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土方と銀時の入れ替わりの話

神楽(16)と銀時はすでに肉体関係だけある

R18


 

身も心も/銀神(土神)(リクエスト)

 

 滑らかな曲線がサテンの生地に浮かび上がる。それを無意識下で舐めるように見てしまうが、致し方のないことである。銀時はオスで視線の先にいる神楽はメスなのだから。しかもそれを《確認》した事がある。

「なぁ、神楽」

 夜の居間で銀時は神楽の腕を掴んだ。そして目で訴えてみる。安っぽいメロドラマのように。だが、神楽は銀時の腕をつれない態度で振り払った。

「…………あれは事故みたいなもんネ。勘違いするナヨ」

 分かってはいるが、それでもまだ可能性をどこかで信じているのだ。もう一度だけと――――――

 

 そんな中、銀時はとんでもない事態に巻き込まれた。真選組の副長と魂が入れ替わってしまったのだ。源外が作ったよく分からない装置によるせいなのだが、残念な事に故障してしまい当分元の体へと戻れなくなってしまった。

 真選組屯所へと仕方がなく戻された銀時だったが、土方の私室で寝転がりながら自分のいない万事屋を考えた。新八は入れ替わった事に気付くだろうかとか、定春は懐くだろうかとか、神楽は……

 そこで銀時は体を起こすと、今夜神楽と土方が万事屋で二人っきりになる事を思い出したのだ。神楽は何かに気付くだろうか? 例えば、突然自分に対する執着心が消えただとか。

 その後も銀時は土方として過ごしながら一日を過ごした。その間も万事屋では神楽が土方と共に居る。何か会話はあるだろうか。昼間なら……

「明日も依頼ないアルカ? 今月の家賃もまた払えないネ! たまにはお前も働けヨ!」

 神楽は大食いを活かし、賞金をよく稼いできていた。そうやって普段どやされていたのだが、今日ばかりはきっと別だ。万事屋の宣伝、広報活動、職場の清掃とキビキビ働いていることだろう。そうして神楽はそんな生まれ変わった銀時に胸の鼓動を速め、こう思う筈だ。

《なんか今日の銀ちゃん、カッコ良いアル》

 自分を抱こうともしない中身土方の銀時に神楽は益々惹かれていき、近いうちに神楽は口にするだろう。愛に応える言葉と銀時の――――――

 このままここで元に戻るまで待たなければならないのか。その必要は果たしてあるのか。銀時は棒付きキャンディーを口に咥えるとガリッと噛んだ。ジッとしていられないのだ。銀時は屯所を出ると何か出来るわけでもないが、万事屋へ向かうのだった。

 

 自分の家とは言え、勝手に開けて入るのは気が引ける。もしかすると認める事の出来ない光景が広がっているかもしれない。その恐怖に手汗をかいた銀時は土方の体でゆっくりと玄関の戸を開けるのだった。

 静かだ。うたた寝しているのだろう。それか外出しているか、そのどちらかだ。二人でいて静かだと言うことはそうそう無い事なのだ。だがそれは、中身銀時の銀時であればの話だ。

 足音を立てずに廊下を歩く。何故こんなに緊張するのか。それは全てを知っているからだ。土方の魂が入っているとは言え肉体は理性的とは言い難い事も、その肉体が求めているものも。それでも神楽が嫌がることをするつもりはない。だが、土方と神楽の間には何の繋がりもないだけにその部分の保証は全くないのだ。

 居間の戸を開ける。だが、二人の姿が見えず銀時は安心した。するとギッと床が鳴ると…………隣の部屋の襖が開き、身なりを整えながら神楽が飛び出して来た。そしてこちらを驚いた顔で見て叫んだ。

「なんでここに居るアルカ!」

 その声に慌てて出て来たのは――――――上半身裸でズボンのベルトすらまだ直していない銀時だった。驚いて見開かれた目。そして揺れた。

「……テメェ、何しにここに」

 その言葉に答える事なく、気付いた時には自分のものである顔をブン殴っていた。銀時の顔をした土方がよろめくと、殴られた頬を押さえこちらを睨み上げた。

「言っておくが《これ》はテメェの体だろ? そう怒るな」

「なにやって……」

 そこで背後で大人しくしている神楽を見た。長く伸びた髪を撫でつけ、乱れた髪を直していた。それも下を向いて。この態度の理由は何だろうか。今この襖の向こうでまぐわっていた事が知られ、恥ずかしいのだろうか。だが、こちらを真選組の副長と思っているのなら《自分たちの関係》をどう思われていようが気にしない筈だ。ならば、この態度の原因は?

「神楽、分かってんだろ」

 その声に神楽はビクッと体を跳ねさせると下を向いたまま小さな声で言った。

「でも、私の自由アル……」

 銀時は頭を抱えてソファーに腰を下ろすと苛立ちを床へぶつけた。

「ああ、そうかい! でも、なんで俺の体でセックスしてんだよ。中身が俺じゃ無えって知りながら」

 銀時の着物を素肌に羽織った土方に肩に手を置かれた。

「その事だが誤解だ」

 銀時は土方の手を肩から払い退けると、それが自分のものであったことを思い出した。だが後悔はない。

「誤解ってなんだよ。もう少しマシな言い訳は無えのか」

 半笑いで銀時はそう言ったが、土方も神楽も二人して否定をした。

「本当アル」

「万事屋、本当だ」

 しかし、それをどう信じれば良いのか。だが、神楽は言った。これは私の自由であると。神楽が望んだのだろう。銀時の肉体を持つ土方とセックスすることを。この際、どちらが誘ったのかは問題ではない。どうして神楽が入れ替わる前の銀時を拒んだのかと言う事だ。魂が銀時であったから。それが理由であれば――――この先、共に暮らしていく自信がないのだ。

「正直話せば……この体は……」

 土方が何かを言おうとしたが神楽が遮ってこう言った。

「初めは分からなかったアル。だから銀ちゃんだと思って、それで……」

「なんで? 神楽? お前、嫌がってただろ?」

 神楽は少し距離を取って銀時の隣に座るとこちらを見て言った。

「嫌がってたわけじゃないアル。ちゃんと言葉で知りたかっただけネ。私をどう思っているのか」

 銀時の肉体を持つ土方と神楽の間に何があったのか。それを神楽は話し始めた。

 

 

 土方と入れ替わった銀時が万事屋へ戻って来た時、神楽は何一つ気付いていなかった。だが、そこからテキパキと動く生まれ変わったような銀時に神楽は首を傾げたのだ。何か心境の変化があったのかと。だが、その目を覗き込んでも何も分からなかった。それでも雰囲気の違いには気付いていた。明らかに何かが変わったのだと。

「何があったアルカ?」

 そう銀時に尋ねると銀時は首を振った。

「何もねェよ」

 自分を見つめる目に一欠片も熱を感じなかった。神楽は眉をひそめると一歩銀時に近付いた。すると銀時は一歩退がったのだ。何故自分から距離を取るのか。神楽はその理由が知りたかった。もしかして本当に生まれ変わったのだろうか。そのせいで、この自分への想いが消滅してしまったのではないだろうか。それを考えると悲しかった。つれない態度を取っていたのは別に銀時が嫌いなわけではないのだ。良い雰囲気になり、一度抱かれたこともある。ただ二度目をそう簡単に許さなかったのは、軽い存在に思われたくない神楽なりの駆け引きであった。だが、ずっと押し続けていた銀時が急に、それも突然、押すことを止めて引いたのだ。不安が一気に増幅した。

 神楽は咄嗟にもう一歩踏み込んで銀時に口づけをした。そして様子を見たのだ。どんな言葉を発するのか。すると銀時は驚いた顔で硬直したまま神楽をジッと見ていた。そして言った。

「……まだ昼間だろ」

 銀時はこんな事を言わない。銀時ならきっと《オイオイオイ。どうしたよ、神楽ちゃん》なんて言ってこの好機を棒には振らない。例え、こちらから気持ちが離れていたとしても、あんなふうに倫理的なセリフは口にしない男だ。

 神楽は確信を得たかった。

「こっち来るアル」

 そう言って銀時の手を取って隣の部屋へと誘った。

 

 暗い部屋。敷かれた布団。その上で仰向けに寝転がる銀時の姿をした土方。腹には神楽が乗っていた。そして、ゆっくり銀時の着物を脱がせる。顔色を伺いながら。

「おい、何やってる」

「何っていつもと同じことアル」

 銀時の顔が戸惑っている。だが神楽は続けた。シャツを脱がせ、上半身を裸にしたのだ。

「待て! 今はそんな気分じゃ無え」

「今は? じゃあ、夜なら良いアルナ?」

 そう言って神楽は銀時に口づけをすると、癖の強い髪を指に絡めながら、神楽は初めて銀時の体内へと舌を挿し入れた。だが、銀時のそれが神楽を絡め取ることはなかった。神楽はゆっくりと唇を離すと目の前の顔を真っ直ぐに見つめた。すると目が合って銀時は困ったような顔をするとしばらく悩み、そのあと言った。

「とにかく下りろ」

「そんな言葉じゃ無理アル」

 やはりいつもの銀時と違って理性的である。神楽は銀時のズボンのベルトを外すとその中へ手を突っ込んだ。

「…………なんでアルカ?」

「だから言ってんだろ。今はそんな気分じゃ無えってな」

 神楽はなんの熱も感じない銀時の下腹部に驚くも、やはり目の前の男が銀時であって銀時でないことを知ったのだった。その時だ。床の軋む音が聞こえ、慌てて部屋を飛び出した所で土方の姿形をした銀時と出くわしたのは。

 

 

 話を聞き終えた銀時は再び笑った。だが、それはおかしくて笑ったのだ。俺の体でありながら勃たなかったのかと。そしてよくやったと自分を褒めてやりたい気持ちの悪い感覚に包まれた。

「テメェの体とは言え、中身は俺だ。そう簡単に女に嵌められて堪るかよ」

 土方はそう言ったが、ハメるのはてめェだろうと思った。だが、ひと安心だ。神楽が自分のことを嫌っていたわけではないと分かったのだ。

「で、どうすんだ? 俺の体を貸すくらいなら……」

「馬鹿言うんじゃねぇ」

 今のは冗談だったのだろうか。だとしてもこの体で神楽を抱きたくはない。それならば元に戻るまで我慢しなければならない。神楽と土方がここで生活することを。

 銀時は腰をあげると玄関へ向かった。正直言えば神楽の話を全て信じたわけではないが、それでも今は真選組の副長なのだ。職務をまっとうしなければならない……のかもしれない。

 だが、玄関で靴を履こうとして神楽に引き止められた。

「元には戻れるんデショ? それまでそっちに会いに行っても良いアルカ?」

 銀時は何も返事をしなかった。ただ神楽に向き直り、土方の瞳を通して神楽を見た。

「俺が誰に見える?」

 神楽はその問いかけに黙り込んだ。魂が銀時のものであっても今は土方十四郎なのだ。出来るだけ接触は避けた方が良いだろう。銀時は神楽に背を向けると万事屋を出るのだった。

 

 

 神楽はこの自分を愛していた。そして、もちろん銀時も神楽を愛している。それがようやく分かったと言うのにこの不安な、胸を押しつぶさんとする思いはなんだろうか。今も神楽は銀時の肉体と共にある。いくら土方の魂が入っているとは言え、再び求められればどうなるか。

 銀時は土方の体で過ごす幾度目かの夜を迎え、布団の中で眠れずにいた。そんな時、不意に襖が開き、銀時は布団から飛び起きた。そしてこちらを見下ろしているであろう人物に声をかけた。

「……なんで来た?」

 しかし返事はない。代わりにこちらへと迫り、そして隣に座った。

「仕方なかったアル」

 銀時は顔を手で拭った。何しにここへ来たのだと。

「仕方ねぇって言ってもなァ……」

「だって、銀ちゃんじゃないってそう思ったら……居心地悪いネ」

 神楽の気持ちも分かる。他の男と暮らさなければならない苦痛。しかし、だからと言ってここに置いておく事は出来ない。

「それに、黙ってたらやっぱり銀ちゃんアル」

「たりめぇだろ。あの顔は俺のだし、あの体も……俺のもんだ」

 神楽がここに来た理由は、罪悪感からだろうか。許しを乞いに来たのかもしれない。

《あっちにある体だけでも愛して良いかと》

「まぁ、キスくらいなら好きにしろよ。元に戻ったらあの野郎を殴るくらいで気が済むから」

 しかし、それ以上の事が起これば……いや、きっと起こるだろう。この神楽に誘われて何度も断り続ける事のできる男が居たとすれば、インポ野郎かゲイである。

「じゃあ、しても良いアルカ?」

 神楽はそう言ってこちらに更に近付いた。熱い手が銀時の頬に触れた。どうやら神楽が求めているのは、土方の肉体を持つこの自分らしい。

「神楽、やめとけ」

「殴るくらいで気が済むんデショ?」

 今ここで良い思いをするのは銀時である。体はただの道具に過ぎない。神楽へ愛情を伝える為の道具。それなら口づけくらい構わない。そう思った。既に向こうとキスは済ませているのだ。

 神楽の細い指が土方のものである唇をなぞる。嫌になるくらいに己が――――土方の肉体が興奮している。それには間違いなく銀時の魂が影響している筈だ。

 銀時は神楽の腕を取ると布団へと押し倒し、覆いかぶさって唇を塞いだ。

 

 口づけだけでもう止められそうにはない。それでも口づけで止めなければならないだろう。互いに髪を乱しながら唇を奪い合うも、もはや熱は限界を突破していた。微熱では済まない燃え上がりを見せていたのだ。

「何も言わないで。お願いアル」

 神楽はそれだけを言って再び唇を引っ付けると、舌の動きに銀時を見つけたようだった。強引に乱暴に神楽の口腔内を犯し、唾液を絡める。酸素が足りないと思えるほどの激しい口づけは、次第に銀時の手を神楽の胸へと移動させた。神楽の体がビクッと跳ねる。それは初めて銀時以外の男に触れられたからだろうか? それとも体が敏感に反応しただけか? どちらにしても銀時の意志で動く手は神楽の張りのいい大きな乳房を撫で回した。

「ぁっ……ぁッ、ん、銀ちゃん……」

 こんな可愛い声で名を呼ばれては堪らない。堪らないが耐えなければならないだろう。誘惑が銀時の体をがんじがらめにするが、それに抗いながら神楽の唇をひたすら愛した。

「でもな、神楽……」

「黙るアル」

 神楽の方が限界のようだ。銀時の下腹部へと小さな手が伸び、そして捕らえられる。

「銀ちゃんも……苦しいんデショ?」

 上下に竿を撫でられれば、神楽が欲しくて胸が苦しくなる。だが、これを神楽へと挿し込むことは出来ない。そう簡単に許すことは出来ないのだ。あくまでも肉体は土方十四郎なのだから。

 銀時は体を離し、神楽の上から下りた。

「戻るまで待てねーの? 神楽」

 神楽は何も答えなかった。銀時が自分を今夜抱かないと知ったからだろうか。それとも恥ずかしいのだろうか。盛っていると思われて。

「銀さんだってそりゃあ……お前を抱きてェよ。けどな、やっぱりこの肉体(カラダ)じゃあ……」

「それでも良いアル! 銀ちゃん、お願い!」

 何故こんなに必死なのだろうか。そんなにも孕まされたいのだろうか。この肉体に孕まされたいと。それともこの魂に犯されたいと望むのか。銀時には何も分からなかった。

「無理だ。子供できちまったらどうすんの? それにお前も今は良くてもじき混乱するさ」

「なら、銀ちゃんの身体なら良いアルカ?」

「いや、あいつ勃たねえんだろ? って俺の体か。すげー複雑」

 神楽は銀時の着ている浴衣を掴むと強く引っ張った。

「あの話……信じたアルカ?」

 暗くて神楽の表情は窺い知れない。本当は勃ったのか。それなら神楽と土方は――――?

 その答えが出る前に神楽は離れて行くと部屋から出て行ってしまった。

 引き止められなかったのは神楽を信じたから。きっとそうに違いない。自分の事なのに銀時には何ひとつ分からなかった。

 

 

 そこから源外のカラクリが直るまで数週間かかった。その間、神楽が会いに来る事もなければ、銀時が会いに行くこともなかった。そうしてようやく己の肉体に魂が収まると万事屋へと帰るのだった。

 久々の家は安心できるのだが、それでもどこか自分のものだと言う確信がない。この居間もソファーも机も椅子も体でさえも。

「本当に銀ちゃん?」

 後ろから抱きついてきた神楽がそう言って胸へと腕を回した。

「ったりめェだ。こんな男前、そうそう他人と間違えねえだろ」

 すると神楽はゆっくりと息を吸い込んで吐いた。背中がじんわりと温かくなる。だが、胸は冷たいままだ。疑っているのだ。土方とこの体を使って遊んだのではないかと。しかし、それを確かめる事は恐怖である。

「褒めてヨ。銀ちゃんに会いに行かなかったアル」

 銀時は胸に回る手を握ると口づけをした。

「けど、お前……悪さ……して無えよな?」

 声が震える。誰にも神楽を奪られたくないのだ。ずっと欲しくて欲しくて我慢していた女を、自分の知らないところで味わっていたとしたら? 奪われたかもしれないと思うだけで体まで震える。

「じゃあ確かめてみるアルカ?」

 その言葉に心臓をひと突きされると銀時は神楽を抱えてソファーへと下ろした。その神楽に被さった銀時は、何て事ない顔で鼻先を神楽の鼻先へとつけた。

「お言葉に甘えて……」

 神楽の柔らかな唇を久々に味わう。花に抜ける香りが銀時の鼓動を速めた。唇を吸って、舐めて、そして混ざり合う。その間に器用に着物を脱ぎ捨て、シャツを脱ぎ、神楽から唇は離さずに上半身裸になった。神楽の指が肩を腰をと滑っていく。それが心地良くて銀時も神楽の腿に手を添える。そして己を解き放つかのように彼女の奥の奥まで探って……見つけた。自分だけを求めている証を。

 興奮する。神楽へ激しく口づけをしながら中指を動かして。そうして銀時は神楽の温もりを感じると、神楽も銀時を引っ張りだした。細い指で先をなぞられ、ゾクゾクして堪らない。

「銀ちゃん、早くしてヨ」

 吐息混じりに急かされると神楽の服を脱がし、下着を剥いだ。神楽の目がこちらを茶化すように見ていて、その目に見られたまま果てたいとさえ思った。俺だけを見つめてくれ。

「でも、んッ、ゆっくりして……」

 閉じていた扉をこじ開けるような感覚。それだけで分かる。《悪さ》をしていない事を。神楽の腰がピクンと動く。そして艶かしく体をくねらせ、恍惚感を得たような表情を浮かべる。

「やっぱり……激しくても良いアル……」

 照れたような顔が愛しさを加速させる。銀時は神楽の細い腰を掴むとゆっくりと揺れた。

「俺はじっくり味わいてェんだけど」

 神楽の顔が軽く歪んで鼻から甘い声が漏れる。

「我慢出来ないアル……もう自分に正直になろうって……決めたネ……」

 銀時は口角を上げると神楽が望むままに激しくその身を愛した。

 いくら魂が愛されていようとも、やはりこの体がなければ自分と言うものは成立しない。身も心も神楽に愛された銀時は朝まで温もりに包まれているのだった。

 

2016/07/25