銀時→←神楽(16歳)
テレビを観て、ネットを観て、またテレビを観る。
どこもかしこも謎の感染症の話題ばかりで、遊びたいざかりの神楽は面白くない気分になっていた。
寄るな触るな、密になるな。
仕方のないこととはいえ、刺激を求める年頃だ。
歯がゆさと苛立ちはそろそろピークを迎えていた。
「銀ちゃん!」
「またか、お前は口を開けば『どこかに連れてけー』だの『外に出たい』って言うんだろ。進歩がないねぇ、神楽ちゃん」
銀時がこちらをちらりとも見ずに、少年漫画へと目を落としながら神楽を嘲った。
図星だ。しかし進歩がないとは言われたが、もう随分と我慢ができる程には大人になっていた。以前までなら、銀時に向かってテレビのリモコンを投げつけていたことだろう。
「銀ちゃんのバカ!」
そう怒鳴って座布団を投げるに留めた。
「それなら外へ出るか? いいのか? もしお前が感染症にかかったら、俺はもちろん新八、お妙にも会えなくなるだろ」
そうだ。実は今、お妙はあるゴリラの子供を身ごもっていた。
正確には、近藤勲の子供である。そう、二人はなんやかんやがあって結ばれたのだ。
子供が生まれたら少しだけ顔を見に行きたいとみんなで話していた。
それもあり、なおのこと感染症にかかるわけにはいかなった。
しかし、つまらないものはつまらないのだ。
神楽はふらりと立ち上がると、向かいのソファーに座る銀時の脇に立った。
「じゃあ、銀ちゃんが遊んでヨ」
「はぁ? 銀さんは今、五条悟の中のやつが気になって気になって仕方がねーんだよ。あとにしてくれ」
また中村の話か。神楽は飽き飽きすると、キャプテン・アメリカのDVDを銀時に投げつけた。
「じゃあ、いいもん。一人でするから」
「そうしろ、一人で遊んでろ」
「ここでするアル」
「勝手にしろ」
神楽は本気だった。何が本気かと言うと――――今ここで銀時の目の前で、ちょっといやらしい事をしてやろうと本気だった。
まったく相手にされないのだ。腹も立つし、なんだかよくわからない鬱憤も溜まっている。どうせ銀時と自分以外には存在しないような世界なのだ。好き勝手にやってやろうと投げやりになっていた。
「ふぅん、じゃあ銀ちゃんは何があっても参加すんなヨ」
「はいはい」
神楽は静かに着ていたチャイナドレスを脱ぎはじめた。
ドキドキと脈打つ体。銀時の目の前で下着姿になることなど初めてだ。
いくら普段、露出の激しい衣装を身にまとっているとは言え、男の前に白い肌を晒すとなると緊張もする。だが、今の神楽には良い刺激だった。
「銀ちゃんこそ、よく飽きないアルナ。毎日毎日同じもんばかり読んで」
「馬鹿言っちゃいけねーな、何度も読み返すことで新たな発見もあるんだよ。銀魂もそう。読み返すと『あれ、よく見ると銀さんって足長くね?』なんて事も絶対にあるから」
やはり銀時は少しもこちらを見ない。意識はずっと漫画へ吸い込まれたままだった。
神楽は脱ぎ終わったチャイナドレスを床へわざとらしく落とすと、今度はソファーに寝転がり、ブラジャーのホックを外した。それも床へ投げ捨てるといよいよ体が震えた。手で胸は隠しているとはいえ、上半身は裸だ。はしたないと叱られる事は目に見えている。それでも興味を引きたいのだ。理由は単に無視されて腹が立つ、なんてものだと思う。それ以外に理由など――――きっと存在しない。
「銀ちゃんの足の長さなんて気にしたことないアル。足が臭いの間違いじゃないアルカ?」
「うっせー」
神楽は平静を装っていたが、呼吸が乱れていた。緊張と興奮だ。どこまでバレずに出来るのか。その危険を楽しんでいた。そして、好奇心はついにショーツへと手をのばす。
バレないようにゆっくり片手でショーツを脱いでいく。スルリと足首まで落とすと床へ投げ捨てた。ついにむき出しの状態だ。裸。全裸。真っ白な神楽の眩しい若い素肌が光り輝いて見えた。
でも、ここでは終わらない。ゆっくりと乳房を揉みはじめる。静かにできるだけ小さな動きで。もう片方の手は足の付根から内ももへと滑らせた。
「ハァ、ハァ……」
これでも気が付かない銀時に嫌気が差す。そんなに興味がないのだろうか。それともやはり新八の話の通り、すでに枯れていて、勃ちもしないのだろうか。
神楽は遊びたいざかりだ。大人の男とちょっといけない事をしたいお年頃だった。その相手が銀時でも問題はないのだ。でも、当の銀時には相手にもされない。せっかくこんな美少女が裸体を晒し、男を誘っていると言うのに。やや屈辱的でもあった。
もしかするとドSの銀時はわざとそうしているのかもしれない。神楽は悔しさに思わず眉間にシワを寄せた。銀時に勝ってやりたい。でも、どうすれば勝てるのか経験の乏しい神楽にはわからなかった。
《ジリリリリリリリ》
そんな時、万事屋の電話が鳴った。そこで銀時の顔がようやく上げられる。銀時の目玉が電話を見て……一旦、神楽の体へと移り、また電話を見た。
「か、神楽ちゃんん!?」
「電話、切れちゃうアル」
「いや、だってお前……あー、はいはい! 今出るっつうの!」
銀時は赤い顔のまま電話まで軽くジャンプをすると、受話器を持ち上げた。
「も、もしもし」
声が上ずっている。神楽は嬉しくなって思わず小さくガッツポーズをした。動揺させる事が出来たからだ。でも、それだけじゃ面白くない。神楽は銀時の背後へ移動すると、腰に手を回し――――――
「ちょ、ちょっと、待ってもらえますか?」
銀時の腰紐を解くと、銀時の目元に巻きつけて視界を奪ったのだった。
「神楽!」
「電話は良いアルカ? 依頼デショ?」
銀時は悔しそうに口元を歪めると、すぐに電話へと戻った。
だが、神楽は容赦ない。背中から銀時を静かに抱きしめ、耳元で囁く。
「こんなこと……誰の命令でやってるか、分かるアルカ?」
クスクスと神楽は笑うと、銀時の太ももを静かに撫でた。
「子供だって思ってたデショ? でも、悪い男に引っかかって、こういうことを覚えさせられたアル」
全部ウソだ。まだ処女だし、悪い男なんてものが寄ってきてもぶっ飛ばせる。でも、神楽はいけない事を覚えさせられた淫らな女を装った。
「……はい、はい、そうですね……」
真面目に電話対応をしている銀時をよそに、神楽は耳たぶを軽く甘噛しながら、銀時のズボンのベルトを外した。カチャカチャと音が立ち、ジッパーの下がる音がする。ズボンはスルリと足元へと落ち、銀時のいちご柄のパンツが現れた。
「悪い男に引っかかって、体をなぐさみものにされてしまったアル。銀ちゃんには言えない《いけないこと》をいっぱいしちゃったネ」
神楽は銀時の耳から首筋へと唇を移動させると、小さく口づけをした。
そして、震える熱い舌先でなぞった。
「はぁン!」
突然のことに銀時の口から大きく息が漏れた。
「ハァ、ハァ、なんでもありません。それじゃあ、時間ですが……」
こちらを赤い頬で睨みつける銀時。しかし神楽は構うものかと行為を続けた。本当に嫌ならいくらでも投げ飛ばすはずだから。銀時がそれをしないと言うことは、少しは《これ》を気に入っているのだろう。
「知ってたアルカ? 私は口を使うのが上手だって言われたアル」
これももちろん嘘だ。あー言えばこー言う、と言う意味では上手いのかもしれないが、こんな事は神楽自身も初めてで、本能のままに動かしているだけだった。
「……あぁ、いいですよ。わかりました。こちらでそれは準備しておきます」
相変わらず銀時は真面目に対応していた。一瞬、呼吸が乱れはしたが、銀時には神楽の攻撃など効いていないようだった。さすがは一回り離れた大人の男。悔しいが、もう負けを認めるしかないようだ。どうやっても銀時の興味をひくことは不可能だから。
神楽は仕方がないと諦めて、銀時にズボンを穿かせてやろうとしゃがみ込んだ。
「なっ!?」
銀時の股間を見れば、パンツがテントを張っていた。勃ってるのカヨ、と神楽は驚くと、思わず指でつついたのだった。
「ファッ!?」
銀時の腰がビクンと跳ねる。その様子に神楽は悪い笑顔を作ると、しゃがみ込んだまま銀時の熱の塊に顔を近づけた。そして、下着越しに小さく口づけをした。
「……ん、くッ、いえ、大丈夫です。問題あり……ま、」
「ちゅっ」
「せんッッッ!」
銀時はわかりやすく言葉を途切れさせると机に手を突いて体を支えた。
神楽は効果てきめんである事がわかり、ここを攻めればいいのだと学んだ。実戦から学び、吸収する事が成長の秘訣だと以前兄貴と修行した時に覚えたのだ。
「銀ちゃん、だっせーアル。パンツにシミがついてるヨ」
神楽はそこを指でこすると、銀時の腰が引け、膝がガクガクと震えはじめた。もちろん神楽はやめない。むしろ下着を下げて、直接触ってやろうとしたのだ。
いちご柄のパンツに手をかけて、一気に下へとずり下げる。すると勢いよく飛び出した男根が、神楽の頬を軽くぶった。
「いやっ」
思わず顔を背けたのだが、突然銀時の大きな手が神楽の後頭部を抑え込み、無理やり顔をペニスへと押し付けられてしまった。
軽いパニックに目を回すも、これだと今まで作り上げたキャラが嘘だとバレてしまう。神楽は震える唇で静かに肉棒を挟むと、涙目のまま舌を這わせた。
「こ、こんなのっ、へーきアル。何度も何度も悪い男に無理やりしゃぶらされたアル」
「……はい、では明後日。よろしくお願いします」
銀時は早口でそう言って急いで電話を切ると、神楽の頭を両手で抑え込み、乱暴に口の中へペニスをねじ込み出し入れした。
「それならこれくらい問題ないよな? 神楽ちゃん」
「ぐえっ、んじゅぶ、ぐじゅ、おええ、ぐじゅ、ぐじゅ」
神楽は喉まで男根をくわえ込み、擦り付けられ、その苦しさに思わず身をよじった。そして、尻もちをつくと――――――銀時に床の上へと押し倒された。
「こうされたかったんだろ?」
そう言った銀時はすっかりとずれてしまった腰紐の隙間から神楽を見つめ、そして肉棒を神楽の湿った割れ目に押し当てた。
「私は一人で遊ぶって言ったアル! 銀ちゃんが参加して良いなんて言ってないネ!」
しかし、もう先っぽが神楽の中へと沈みかけている。銀時の目は血走り、余裕がないように見えた。
「ずっと私を無視してた癖に、自分が遊びたい時だけ構うなんて都合が良すぎるネ。私はペットじゃないアル」
神楽はそう言って銀時のペニスを握り、手で扱いた。
「あ、待て、銀さんが悪かった!」
「本当に悪いって思ってるアルカ?」
「ハァ、ハァハァ……悪かったぁ……」
このまま手の中に射精させてあげでもいいのだが、今日はお預けと言うのも悪くはないだろう。神楽はぱっと手を離すとゆっくり体を起こした。
「それじゃあ、これからはちゃんと目を見て話を聞くこと!」
「え? 神楽、ちゃん? あの、これ……」
「約束するアルカ?」
「しっかり目を見てだろ? やるから、な? それよりも……」
神楽はそそくさと下着を身に着け、チャイナドレスに袖を通した。もちろん銀時が収まらない熱に苦しんでいる事は知っている。それを見ていい気味だとニヤリと笑った。
「勘違いしないでヨネ、別に銀ちゃんの体に興味があったわけじゃないアル。銀ちゃんに興味があっただけなんだからネ」
神楽はツンとした態度でそう言うと、床に正座して股間を腫らしている銀時は大きく首をかしげた。
「え? どういう意味だよ。結局俺に興味があるってことじゃねーか。余計ややこしいだろ」
「分からないなら別にいいネ」
「意味はわかってるよ。お前は銀さんが大好きなんだろ? だったら神楽ちゃん、これ……」
神楽はイラッとした。自分の愛の告白を受けても変わらない銀時の態度にだ。
「だから、お前のその体には興味ないアル!」
「それもどうせくっだらない嘘だろ? お前は誰かの命令でこれをやらされたって言ってたけど、あんな下手くそなしゃぶり方で性奴隷がつとまるわけ……」
神楽は銀時にテレビのリモコンをぶん投げた。
「誰が下手くそアルか! 本当に……命令で……全然上手だし、全然処女じゃないし……」
「へぇ、そういうことならやってみろよ。どうせバレるのが怖くて出来ねぇんだろ?」
神楽にもこれが銀時の挑発であることはわかっていた。口でして欲しい銀時の作戦であることは明白だ。でも、銀時が望んでいるのなら、今だけは無視しないでいてくれるのなら、相手をしてやっても良いと思った。
「じゃあ、少しだけアル……少しだけ……」
銀時は乱れた格好のままソファーへ移動すると、神楽へ来るようにと手招きした。
本当に自分勝手で呆れてしまう。でも、どうしようもなく側にいたいのだ。恋人じゃなくても、ただのなぐさみものでも構わない。それくらいに神楽は銀時に見つめていて欲しいと思っていた。
神楽は誘われるように向かうと銀時の膝下へとしゃがみ込んだ。
「お手並み拝見といこうか」
主導権を握り、ニヤニヤと嫌な笑顔でこちらを見下ろす銀時。神楽はそんな銀時は心底嫌いだったが、そこも含めて愛しいと思わずにいられないのだった。
2021/05/02
お久しぶりです。
いつもコメントや閲覧等をどうもありがとうございます。
なかなか返信も出来ずにすみません。
コロナ感染症で生活が一変してしまいましたね。
少しでも医療従事者の方々の負担が減りますように。
また不安を抱えて過ごされている方々の気分が休まりますように。
そういう願いを込めて…と言うと大げさですが、久々に無料公開の話を書きました。
皆様もどうか無理のないようにお過ごしください。それでは。
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