※表のCHANGE!の後日談です。

ただ神楽とセックスする話。


CHANGE!土神

 

 ホテルの一室。バスローブに身を包んだ土方はベッドの上で煙草を吸いながら、神楽が風呂から上がるのを待っていた。窓の外には遠くの方まで江戸の街が広がっている。昼間から神楽とこんな場所に居る自分を何となく誇らしく思っていた。

 あれから。近藤には神楽との交際を話しておいた。それには一歩踏み出すにあたってケジメをつけると言う意味が込められている。話を聞いた近藤はやや驚いた表情をしていたが、トシが決めたことだからと他に何も言わなかった。沖田には……神楽ともう少し話を進めた後で報告するつもりだった。自分のやることなすこと邪魔されるのは目に見えているからだ。ただ沖田以上に厄介な存在が居ることを土方は知らなかった。最近、見廻りで外を歩いていると志村新八の怨念のようなものを感じていたのだ。神楽に対してどんな想いを抱いていたのか……想像に難くないが、どんなに羨まれたところで神楽を渡す気も、手放す気も微塵もないのだ。と、そんなことをぼんやりと考えていると突然、視界が真っ暗になった。そして目元に感じる熱に手で目隠しされたのだと知った。

「まさか『誰だ』なんて言うつもりじゃねェだろうな」

 自分の目を隠すなど、一人しか居ないのだ。この部屋には土方と神楽の二人しか存在しない。

「そうじゃないネ。今、どんな格好をしてるか当てるアル」

 返ってきた言葉に土方は煙草を手探りで灰皿に押し付けると、にやける口元を隠すのに精一杯であった。

「……あ? バスローブ着てんだろ、テメェも」

「違うアル。はずれネ」

 土方の体温が僅かに上昇する。

「なら、チャイナドレスか?」

 すると神楽の口が耳元に寄せられた。小さな息が当たり、ゾクリと体が痺れた。

「それも違うアル。わかんないアルカ?」

 生唾を飲み込んだ土方は、頭の中に浮かび上がるまだ見ぬ裸体の神楽を想像した。もう今のヒントから想像されるのはそれしかないのだ。他に何かあるだろうかと考えてみるも、手で体を隠して恥ずかしがる神楽しか浮かばない。

「ああ、わからねェ……まさか裸じゃねえだろうな?」

 すると神楽の手が外された。目の前の窓から射し込む光に思わず目を閉じる。

「じゃあ、正解は見て確かめるアル」

 背後でベッドの上に座っているであろう神楽。土方は振り返る前に一旦ベッドから立ち上がると、真っ直ぐに窓まで歩いてカーテンを閉めた。

 気持ちはわりと落ち着いている。惚れている女を初めて抱くのだが、流石に子供のように浮足立ってはいない。それなりの緊張と期待と興奮に身を包んでいるのだ。準備はもう整った。あとは振り向くだけである。土方はゆっくりと足元を見ながら振り返った。そして、視線をベッドの上へと移動させた。

「どう、アルカ?」

 ベッドの上で脚を横に流して座っていたのは、土方が着ていた着物を身にまとった神楽だった。

「風呂場の床に投げ捨ててあったアル。お前、慌ててたネ?」

 そう言って笑った神楽はどこか意地悪く、だが最高に良いと思った。土方は不意打ちを食らった結果となったが、こんな不意打ちならいくらでも食らいたいと思った。サイズの合っていない自分の着物を着ている神楽は、大きく開いた襟元から白い胸の谷間を覗かせていた。下着はつけていないのだろうか? 妄想を掻き立てる。

「裸じゃなくて残念だったアルカ?」

 土方はゆっくりベッドに乗ると無邪気に笑っている神楽を抱き締めた。

「いや、良い。どうせ後から……脱がせるつもりだ」

 その言葉に神楽は土方の首元に顔を埋めると、照れくさそうに小さな声で言った。

「……鼻血出しても、知らんアル」

 土方はフッと笑うと、神楽から少し体を離して顔を見つめた。神楽の瞳も既に熱く、今にも溶けてしまいそうだ。頬の赤みも風呂あがりだからではないだろう。その頬に手を添えるとそれが合図だと言うように神楽も目を閉じた。土方の手に神楽の長い髪が触れる。それが僅かに揺れて――――――二人の口唇が重なった。いつもどおりの甘く深い口づけ。ゆっくりと舌を挿し込んで神楽の小さな舌に触れる。そして軽くついばめば……蜜が溢れ出す。それを二人は分け合うようにキスをした。口唇を吸い合って、呼吸を止めて。そうしている内に神楽を押し倒した土方は、神楽と手を繋ぐと指を絡めながら長い時間をかけて神楽の口唇を解していった。だが、今日は口唇だけではない。他にも触れたいところがたくさんある。土方は口唇を離すと神楽の顔を見下ろした。

「もう、良いか?」

 それが何を尋ねているのか神楽も分かっているのだろう。長いまつ毛を伏せたままの神楽は何も言葉を発さずにただ頷くだけだ。呼吸も心なしか苦しそうである。だが、土方の方が苦しいのだ。余裕があると思えていたのだが、それは最初のうちだけど今はもうただただ神楽が欲しかった。

 神楽と繋いでいた右手を離すと、神楽の羽織っている着物の胸元をまくった。指先に触れる肌は絹のようで……そして遂に何にも包まれていない神楽の乳房が顔を出した。神楽の顔を見ればキツく目を瞑り、恥ずかしさを堪えているようであった。自分から抱かれたいと言っていたわりには、随分とウブな反応を見せるのだ。

 土方は何も言わずに神楽の手に余る程の乳房を揉むと、再び口づけをした。初めは優しく包み込むように揉んでいたのだが、どうしても神楽の勃ち上がった乳首が気になった。それを指で摘むように撫でれば…………

「んッ! ふぅ……んんっ……」

 神楽の声が小さく上がった。どんな顔で鳴いたのか見てみたいと土方は顔を離すと神楽を見つめた。

「な、なんで見るアルカ! いや……あッ、いやぁ……」

「ンなことでいちいち恥ずかしがってたら……子供なんて作れねェだろ……」

 土方はそう言ってもう片方の乳房も着物の外へ出すと吸い付いた。舌先で転がすように撫でながら、赤ん坊のように意味もなく吸った。チュルチュルといやらし音が漏れ、それに重なって神楽の声も短く響く。

「あッ、あんッ、んんッ……」

 神楽は苦しそうにシーツを掴むと、足先に力を入れて身悶えしていた。

「も、もう、やあ、んッ……やめ……ろ……ヨ……」

 何故止めなければならないのか。土方は理解に苦しんだが、神楽の震える声に一旦愛撫を中止した。顔を上げれば、紅潮した頬でだらし無く口を開け、息を荒げる神楽が飛び込んできた。実に艶めかしく、淫らで、美しい。土方は今だけは煙草の事など頭になく、どんなものよりも神楽が欲しいと望んだ。羞恥と苦悶が混ざった表情。それが土方の体を熱くさせた。手を乳房から離すと、下へ下へと滑らせて遂に神楽のショーツへとた辿り着いた。僅かに脚を開かせて、その隙間に手を差し込めば……下着の上からでも分かるほどに濡れていた。そこをゆっくりと指の腹でなぞり上げる。すると、またしても神楽の呼吸が荒いものへと変わり、シーツを掴む手に力が加わった。

 布越しにも分かるほどにクリトリスが勃起していて、そこを押しこめば止めどなく愛液が溢れだした。

「ふッ、んっ、あンッ……はぁ……はぁ……」

 小さく遠慮がちな鳴き声が耳に入る。だが、土方はそろそろ足りなくなっていた。もっと神楽の可憐な声を聞かせて欲しかったのだ。自分しか聞くことの出来ない嬌声を。土方は神楽の下着を乱暴にずり下げてしまうと、片足を持って大きく開かせた。

「見るなヨ……!」

 そう言って顔を両手で覆っている神楽に構わず、土方は薄紅色の割れ目に釘付けであった。まだ男を知らない無垢な体。恥ずかしいと言っているが、割れ目からは雫が滴り落ちている。きっと神楽も早く何かを咥えたい筈だ。だが焦りは禁物である。土方は痛くないようにと、膣穴の周りを優しく撫でて解してやった。まだ膣穴の周りを撫でているだけだと言うのに、水分を含んだ卑猥な音が聞こえる。ピチャピチャと神楽の愛液が止まらないようだ。神楽は先ほどから顔を見せずにいるが、多分気持ちよさは感じているのだろう。土方はそれに嬉しくなると、遂に中指を静かに沈めていった。

 ヌチャっと絡みつく神楽の甘い蜜。そこは既に潤っており、いつでも土方を迎え入れる準備が出来ていた。

「痛かったら、言え。すぐにやめてやる」

 そう言って土方は呼吸もままならない神楽の奥へと更に指を挿し込んだ。肉をかき分けて押し進む感覚。己がこじ開けていくのがよく分かった。ズブズブと沈んでいくと、あっと言う間に第二関節まで飲み込んだ。今度はそれをゆっくりと引き抜いていく。すると神楽の顔から両手が離され、土方の腕を掴んだ。

「そ、それ、やッ、ダメ……ダメ……アル」

「痛むのか?」

 しかし、神楽は目に涙を溜めてジッと動かなくなった。そして、今にも溶けて消えてしまいそうな表情でこちらを見ると声にならない声を上げた。

「おかしく……なっちゃうヨ……」

 土方のタガが外れた瞬間であった。理性と言うものが吹き飛んだのだ。神楽がおかしくなって、そしてもっと淫らに乱れてくれると良いなと言う、いち青年が持つ欲望が溢れだした。神楽の言葉に反して、指の出し入れを繰り返したのだ。

「あッ、んッ……あン、あッ、あンッ……」

 身を捩る度に大きな乳房が揺れて、細い腰が誘うように動く。堪らず胸にしゃぶりつけば、神楽の声が一段階激しくなった。

「トシッ、おかしくなっちゃうヨ……や、やめ……」

 しかし、土方はやめるつもりはない。そのまま指をもう一本増やすと更に膣穴を押し広げて愛撫した。すると、それまでピチャピチャと言う音が聞こえていたのだが、グチョグチョと音を変えた。それと同時に神楽の腰が浮いて、焦点の定まらない目が遠くを見つめる。

「んッ、ぐッ、ああッ、あッ!」

 体を震わせると神楽はそこで動かなくなった。絶頂を迎えたのだろう。そこで土方はゆっくりと体を起こすと、神楽の両股を大きく開かせた。さすがにそれには神楽も気付いたらしくこちらを見た。

「なに、する、アルカ」

 土方は来ていたバスローブを脱ぐと、パンツの上からでも分かるほどに勃起している。

 それを力のない目で見た神楽は何を言うわけでもなく呼吸を整えていた。

「挿れて……いいか?」

「聞くなヨ……バカっ」

 土方はパンツを脱いで神楽に被さると、軽く口づけをした。そして、神楽のまだ乾いていない割れ目に硬く勃起した性器を押し付けると、指で膣穴を開いてゆっくり挿し込んでみた。十分に湿っているからか、思いの外それは簡単に土方を飲み込んでいく。だが、少し痛むのか神楽の顔が軽く歪んだ。

「我慢することねェだろ? 痛かったら痛いって言え」

 だが、神楽は顔を軽く歪ませたまま首を小さく横に振った。強がっているのか何なのか。土方もあまり余裕がないと、もうそれ以上気遣ってやれそうになかった。スムーズに入っていくものだから、早く腰を振ってしまいたかったのだ。

「いッ……!」

 しかし、やはり神楽は痛むのか赤い顔で泣き出しそうにべそをかいて見えた。土方は仕方がなくゆっくりと腰を引いて肉棒を抜こうとした。だが、神楽の脚が土方の体に絡みついてしまったのだ。

「抜かない……で……」

「は、はあ? 痛えんだろ?」

 しかし、神楽は体全体で土方にしがみつくと……遂に土方の男根が根元までずっぷりと沈むのだった。その瞬間、神楽の体がのけ反って、神楽の中がキツく締まった。

「あッ……あ、あ、ああ……」

 どうやらただ挿れただけだと言うのに、快感の波に飲まれてしまったようなのだ。ずっとこの自分を待ち望んでいたからだろうか? 土方は神楽の耳元に顔を埋めると、囁くように言った。

「俺も……余裕は無え……」

 そうである。土方もずっとこの瞬間を待ち望んでいたのだ。神楽の肉に埋もれ、直接高い体温に包まれる。愛しい女を体で感じる事がこんなに気持ちが良いなど……想像を遥かに超えていた。土方はゆっくり腰を動かすと、神楽の中を味わうように目を閉じた。

「トシも、気持ちいいアルカ?」

 神楽の声が聞こえて目を開けた。土方は軽く微笑むも、既に思考が奪われつつあった。

「ああ……好きだ……」

 自分でも何を答えているのか分からない。ただ、もうゆっくりと楽しむ時間が終わりを迎える予感だけを感じていた。土方は神楽に脚を開かせると、体の赴くままに激しく腰を打ち付けた。その勢いで神楽の乳房が揺れ、土方の汗が額から流れた。部屋の室温が一気にあがり、なんとも言えないニオイが立ち込め始める。

「それ、気持ちいッ、好きアルッ!」

 土方もただただ気持ち良いと、それだけしか考えられずに腰を振った。神楽の柔らかな乳房を掴み、亀頭を擦りつけるように神楽の膣穴をほじくった。神楽も堪らないのか、悩ましげな声を惜しみなく漏らし、土方の欲情を煽る。

 

『もっと、して……ヨ……』

『トシ……んッ、あッ、ああッ……好きっ』

『またぁ、おかしくッ、なっちゃうううッ!』

 

 だが、愉しい時間もそろそろ終わりを迎える。パンパンに膨らんだ肉棒が神楽を孕ませたいと、本能のままに破裂したのだ。その瞬間、神楽の子宮目掛けて精液が注ぎ込まれた。

「くッ! うッ……!」

 食い縛った歯の隙間から唾液が溢れる。情けなく声を上げてしまいそうだが、土方は必死に堪えると全てを神楽に搾り取られたのだった。

 

 ベッドの上で抱き合う二人は、目を閉じて、互いの温もりを感じていた。だが、神楽はまだ恥ずかしそうにしており、照れたように笑っていた。

「お前が……もう一回したいって言うなら……付き合ってやっても良いネ」

 きっと神楽は太ももにぶつかる土方の熱に気付いたのだろう。

「悪いが、あと一回どころじゃ……多分、済まねェ……」

 土方は煙草を吸うことすら忘れて一日中、神楽と戯れるのだった。

 

2016/01/17