また神楽を金で買ってしまいました。
フィギュアのスケールも大きく、彩色も素晴らしい、完成度の高い美少女フィギュアだと思います。
そんなフィギュアへの熱い思いを小説にしてみました。
※下ネタ注意
・R15くらい
・新八、土方、沖田、銀時が出てきます
・写真多めなので重たいかもしれません
この日、神楽は発売された自分のフィギュアを珍しく買って帰った。
普段なら店頭で販売されていても自ら買う事はないのだが、今回発売されたフィギュアは「可愛いのに格好いい」神楽心をくすぐる仕上がりとなっていた。つまりは「エロくない」これが購買欲をそそった何よりもの理由だ。
神楽は万事屋に帰ってくると、こたつに入り、さっそく定春に買ってきたばかりのフィギュアを自慢していた。
「見てヨ、定春。ごっさ可愛いアル! 原作の私にそっくりに作られてるネ!」
「あんっ!」
定春もフィギュアの完成度の高さに満足しているようだった。
顔はもちろん、筋肉の造形、髪先のスケルトン加工。なによりも存在感を感じさせる大きめのサイズのお陰で、細部にまでこだわる事が出来たのだろう。
神楽は嬉しさのあまり、おどけて同じポーズをとってみせた。
「ただいまー」
玄関の方が騒がしくなり、銀時と新八が帰って来たようだ。
神楽は慌ててこたつへ入り直すと、誇らしげな顔で銀時と新八を待ったのだった。
「あぁ、さみぃ」
「神楽ちゃん、帰ってたんだ」
銀時と新八もこたつへ競うように入り込むと、二人の目玉は机の上に乗っている神楽のフィギュアに注目した。
「なんだよ、それ」
銀時が目を細めて神楽のフィギュアを凝視した。
「また神楽ちゃんのフィギュア!? 僕なんてG.E.M.シリーズでひとつも生産されてないんですけど」
「そ、それよりもどうアルカ? 可愛いデショ?」
神楽は頬を染めて銀時と新八の言葉を待った。もちろんそれは『可愛い』と言われることを期待して。しかし、銀時と新八の口から出た言葉は想像を絶するものだった。
「新八、今回のデータは取れてるのか?」
「はい、銀さん……そのあたりはぬかりなく」
新八はメガネに搭載されている謎のスイッチを押すと、プロジェクターのように壁へ映像を投影した。
「なにアルカ!?」
「今までに販売された神楽ちゃんのフィギュア……それをデータ化したものだよ」
そこには吉原炎上編のフィギュア、チャイナドレスのフィギュア、2年後のフィギュア、そして今回の大人フィギュアのデータが映し出されていた。どのフィギュアの横にも謎の数字が並べられていた。
「4万、5万、13億、2千…まさか、今これだけの値打ちがついてるって話しアルカ?」
自分のフィギュアの価格がこれ程まで高騰しているとは、神楽は目を疑った。しかし、それは銀時の言葉によって否定された。
「ブッかけられた回数だ」
今度は耳を疑った。
「は?」
「だから、この数字はお前のフィギュアにブッかけられたザー……」
神楽は無言で銀時をぶっ飛ばすと、新八に飛びかかりデータを消去させようとした。
「そんな気持ちの悪いデータなんて消せヨ! お前ごと消してやろうか!」
「神楽ちゃんッ、おっぱいがッ……あたって……!」
その辺りで新八のメガネがパーンと弾け、そのまま倒れてしまった。
謎のデータと4万、5万、13億、2千と言う数字。
仮に銀時の言うように本当にブッかけられた回数だとしたら……おぞましさを感じた。
「意味わからんアル!」
神楽はショックだった。自分が世の慰みモノになっていることなど、想像もしてなかったのだ。こんなに可愛いフィギュアなのに。それでもどの世界にもフェチはいて、性的な要素を排除することなど不可能だと知っている。特にこのかぶき町に住んでいれば、特殊性癖など蟻よりも目につくのだ。
神楽は自分のフィギュアを手にすると改めて観察してみた。
確かに元気いっぱいではあるが、あざとさを感じるポーズだ。胸を突き出し、腰をくねらせ、これではセックスアピールともとられかねない。
「あれ? 別のボディのパーツ?」
神楽は箱の奥に別のボディーパーツが入っている事に気がついた。恐る恐る自分のフィギュアの首に手をかけ、スポンと抜き取ると、別のボディーパーツを組み合わせてた。
「これって……まさか……!」
そこに現れたのは、大人のボディをむき出しにした眩しすぎる神楽のフィギュアであった。
ショート丈のチャイナドレスの下にピッタリとしたスパッツを穿き、大きく育ちすぎた胸はチャイナドレスからはみ出し、今にもこぼれそうになっていた。
走る度にそれがたゆん、たゆんといやらしく弾む事は簡単に想像がつく。今も神楽は同じ服を着ているのだが、途端に恥ずかしくなった。
「神楽、お前も気づいたんだろ」
「ぎん、ちゃん……」
壁に空いた穴から這い出て来た銀時は、フッと軽く笑うと神楽のフィギュアを手にした。
「吉原炎上編のフィギュアは4万回、チャイナドレスのフィギュアは5万回、2年後のフィギュアは13億回、そして今回の大人フィギュア……」
「2千回……」
「発売日の今日だけですでに2千回。下手なユーチューバーの動画再生数よりも上だ。その意味がわからねぇわけじゃねーだろ?」
発売日当日で2千回と言うことは、おそらくロリ2体よりはトータルブッかけられ数は多くなるだろう。しかし13億。この数字は桁が違う。2年後のフィギュアに関しては神楽も理解していた。あれは性玩具であったと。黒いTバックを穿き、エッチな気分にさせるいやらしくフィギュアであった事はさすがに分かっていた。
「でも、そんなにあからさまじゃないアル。スパッツだってちゃんと穿いてるし、胸だって極端に大きくないネ」
「神楽ちゃん……本気で言ってるのか?」
目を覚ました新八は、こたつからカピカピになった2年後神楽さんのフィギュアを取り出した。
「こっちの2年後のフィギュアは、妄想と想像の産物だ。こんな神楽ちゃんだったらいいなと言う僕らの希望が詰まった偶像。だけど、今回販売されたフィギュアは……」
そこまで聞いて理解した。今回は紛れもなく等身大の神楽だ。いわゆる神楽のミニチュア版。
「本物の私アル」
「そう。だから、実際の神楽ちゃんをより強く感じさせるんだ。同時にそれにぶっかけたり……あ、僕は舐める派だけど……『いけない事』をしている緊張感も味わえる」
神楽は想像した。銀時が神楽のフィギュアへぶっかける姿や新八がへその辺りを舐める姿を。
「うげぇぇえええ! 気持ち悪いんダヨッ! お前らまとめて一回死ねヨ!」
「待て待て! 俺は違っ…!」
銀時はしていない、していないと必死に首を横へ振っていた。
「違うって……フィギュアにそんな事してないって意味アルカ?」
銀時はしていないのかもしれないが、新八は言い逃れる事ができなかった。何故なら、新八の持っている2年後のフィギュアがカピカピだからだ。カピカピ。
「おまえ……舐めてないダロ……ぶっかけてたんダロ!」
「な、なんでバレたんだ! まさか神楽ちゃんは精子が乾いたあとにカピカピになる事を知ってるって……あがががが!」
顔を真っ赤に染めた神楽は新八をぶっ飛ばすと銀時に迫った。
「天パ! お前は本当にしてないんだろうナ?」
「だからしてねぇって言ってんだろ。なんで俺がお前のフィギュアに発情しなきゃなんねーんだよ」
その時だった。どこからか日本刀が飛んできて、銀時の髪をかすめた。ぱらりと落ちる銀時のくせっ毛。
「旦那、感心しねぇな」
声の方に目をやれば、いつの間にか真選組の沖田が上がりこんでいた。その傍らには鬼の副長である土方も立っている。
「おい、人んちに土足で踏み込むってどういう育ち方してんだ!」
「旦那こそ、嘘つきはドロボーの始まりって教わらなかったんですかィ?」
嘘つき……一体、沖田は何のことを言っているのだろうか。神楽は急の来客に眉をひそめた。
「確かにフィギュアには発情してねぇかもしれねーが、こいつ本人に発情しねぇと言い切れますか?」
沖田はそう言って神楽の頭を抱き寄せ、まるで自分の物とでも言うような態度をとった。
「離せヨ!」
「で、旦那どうです? 言い切れるんですか?」
銀時の青ざめていく顔色。沖田のニヤついた表情。神楽はそれを見比べると沖田の言葉が真実であるのだと察した。
「銀ちゃん、どういう事アルカ?」
神楽は沖田の腕も振りほどかずに尋ねた。
「旦那、俺の口からいいやしょうか?」
「……クソ!」
銀時はこちらに背を向けると項垂れた。神楽は何がなんだか分からず、不安な気持ちになると沖田を見上げた。
「説明しろヨ」
「土方さん、例のものを」
土方は上着のポケットからスマホを出すと、ある動画を再生した。
「かぐらぁ、ハァハァ…かぐら……」
映っていたのは、すやすやと眠る神楽の枕元で右手を激しく動かしている銀時の背中だった。おそらくこの部屋の屋根裏あたりから撮影されたもののようだ。
「チャイナ娘、これを見てどう感じた?」
眠っている神楽を見ながらハァハァと右手を動かす行為など『アレ』に決まっている。神楽は銀時を直視する事ができなかった。まさか銀時が自分に、この自分に発情しているなど想像もつかなかったのだ。
「銀ちゃん……なんでヨ……」
「違う、神楽!」
銀時はようやくこちらを向いて否定するも、決定的な動画が流れてしまい、その言葉は嘘となった。次に見せられた動画には、神楽の顔に白い謎の液体がかかっていたのだ。
「てめーは、ここに居ちゃマズい。とりあえずうちで保護するから、今晩は屯所に泊まっていけ」
沖田は神楽の耳元でそう囁いた。しかし、神楽には信じられなかった。銀時がそんなことを……ブッかけを行うなど。
「銀ちゃん!」
「……何を言ってもどうせ信じねぇだろ? いいよ、行けよ。神楽」
銀時の目はすっかりと光を失い、この世の終わりを思わせた。
神楽の大人フィギュアが発売されなければ、こんなふうに沖田が乗り込んでくることもなかった。そうだ。大人フィギュアさえ発売されなければ、今までと同じようにずっと暮らしていけたのに。それなのにこのフィギュアが発売されてしまったが為に万事屋はバラバラとなってしまった。
「わた…しが……私が大人のボディになってしまったから……そのせいアル」
銀時が悲しそうな目で神楽を見つめた。
「こんなにおっぱいも大きくなっちゃったし、お尻だってもう……ぷりぷりネ」
途中、尻に何か硬いモノがあたったが神楽は気にせず続けた。
「もうどうやっても成長前には戻れないアル。でも、わかってるネ。だからこそフィギュアが発売された事くらい」
価値のないボディならフィギュア化などされなかった。お偉いさんが『売れるよ!金になるよ!』と思わなければフィギュアなどされなかったのだ。神楽の大人のボディには販売価格以上の価値があったと言うことだ。
「それに……みんながいやらしい目で私を見てる事にも、薄々気づいていたネ。新八はたまにハァハァ言ってるし、今も背後のクソサドが興奮してるアル。だから銀ちゃんだって……」
神楽は呼吸を整えると、今一度銀時に尋ねた。
「だから、もう一度聞くアル。銀ちゃんは私にぶっかけたアルカ?」
銀時は奥歯を強く噛みしめると、目を細めて神楽を見た。そして、あの夜に何があったのかをポツリポツリと話し始めた。
「あぁ、ぶっかけた」
「そんなッ!」
沖田はそれ見ろと言ったような顔をした。
「まぁ、待て。最後まで話を聞けって」
銀時はあの夜に起きた出来事を包み隠さず、全て話すのだった。
◇
「あの夜、どうしても俺はシーザーサラダが食べたかった。それで冷蔵庫を開けたら、だいぶ前に買ったシーザードレッシングが入ってたんだよ。だけど、瓶入りでよぉ。蓋が固まっちまって開かなくなってたんだ」
ドレッシングの瓶と小一時間も格闘していた銀時は、既に体力を消耗していた。
「どうなってんだよぉ! 開かねぇぇぇええ!」
もちろん三十分格闘した段階で眠っている神楽を起こそうとは考えた。だが、どうだろう。夜中にシーザーサラダが食べたくなり、ドレッシングの蓋を開けてくれと頼むなど女子ではないだろうか。侍としてそれで良いのか。銀時はまだまだ格好をつけたい年頃なのだ。神楽に頼むわけにはいかないと考えた。それでも一時間が経過し、そろそろ疲れが見え始めた。今はもうシーザーサラダを食べたいと言う欲よりは、この瓶を何が何でも開けたいと言う意地に変わっていた。しかし、蓋は頑なに閉じたまま。そんな時、銀時の耳元で悪魔が囁いた。
『神楽に頼んで開けてもらえよ』
しかし、もう一方の耳元では天使が囁く。
『もう神楽に頼んで開けてもらおうぜ』
いや、こちらも悪魔だった。
ついにフラフラになった銀時は神楽の眠っている部屋へ入ると、その枕元で神楽を起こそうと――――――その時だった。僅かに蓋が緩んだ気がしたのだ。
「神楽ぁ……ハァハァハァ……開けて……いや、開くかも……でも、神楽ぁ……ハァハァ……」
こうして必死に右手を動かすと、突然蓋が緩んでドバっと神楽の顔にドレッシングがかかったのだった。
◇
そこまでを聞いて神楽はある朝、やけにチーズ臭い日があった事を思い出した。こんな話を信じろと言う方が難しいが、それでも神楽は銀時を信じてみたかった。
と、ひとつ疑問が浮かんだ。何故土方はあの夜の動画を撮っていたのかと言うことだ。
「なんでトシは動画を撮影してたアルカ?」
その言葉に銀時の顔にも生気が蘇り、いや……それを通り越して土方を睨みつけていた。
「お、俺は何もやましい事は……そ、総悟……沖田氏が神楽氏を夜這いするから撮影をしろと……!」
「おい! ポンコツ! 黙ってろって言っただろ!」
どうやら土方はいつの間にかオタクのトッシーの人格が復活し、沖田に良いように利用されていたようだ。
神楽は沖田の腕を払い除けて離れると、戦闘態勢をとった。
「クソサドォォ! 銀ちゃんに冤罪をふっかけるだけじゃなく、私を襲おうとしてたアルカ! キモいアル!」
「今更純情ぶるな! 対象年齢15歳以上のフィギュアを出しておきながら、よく言えたもんだな。コー●ギアスのC.C.と同じくくりだろ!」
神楽は絶句した。あの尻丸出しフィギュアと同じ扱いをされたのだ。さすがにそこまで性的ではない。購買層が違うのだから。
「もうあったまに来たネ!」
神楽は沖田に飛びかかると、沖田も薄笑いを浮かべ応戦した。沖田の手が神楽を掴み、神楽の手も沖田を掴んだ。激しく揉み合う二人。それをよそに銀時はトッシーへ肩組みをした。
「おい、あのあとの動画は削除しておけよ。俺が神楽の全身を舐めてる映像だよ」
「さ、坂田氏……その変わり、魔改造した神楽氏のフィギュアを拙者に……」
「わかってるっての。ほら、さっさと消せ」
まさかそんな裏取引が行われているとは知らない神楽は、沖田の手によってたわわに実った乳房を激しく揉みしだかれていた。
「やめろッ! お前ぇ……ぜったぁ、いん……」
「なにちょっとエロい声出してんだよ……もっと聞かせろ」
そんな二人のやり取りを陰から見ていた新八はメガネのレンズを真っ白に曇らせているのだった。
【完】
2020/01/28
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