2年後神楽さんを金で買った。
あまりにも劣情を煽るけしからんフィギュアだと思います。
ですがこの悦びを伝えたいので小説にしました。
・R15くらい(銀神)
・新八、土方、沖田、銀時が出てきます
・写真多めなので重たいかもしれません
新八はこの日、小脇に箱を抱えながらかぶき町を忍び歩いていた。
「ハァハァ……」
決して息切れを起こしているわけではない。今小脇にとんでもなく劣情を煽る代物を抱えているせいで、新八の逆刃刀が今にも牙突しそうになっているのだ。早く家に帰り、磨きに磨いた剣技を披露しなければ……そう思っているのだが家に帰る足を万事屋へと向けたのだった。
「姉上に見つかれば殺されそうだし、こうなったら銀さんに頼んでしばらく置かせてもらおう」
新八はまさか小脇に抱える”2年後神楽さんのフィギュア”がこのあと大騒動の引き金になるとは微塵も気付いていないのだった。
万事屋へ着いた新八は神楽本人が居ないのを確認すると、銀時がくつろいでいるこたつへと向かった。
「ただいま戻りました」
「いちご牛乳は?」
新八はフフンと得意げに鼻息を吐くとこたつで寝転がっている銀時の足を蹴った。
「銀さん、これ! 見て下さいよ!」
しかし銀時の目線は読んでいる手元の漫画へと注がれており、少しもこちらへ興味がない。
「今日が発売日だったんですよ。まさか銀さん知らなかったわけじゃないですよね」
新八はこのとんでもなく性的な神楽のフィギュアを銀時がどんな顔で見るのか興味があったのだ。普段神楽に全く魅力を感じていない素振りだが、実はむっつりなだけではないか……そんな事を考えていると乱暴に玄関の戸が開かれる音が聞こえた。
「おい! 万事屋!」
真選組の土方の声だ。新八は何事かと廊下へ繋がる戸を開けると、土方とその後ろを歩く沖田の姿が目に入った。
「なんなんですか! 土方さん、沖田さん!」
「旦那いるか?」
沖田は新八を押しのけると土方共々ずかずかと銀時の元まで踏み込んだのだった。
「万事屋、テメーを淫行の容疑で逮捕する」
さすがにその言葉に銀時も読んでいた漫画を閉じると体を起こして小指を耳の穴へと突っ込んだ。
「てめェら、よくもまぁ人んちにこう無遠慮に入り込めるもんだな。それで、なんだって?」
「もう調べはついてんだ。旦那、ここは大人しくついて来てくだせィ」
新八は銀時にかけられた罪状に震え上がっていたのだ。それは”淫行”と言う少年漫画の主人公的に一番あってはならない罪だと言うことと、10代の自分ですら同世代の女の子とセックスした事がないのにこんなふぬけ面のオッサンがJCやJKを喰うことなど許されないと思ったのだ。
「何かの間違いじゃないですか?」
「間違い? 証拠があんだよ、こっちにはよ」
そう言って土方は懐から――――――1体のフィギュアを取り出したのだ。新八、銀時、沖田の目がそこへ集中する。
「は? いや、それがなんだよ、お宝自慢か?」
しかし土方は煙草を口に咥えると平然とこう言ったのだ。
「これは俺が買ったチャイナ娘のフィギュアだ」
「土方さんも買うんですね。美少女フィギュア」
新八がそう言っておどろくと取り繕うようにこう言った。
「あくまでも捜査の為だ」
しかし沖田が援護射撃を土方へ食らわせる。
「でもブツブツと言いながら5体くらい買ってたじゃねーですか。観賞用、保存用、布教用、実用用、魔改造用」
「ああ? トッシーがたまに降霊するだけだ! そう言うテメーも何体も買ってただろ!」
その言葉に沖田は顔色ひとつ変えず答える。
「あんたらと一緒にされちゃかなわねぇ。俺のは転売用だ」
「お前が一番クズだ! クズ!」
新八は眼鏡を光らせ絶叫するとこたつを強く叩いた。銀時がビクンと跳ねる。
「それよりも神楽ちゃんのフィギュアと銀さんの淫行容疑にどんな関係があるんですか?」
「良いか? 14歳時のフィギュアの胸はまな板だった。つまりたった2年間でJカップになったっつうことだ。だが貧乏暮らしで食い物が良いとは言えねぇ。何にもせずにJカップになるか、普通?」
「証拠ってそれーーー!?」
新八は驚いた。淫行の容疑をかけた理由がそれではあんまりにも酷すぎると思ったのだ。案の定、銀時もこたつに入ったまま眠りそうに目を閉じて話を聞いている。
「長年共に生活してる僕から言わせてもらうと、銀さんと神楽ちゃんに限ってそれはありませんよ、ねぇ、銀さん」
銀時の目がギョロリとこちらを見て、そして頷いた。
「ハハ、ン……あるわけねぇだろ」
乾いた笑いと裏返った声に新八は衝撃を受けた。何かがあったのだろうかと。
「だが、てめーが帰った後はどうだ? 四六時中見てるわけでもねぇだろ」
「確かにそうですけど……」
今まで疑ったことなどなかった。銀時が神楽とどうにかなってしまう事など。何かあるなら自分と神楽だと信じて疑わなかったのだ。だが、もし二人に何かあればさすがに気づくだろう。急によそよそしくなったり、反対に仲良くなったり。今のところそんな素振りは一切感じられない。
「つーか、もう帰ってくんない? 今からお昼寝タイムなんだけど」
しっかりとこたつに入り寛いでる土方と沖田にその気はなさそうであった。
「ところでチャイナ娘はどこ行ったんでさァ?」
新八は定春の姿が見当たらないことに気づくと、神楽は散歩に出かけたのだろうと思った。
「公園じゃないですか。すぐに戻ると思いますよ」
すると土方と沖田は何やら目配せすると互いに頷いた。
「淫行でてめーをしょっぴけねーなら、チャイナ娘を詐欺罪で逮捕する」
「神楽ちゃんが詐欺!? どういうことですか!」
土方はこたつの上のフィギュアを手に取ると胸を付属品の傘で突いたのだ。
「これ、本当にこのサイズで間違いねぇんだろうな?」
新八は言葉に詰まった。確かに神楽のおっぱいは大きく、昼寝してる時にちょっとつついてみたが柔らかく――――――
「おぅふ」
「いや、お前何があったんだよ」
新八が急にハァハァと煩くなったので皆は気持ち悪がった。
「実際に採寸したのか? 詐欺の可能性も十分に考えられる。消費者の為にもチャイナ娘を連行し、本当にフィギュア通りか検査する必要があるだろ」
「それただのセクハラッッ!」
新八が職権乱用だと再びこたつを叩けば、銀時ビクンと跳ねる。
「そもそも、あんた達は神楽ちゃんに興味なかったじゃないですか。今更なんですか!」
「……テメェなら理解があると思ったがな」
土方はそう言って咥えている煙草を口から離して煙を吐いた。
「MUTEKIだってそうだ。知らねえ昔の女優が出た所で大した興奮もないが、いつもマガジンのグラビアで見てた女が脱いだ日には……空っぽになんだろ?」
新八はその気持ちが嫌と言う程理解出来た。よく知っている女の痴態ほど興奮するものはないのだ。同じ寺子屋に通ってた子の隠し撮り。お通ちゃんの裏ビデオ。神楽のフィギュアもそれである。いつもは健全そのもので、微塵もお色気要員として扱われていない。そんな子が見せるプライベートな部分に興奮するのだ。そして俺だけのものになったのだと錯覚させてくれる。この場にいる……いや、フィギュアを買った全ての人類と今繋がった気がした。だが、そこである事に気がつく。それは沖田も同じだったらしく目が合った。
「MUTEKIに撮影者が居るように、このフィギュアのサンプルになった写真か動画があったハズだ」
この場の全員が息を飲んだ。そうだ。このフィギュアはあるいち場面を切り取ったものだ。だとしたら一体どの場面なのか。どんなシチュエーションだったのか。各々が推理を始める。
「目を見りゃだいたい想像がつく。後ろに何かがあったのは確かだ」
土方の言葉に沖田が答える。
「何かじゃねーな。誰かだろ」
「誰か? でも僕じゃない。やっぱりそうなると銀さん?」
三人の目が銀時に集まる。銀時は眠いのか紅い頬でぼーっとしている。
「は? 俺? ないない」
「旦那じゃないなら一体誰だ……だが、チャイナ娘がこんな田中みな実よろしくキョトン顔で振り返るなんざ、よっぽど気を許してる人間だろィ」
確かにそうだと新八は考えた。名前を呼ばれて振り向いたにしても、相手は嫌な奴――――たとえば沖田や他の人間だとは考えられないのだ。しかし銀時は違うと言った。それじゃ友人か?
「ちょっと待て! この後ろのスカート……妙な上がり方してねェか?」
方は神楽のフィギュアのスカートを指摘した。めくれ上がっているのだが、そのめくれ上がり方が極端なのだ。フワリと言ったものではなく、まるで何かに……
「まさかとは思うが、これ……何か突っ込まれてスカートをめくられてんだろぉ!」
「な、なにかってなんですか!?」
土方は神楽のスカート部分に付属の傘を差し入れた。形状的にはピッタリで、誰かにスカートをまくられている瞬間のポーズなのではと疑い始めた。
「だけど傘は神楽ちゃんが持つ事になってますし、そうなると……刀とか?」
「スカートめくられても平然としてるなんざ考えづらい」
確かにそうだ。だが、それが彼氏だったとしたら? 新八が存在を知らない神楽の全てを見た男が居たとすれば、スカートくらい平気でめくられるかもしれないのだ。許し難い。それは非常に許しがたいが、沖田がある仮説を披露し、それによって新八の考えも変わったのだ。
「それならこのポーズはあるいち場面を切り取ったものじゃなく、想像の可能性もあるってことだろィ?」
更にこうも付け加えた。
「チャイナ娘のフィギュアが製作されて得をする人間を考えれば、このポーズを取らせた奴の意図も分かる」
「得ってなんなんです?」
「これは明らかにスカートをめくられている瞬間だ。つまり隣に同じシリーズのフィギュアが並んで初めてひとつの作品になる……チャイナ娘のフィギュアと合わせて買わせようって魂胆でィ」
そこで沖田は懐から一体のフィギュアを取り出した。
「俺のだろーが!」
「まぁまぁ見ててくだせィ」
沖田は土方のフィギュアを隣に並べると持っている日本刀をスカートに突き刺した。
「ほら、こうしてキメ顔しながらも実はチャイナ娘のスカートをめくってる瞬間だったと言うわけでィ。ってことで土方死ね!」
沖田は土方のフィギュアをぶん投げた。
「なんの得もしてねェだろ! それに俺はセット売りなんざしなくても再販がかかってる。そういうてめーはどうだ? 鞘でめくる事出来んだろ!」
土方は懐から沖田のフィギュアを取り出すと神楽のスカートに突っ込んだ。
「それなら旦那のでもいけるだろ」
沖田は懐から銀時のフィギュアを取り出し――――――
「お前ら! 全員死ねぇぇえええええ!」
シリーズでフィギュアの出ていない新八が大絶叫と共にこたつをぶん殴ると銀時がビクンと跳ねた。
「僕だって、僕だって、神楽ちゃんの隣に並びたい! その視線の先に立ちぇぇえええええ!」
心からの叫びであった。皆が同情の眼差しを向ける。
「悪かったな……総悟、そろそろ帰るか」
「どうやら俺らの思ってるような事はなかったって事ですかねぇ」
そう言って沖田がこたつの上の神楽のフィギュアを懐にしまおうとした時だった。
スポッ――――――目の前で信じられない事が起きたのだ。フィギュアの胴体が外れ、神楽のスカートが抜け落ちた。そして純白のショーツが……
「あ?」
全員が無口になった。キャストオフ仕様と言うフィギュアは珍しくない。ひん剥く事も美少女フィギュアの醍醐味だ。しかし、驚いたのはスカートが外れたからではない。神楽の穿いているショーツが、なんと黒の極小ショーツだったのだ。
「確か……14歳時のフィギュアは純白パンツだったよな」
「そうでさァ」
「いや、あんたらなんで知ってんだよ」
しかし、見れば見るほど……性的でけしからん。三人はそれぞれがこのフィギュアに……いや、神楽に劣情を抱いた。
《トシ、お尻に擦り付けるの好きアルカ? 汚してもいいヨ》
《総くん、ここに挟んであげよっか……なんて言うわけねーダロ!》
《新八っ、胸ばかり見てないで私のことちゃんと見るアル!》
想像が物語を生む。新八はこのフィギュアだけでしばらくおかずに困らないと実感した。なんてけしからんフィギュアなのだと。そしてこんなビッチビチの神楽も悪いものではないと思ったのだ。パツンパツンの胸はボタンがはじけ飛びそうになり、隙間からはノーブラと思わしき谷間が覗いている。太ももも惜しげなくさらされており、肉付きは最高だ。この下着姿も言わずもがな。突き出された尻に新八の逆刃刀は牙突寸前だ。
そして悟った。この神楽の目線の先にいるのは購買者なのだと。神楽がたわわに育った理由、露出の高い服装の理由、性的なポーズの理由、黒い極小ショーツを穿いている理由。全ては購買者を悦ばせる為であった。実際の神楽に脚色されていてもそれは詐欺ではないし、誰かに開発され育てられたわけでもない。想像が作り上げた素晴らしい作品であると新八は気づいたのだ。
「土方さん、沖田さん、もう何も言う事はありませんよね」
無言で退席しようとする二人。だが、ここである事に気がついたようだ。ユサユサと揺れるこたつ。銀時の顔はだらしない程に緩んでおり、時折ハァハァと呼吸が漏れている。
「おい、総悟。こたつを剥げ」
その命令通り沖田はこたつをひっくり返した。
「神楽ちゃんんんん!」
姿を現したのは銀時の股間でうずくまる神楽だった。チャイナドレスはめくれ上がり、黒い極小ショーツがまる見えだ。
「もう、だから今はやめようって言ったアル」
神楽は身なりを整えるとキョトンとした顔で三人を見つめた。
「銀ちゃんは何も悪くないネ」
つまりどうやら神楽がたわわに育った理由も、露出度の高い服装の理由も、性的なポーズの理由も、黒い極小ショーツを穿く理由も……全ては銀時にあったようなのだ。
「万事屋、覚悟は出来てんだろーなぁああ!」
もちろんその後、銀時が淫行の疑いで市中引き回しの刑を受けたのは言うまでもない。
2017/12/08
《銀神》
「銀ちゃん。本当にフィギュア作るアルカ?」
「皆にお前のエロい体見てもらおうぜ」
「そんな言い方……やめてヨ……」
「でもこういうの好きなんだろ? ほら、尻向けろよ」
「こうアルカ?」
「神楽、すげー色っぽいわ。このポーズで作ろうぜ」
《土神》
「ジロジロお尻見るなヨ!」
「ッ! 見てねェ!」
「嘘アル! さっきからずっと視線感じるネ。あーあ最悪ネ。誰かさんがマヨネーズぶっかけたから」
「だから謝っただろ! もっと上等な服買ってやるから乾くまで我慢しろ」
《沖神》
「お前の言う通り四つ這いになってやったアル。
これで本当に人質に取った酢昆布返してくれるんだろうナ!」
「いや、まだだ。次は……そのまま俺のピーをピーしろ」
「ふざけんなヨ! 不良警察!」
《新神》
「定春! 新八見てないアルカ?」
(神楽ちゃん……踏んでるッ!)
「どこ行ったアルカ、新八」
(痛いッ、けど、ああ……ハァハァ、天国……)
「なんか足に固いもの踏んづけたアル」
「…………ど、どうも」
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