな体にした責任を取ってもらうつもりでいた。

 ホント、ただのつもりだった。

 

「銀ちゃんっ、謝る気にンっ、なったアルカ」

 

 神楽はいつの間にかズレ落ちて、俺の首を抱きしめながら、腰をゆっくりと動かしていた。

 吐息混じりの神楽の声が、体を熱く燃え上がらせる。今まで聞いたことのねぇ官能的な声。まさか、気持ちいいのか?

 

「あ、謝る気? そんなもんねーよ……」

「そう、アルカ」

 

 生殺しには違いなかったが、どうも俺の体は布越しだろうと、神楽の体と触れ合える事を悦んでいた。またとないこのチャンスを、そう簡単に逃すわけにはいかなかった。もっと満喫しねぇとな。だが、神楽は俺から体を離してしまうと、俺の顔を薄笑いを浮かべて見た。

 

「人質がいること、忘れてねーダロナ」

 

 神楽の手がズボンの膨らみへと伸びると、先端をそっと指でなぞった。

 

「…………!」

 

 またしても、体に電撃が走る。だが、さっきのと比べ物になんねぇ程、腰の震えが止まらない。これは、マジでヤバい。

 

「なんで、ふぅふぅ言ってるアルカ? もしかして、銀ちゃん、虐められて感じてるネ? 変態アル」

 

 俺は必死に首を横に振るも、神楽は全てを見透かしているように微笑んでいた。

 

「腕、解いて欲しいアルカ?」

 

 俺は今度は縦に首を振った。今すぐにでも解放されて、この体をどうにかしねぇと気が狂ってしまいそうだ。だが、神楽は俺のモノを指でつつくと、意地悪く笑った。

 

「なら、謝ってヨ。ちゃんと、謝って」

「あ、あぁ。謝ってやる、だから先にこの紐を」

 

 神楽はダメと言うと、ズボンの布越しに俺のを強く握りやがった。咄嗟に目を瞑り、歯を食いしばった。情けねぇ声が漏れそうになる。

 

「謝るのが先アル」

 

 そうは言われても、俺の頭の中は、どうやって神楽に相手してもらうかでいっぱいだった。

 

「謝れないって言うなら、明日の朝まで紐解いてやらないアルって、銀ちゃん聞いてるネ?」

 

 神楽の話なんざ、耳に入っていなかった。それよりも、僅かに俺は腰を動かし、神楽にジョイスティックをしごかせた。

 

「……銀ちゃん」

 

 神楽は俺の動きに気付いたらしく、握っていた手を離すと、突然膝から下りた。

 

「お、オイ、神楽?」

 

 まさか、本当にこのまま放置ってワケじゃねぇよな? だが、神楽は無言で俺のズボンに手を掛けると、下着もろとも膝まで下げてしまった。

 

「ちょ、マジか? 神楽?」

 

 神楽は座卓の上に座ると、俺の剥き出しになった股間目掛けて足を――俺は死を覚悟した。きっと、俺は汚いと罵られ、蹴られて死ぬんだ。無様な死に方だな。神楽のプリンを食ったばかりに。だが、神楽の足は俺の股間に伸びはしたが、痛みを感じることはなかった。むしろ、俺を興奮させた。

 神楽の白い足が俺のモノを器用に刺激した。足の親指と人差し指で挟まれたまま、いつの間にか垂れ流れていた体液を使ってしごかれた。これは、さすがに限界だった。

 

「謝る……神楽、謝るから」

 

 だが、神楽の足の動きに言葉が続かない。口を開けば、女みたいな声が漏れそうだ。

 

「早く、イってヨ」

 

 その言葉の意味は何だ? 俺は神楽の真意を知りたくて、霞む視界の先の神楽を見た。

 赤い顔と潤んだ青い瞳。苦しそうに呼吸をしながら、俺のモノを刺激していた。どう解釈したって、これは神楽も興奮してんだろう。

 今すぐにでも、神楽を抱きたい。

 俺は食いしばる歯の隙間から唾液を垂らしながら、目の前の光景を眺めていた。

 

「いっぱい垂らして汚いネ」

 

 そう言った神楽は、俺を挑発するように自分もパジャマのズボンを脱ぐと、再び俺の膝に戻って来た。だが、今度は晒け出してる俺のモノを、白い太ももの間に挟み込んだ。

 柔らかく、温かい。

 その感触だけでイっちまいそうになった俺は、必死に堪えて我慢をした。だが、もうパンパンだ。次は無ぇ。次に何かやられたら、間違いなく俺は発射す自信があった。

 

「相当、苦しそうアルナ。早く謝らないからこんな事になるネ」

 

 あぁ、そうだな。だが、もう俺は充分苦しんだ。だから、そろそろ解放してくれよ。

 しかし、それを神楽に伝えることは出来なかった。

 

 神楽は遂にやりやがった。

 太ももから覗く亀頭に唾液を垂らすと、指で意地悪くなぞった。俺はその刺激が堪らなく、思わずウッと声が出た。

 たったそれだけの事だ。なのに、頭の中は真っ白に染まり、神楽のパジャマにも白い液体が掛かっていた。最悪だ。

 

「あーあ、銀ちゃん、大人の癖に漏らしちゃって情けないアル。私のこと、ガキなんてもう言えないアルナ」

 

 神楽は多分、そんな事を言いながらピンク色の下着を脱いだ。俺はもうそれが現実なのか、妄想なのかよく分からなかった。実際、今もこれは夢なんじゃねぇかと思えてきたくらいだ。

 

「……まだ、硬いままネ。一体、何にそんな興奮するアルカ?」

 

 神楽はそう言って、まだ興奮覚めやらぬ俺の肉棒に跨がると、自分の熱い性器を擦り付けた。

 やっぱり夢だ。こんな事、ある筈ねぇもんな。

 

 神楽は俺の首にしがみつくと、俺の口から零れる唾液を舐め取った。

 熱い舌が顎や首筋辺りを彷徨い、俺の体は益々熱くなった。つか、ここまでしてくれるなら、キスくらいくれても良いだろ。なのに、神楽は頑なに俺の唇を塞いではくれなかった。

 

「ねぇ、銀ちゃん。このまま擦ってると、入っちゃいそうネ。どうしよう」

 

 神楽は俺の耳元で小さく囁いた。

 

「……入る?」

 

 神楽の中にってことか。そうだよな。今、俺のは神楽の肉に擦られて、もうはち切れそうだ。

 

「銀ちゃん、挿れたいアルカ?」

 

 神楽の呼吸は荒い。きっと、神楽も挿れられたいに決まってる。だが、素直に挿れたいと言ったところで、こいつは受け入れやしないだろう。

 とは思いながらも、俺の首は激しく縦に動いていた。

 

「どうしよっかな。まだ、ちゃんと謝られてないアル」

「後でいくらでも謝ってやるから。なっ、なぁ?」

 

 神楽は俺の顎に口付けをすると、大人ぶった表情で俺を見下ろした。

 

「でも、こんなの誰かにバレたら、銀ちゃんロリコンって言われるアルヨ?」

 

 ロリコン……そうは言っても、今目の前にいるのは、男を翻弄するオトナの女でしかなかった。

 

「じょ、冗談じゃねーよ。俺がロリコンなワケねぇだろ」

 

 どっからどう見たって、お前はガキじゃねぇ……だろ?

 

「じゃあ、先っちょだけ許してあげる。その代わり、後でちゃんと謝ってヨ」

 

 いくらでも謝ってやる。お前がもう、やめてくれと言うまで謝ってやるから。だから、早く中に――

 

「でも、やっぱりダメアル」

 

 神楽はそう言って、俺のモノを手で激しく擦った。ヤバい。もうワケ分かんねぇ。どんなに抗おうが、この体は快感から逃れることは出来なかった。神楽に全て絞り出される。

 俺はだらしないことに、穴という全ての穴から体液を垂れ流した。

 

「あーあ、パジャマぐちゃぐちゃネ」

 

 俺はまたしても、あっという間に果ててしまった。

 神楽のパジャマは二度も汚れてしまい、そんなものを着てたくないのか脱いでしまうと、神楽は俺にその体の全てを遂に晒した。そして、今更照れ臭そうに笑っていた。

 

「何もしないって約束出来るなら、その腕解いてやってもいいネ」

 

 何もしない? こんなすぐ側に触ってもいい体があるのに、ンな約束出来るわけねぇだろ。

 

「分かったから、絶対何もしないから。だから、早く外してくれ!」

「必死アルナ。じゃあ、もし銀ちゃんが何かしたら、それ相応の責任取ってもらうアル」

「大丈夫だ。土下座ならいくらでもしてやるから」

 

 金さえ掛からなければ、ンなモン100回だろーが、200回だろーがしてやるよ。だから、紐を早く解け!

 神楽はようやく俺の腕を縛っていた腰紐を外すと、痺れかけていた手に血が通っていくのが分かった。

 俺はその手で神楽を抱き締めると、疼いてる唇を神楽のものへと押し付けた。そして、そのまま勢いよく座卓の上に神楽を押し倒して、俺は神楽の中へ無理やりに入ろうと試みた。

 

「銀ちゃんっ、責任取れるアルカ?」

「……もう、待てねぇの分かるだろ」

 

 疼く体が悲鳴を上げてる。俺は堪らず、神楽の中へと僅かに挿し込んだ。そうすると、既に迎える準備が出来てる神楽の体が、俺を奥へ奥へと飲み込もうとする。限界だ。

 俺は思いっきり、根本まで神楽へ突き刺してやった。

 もう、そっからは覚えてねぇ。ただ、ひたすら獣のように神楽を犯した。

 

「待って! 銀ちゃんっ、待って! 待って! イきそうアル!」

 

 感度の良い神楽の体は、そうやって繰り返し俺の下で体を仰け反らせた。

 

「神楽、このままでもいいか? 責任取るから、なぁ?」

 

 結局、俺は何度も何度も神楽の中へと注ぎ込んだ。回数なんて覚えてねぇ。ただ、体が怠くなる程に神楽を激しく抱いた。

 気付けば神楽と二人、俺は居間のソファーで眠っていた。まだ薄暗い室内に俺は再び目を瞑ると、神楽を抱き寄せもう一眠りしようとした。だが、それは叶わなかった。

 

「……オイ、これはどういう事だ。坂田さんよ」

 

 聞き覚えのある渋い声。寝ぼけ気味の俺はそれを何と無く聞いてると、頭にハゲ頭が浮かんできた。なんつーか、こうツルっとして、ピカっと――神楽の親父!?

 俺はこの身を急いで起こした。

 

「へっ、やっ、あの……」

 

 居間の入り口を見れば鬼の如く、恐ろしい顔をした星海坊主が立っていた。

 

「そうじゃねぇかと、思ってはいたが、てめぇ! やっぱりロリコンかッッ!」

「ぎゃああああ!」

 

 その後、俺は約7時間もの間、ひたすら額を床に擦り続けた。

 

「すんませんでしたッ! 責任は取りますんで、ホントッ、すんませんでしたッッ!」

 

 いくらでも謝ってやるとは言ったが、まさか本当にこうなるとは……今度から冷蔵庫のプリンには、絶対に手をつけないと俺は固く誓った。

 

2013/10/21

[↑]