2016 Request
原作未来
銀神
体の関係はあるものの、恋人同士でない
結野アナにデレデレする銀時に嫉妬してつれない神楽
行為を拒みだした神楽と繋がろうと奮闘する銀時
神楽がモテる設定。無意識とはいえ嫉妬する銀時
最終的に二人が恋人
※16歳~神楽さん
R-15
素直になれなくて/銀神※(リクエスト)
夕暮れ前のファミレスでのこと。
「なんで神楽ちゃん、カレシ作らないの? それだけ可愛かったら出来ない方がおかしくない?」
突然の友人の言葉に神楽はただニコッと笑っているだけであった。カレシを作る気も何も、出来ないのだから仕方がないのだ。
「あっ、そろそろバイトの時間だ。じゃあね、神楽ちゃん」
そう言って友人は席を立つと、神楽の微妙な空気にも気付かずに去って行った。思わずため息がこぼれる。神楽としても《恋人》と言う関係に憧れはあるのだ。手を繋ぎ堂々と街を歩く。そんな事がしてみたかった。きっと照れ臭くて、だけどドキドキして……想像するだけでも甘酸っぱい香りに包まれる。そんな乙女心を揺らす神楽はその晩、銀時の下で妖艶に狂い咲くのだった。
「今日は……外に……ん、出して……ぁッ、ん!」
正常位で自分に覆い被さる銀時を見ながら神楽が言った。しかし、銀時は何も答えない。もしかして既に答える事が出来ないのだろうか。銀時の呼吸が激しい。神楽のカラダに酔いしれているであろう銀時は、限界である事を宣言すると一人で絶頂を迎えるのだった。それも神楽の奥深くで……
「なんで中で出すアルカ! 今日は……」
神楽が赤い頬で呼吸も整わない内にそう訴えるも、直ぐに銀時に遮られてしまった。まだ神楽の中から出る事もしていないと言うのに、銀時は桜色の唇を塞いだのだ。熱い舌が口腔内を荒々しく犯すと、神楽は仕方なく言葉を飲み込むのだった。
いつもこうしてペースを乱され、銀時の思うがままだ。しかし、強く言えない自分も悪いのだと情けなくも思う。結局、再び神楽は銀時の欲望をカラダの奥深くに吐き出されてしまうと、汚れた太ももに早くシャワーを浴びたいと、ぼんやり考えるのだった。
翌日。銀時は何も無かったかのように腑抜けヅラで歯を磨きながら、テレビ画面に釘付けであった。見れば銀時が大好きなお天気お姉さん・結野アナが映っていた。
「おはようございますッ! 今日も僕の素晴らしい一日の幕開けに貴女の笑顔が……」
敬礼をしてテレビ画面に話し掛ける銀時に神楽は『またか』とため息を吐いた。熱烈なファンであることは知っているが、婿入りしようと画策していた過去がある。当時はどうせその時限りの熱だろうと気に留めてなかったのだが、今も変わらず好きであるのは……昨晩の自分への扱いも相まって神楽は苛立った。
この私にも少しは甘い言葉を掛けてみろヨ!
そんな思いを込めて、ボケっとしている銀時の尻に蹴りを入れるのだった。
「アギャァアアア!」
「フン、そんなに好きなら嫁にしてみろヨ。まぁ、お前には無理だけどナ!」
涙目の銀時が尻を摩りながらこちらを睨んでいた。
「朝からお前は何なんだよ!」
神楽はプイっと長い髪を揺らして銀時に背を向けた。だが、その顔は寂しげで、切なさを感じるものだ。銀時を蹴り上げた所でスッキリなどしないのだ。むしろ、痛む。どうしてもっと可愛げのある態度が取れないのか。どうしてもっと素直になれないのか。だが、言えないのだ。私だけを見て欲しい、なんて……きっと気味が悪いと笑われるだろう。こんな調子だから銀時との関係もハッキリとせずに中途半端なのだろう。それは分かっていても神楽はなかなか銀時に想いを告げられずにいた。
「定春の散歩、行って来るアル」
神楽は居間の入口で銀時を見ずにそう言うと、公園へと出掛けるのだった。
昼間の公園とは言え、ホテル街から流れて来たのかイチャイチャイチャイチャと男女がウザったい程にくっ付いていた。堂々と外で愛し合う……気持ち悪いとは思うのだが、やはり多少は羨ましい。銀時と外で手を繋ぐ事もなければ、二人でどこかに出掛けるという事もなかった。たまには恋人っぽくそんな事をしてみたい。だが、それを口に出すことは憚られるのだ。銀時が自分へ求めている事が《このカラダ》だけのような気がするからだ。それが確定してしまう事が怖い。神楽の想いはいつだって、この身も心も愛して欲しいと言うものである。そうなる為にはどうすれば良いかは分かっている。銀時に流されることなく、体を結ぶだけの関係を終わらさなければならないのだ。
『欲しかったら、ちゃんと言葉にしてヨ』
その一言が言えたらどんなに良いか。いや、そんなことを思っている内は何も進展はないだろう。神楽は決めたのだ。今から銀時に流されはしないと。絶対に銀時から言葉を引き出すと。しかし、やはり不安もある。こんな自分を面倒な女だと切り捨てられないだろうか……だが、女に二言はないと神楽は決心するのだった。
三日後の夜のことだ。神楽もそろそろ今夜辺り、銀時が自分を求めてくるだろうと分かっていた。新八も帰り、今夜は銀時も飲みに行かず、ソファーの上で横になっていた。風呂上がりの神楽は長い髪を乾かし終わると、居間の銀時の元へと向かった。仰向けに寝てる銀時の顔がこちらへと向く。
「もう寝る?」
「うん」
すると神楽へと両手が伸びた。これが何を表しているのかは分かる。神楽においでと言っているのだ。いつもなら躊躇うことなくあの胸に頬を寄せるのだが、今日は違う。神楽は銀時におやすみと言うと布団のある隣の部屋へ向かうのだった。
「えっ? 神楽ぁ?」
背中に銀時の焦ったような声が聞こえた。だが、神楽は気にせず布団へ入ると慌てて銀時が追って来た。
「何だよ。今日はそう言うプレイ? あーハイハイ。乱暴にされたい……」
そこで神楽は銀時を叩くと部屋の隅へと転がした。
「そんなんじゃないから!」
逆さでこちらを見ている銀時はワケが分からないと言ったふうに首を傾げていた。神楽はほんの少し心が痛んだが、これで銀時も少しは考え直すと思ったのだ。二人の関係について。
そこから静かな時間が流れた。銀時も今日は諦めたのだろう。そう思って眠ろうとしていると、銀時が無言でこちらの布団へと入って来たのだ。
「ちょっと、何アルカ!」
だが、銀時は不気味な程に無言である。神楽は押し返すも腕を取られて…………銀時の物悲しそうな目がこちらを見ていた。
「かぐらぁ……なぁ、銀さんの目見てみ? スゲー……可哀想に思わねえ?」
同情を引こうとしているのだろうか。子どものような作戦に神楽の顔が徐々に青ざめていく。
「ほら、神楽。銀さん、泣くかもしんないけど良いの?」
小技を使い、銀時は瞳を子犬のようにウルウルとさせると、媚びるような目つきになった。だが、そんな事をされればされる程、神楽は引いていく。
「もう寝るから、じゃあネ。おやすみ」
しかし、次の瞬間銀時はワァーっと泣いて、神楽の胸に飛び込んで来たのだ。
「神楽ちゃんのバカヤロー! 銀さんがこんな子犬みてぇな面で悲しんでんのに、なんて、なんて薄情なこと言うんだよォ!」
そう言って銀時は頭を左右にブンブン振ると神楽の柔らかいおっぱいを満喫しているようであった。さすがにこれはダメだと神楽はぶん殴る。
「だから今日はやめてって言ってるアル」
すると銀時は赤い頬を擦りながら自分の布団へと戻って行った。さすがに怒られて諦めたのだろう。そう思い神楽は銀時の方へ背中を向けて目蓋を閉じた。しかし、そこから数分後のことだ。銀時がまたこちらへと入って来た。今度は一体何か。神楽が息を飲んで待っていると……
「……じゃあチュウだけで良いわ。な? それなら良いだろ?」
まだやはり諦め切れないのか、そんな譲歩作戦に出たのだった。しかし、神楽も少し躊躇った。と言うのも悩んだのだ。キスくらいで大人しく眠ってくれるのなら……だが、この銀時がキスだけで本当に大人しく眠るのだろうか。きっと誰しもがこの質問にこう答える筈だ。絶対に何か仕掛けてくると。神楽は一瞬、許しそうになったが気を引き締め直した。
「だから、今日はそんな気分じゃ……」
「へ~、つう事は神楽ちゃんは、キスだけで濡れ濡れになるってことか……」
背後で聞こえたその言葉に苛立った神楽は、思わず銀時を振り返ると――――――銀時に抑えこまれてしまった。
「そんな訳ないデショ!」
「じゃあ、良いだろ。神楽」
肩を抑えこまれた神楽は、上に被さる銀時を睨みつけた。キスなんて絶対にしない。そう言い放つように。だが、銀時はニヤニヤと笑っている。
「なんだよ。それとも銀さんのこと、嫌いになった?」
この顔でそれを言うかと神楽は腹が立った。まるで神楽が銀時を一生嫌わないとでも思っているような顔なのだ。それは確かに……なんとも言えないのだが、それでも恋人でもないのに安心しきっている銀時のことが、今は、今だけは大嫌いだった。
「銀ちゃんなんて嫌いアル!」
すると銀時の顔から笑みが消えた。だが、どうも悲しんでいるわけではなさそうだ。いつものなんてことない腑抜けた顔に戻っただけなのだが、冷たいものを感じた。少し強く言い過ぎただろうか。神楽を不安にさせる表情だ。
「……そう、そうか。嫌いか」
銀時は熱が一気に引いたかのように神楽の上から退けると自分の布団へと戻って行った。やはり少し言い過ぎただろうか。神楽はドドドドと自分の心臓が震える音を聞いた。こちらに背を向けて丸まるように眠る銀時を静かに見つめ返すも何も分からない。やはり放っておくことは出来ないと、ゆっくり布団から抜け出た神楽はそっと銀時の背後に迫った。
「銀ちゃん?」
謝るつもりは……まぁ、少しはある。だが、ほんの少しだけだ。元はと言えば調子に乗った銀時が悪いのだから。神楽はゆっくりと銀時の顔を覗き込んだ。
「捕まえた!」」
そう言って銀時に無理やり布団に引きずり込まれた神楽は、銀時に抱きまくらのように全身を使って抱きしめられた。まさか先ほどの表情も演技だとは思いもしなかったのだ。
「神楽ちゃんからまさか夜這いしてくるとはねえ」
「コラ! どこ触ってるネ! 夜這いじゃな……」
結局、ここで銀時に唇を奪われ、神楽の口は銀時の舌によってねじ伏せられてしまうのだった。パジャマの中へと侵入してくる手が、遠慮無く乳首をつまむ。
「……んッ! んふッ!」
神楽は必死にもがいて抵抗するも、銀時は嫌だと全く動きを止める気配がない。そうこうしている内に、パジャマのズボンが下げられ、パンツにも手が掛かる。このままではまた銀時のペースに飲まれ、体を結ぶことになるだろう。今日だけはそれを避けなければ。神楽は肘で銀時の胸を殴るとどうにか解放されるのだった。
「しつこいネ! そんなに……そんなに抱きたいなら……か、カレ、かれッ……」
彼氏になってヨとは残念ながら言えずに神楽は押入れに閉じこもるのだった。残された銀時はと言うと布団の上で必死に自分の匂いを嗅いでいた。
「えっ、加齢臭? マジか! 俺、加齢臭すんのッ!?」
◇
あの日を境に銀時は己を顧みることなく、ひたすら神楽をどうやって落とそうかと躍起になっていた。神楽としては益々ガードを堅くする一歩だ。これでは北風と太陽である。
今日も朝から新八が居ないのを良い事に銀時は新たな策に出るのだった。
「神楽ァ! こっち来てくれ! 早く!」
居間でテレビを観ていた神楽の耳に銀時の叫び声が聞こえて来たのだ。どうも風呂場の辺りからのようで、神楽は一度聞こえていないと無視をした。だが、数秒後。またしても銀時が叫ぶ。
「かぁぐらァ! マジで頼む! こっち……わぁあああ!」
何を騒いでいるのだろうか。神楽はため息を吐くと仕方がなく銀時の元へ向かった。
「何アルカ。どうせくだらない事ネ」
そう言って風呂場の戸に手を掛けた時だった。
「開けるな」
鬼気迫る声で銀時が言った。こっちに来てくれと言ったり、開けるなと言ったり。全く理解が出来ない。神楽はどうしようかと考えて、もう一度戸に手を掛けた。
「開けんじゃねえ!」
何か見られたくない状況に陥った? 戸の向こうで何がどうなっているのだろうか、ほんの少し興味が湧いた。
「じゃあ、もう戻ってもいいアルカ?」
すると銀時は真面目な声音でこう言ったのだ。
「そうじゃねえ……服着てんだろ神楽? 今すぐに裸になってこっちへ来てくれ。頼む」
神楽は目を閉じた。本当に銀時の身に何かあったとして、何故服を脱がなければならないのか。きっと裸になって銀時の元へ行けば――――――なし崩し的に抱かれる自分が浮かんだのだ。銀時の分厚い胸板が神楽の柔らかい胸を押しつぶし、そうしてキスをして舌を絡める。だが、それだけで止まらない銀時は神楽の首筋に舌を這わし、そして胸へと…………
「って何考えてるアルカ!」
神楽は赤い頬で頭を振ると銀時に言った。
「ど、どうしてもって言うなら……その……ちゃんと言ってヨ」
ちゃんと好きだとか、愛してるだとか、付き合ってくれだとか。そう言った言葉が聞けたなら、結野アナ相手にデレデレする銀時にだってヤキモチ焼いたりしないのだ。不安になったりなんてしないから。だから……
「神楽」
銀時のシルエットが風呂場の戸に浮かび上がる。薄い戸一枚隔てた距離なのだが、すごく遠くに感じる。神楽だって本当は銀時と触れ合いたい。見えている銀時の手のひらに重ねるように白い手を置いた。
「神楽、頼む……裸になってこっちに来てくれ。分かってる……でも、これだけは言わせてくれ。銀さんの……ギンギンさんを今すぐにしゃぶって…………」
最後まで聞き終わらない内に戸ごと蹴りつけると、神楽は長い髪を揺らして万事屋を出て行くのだった。
結局はやっぱりカラダだけなのだろうか? だが、そうであれば他を当たってもおかしくはないのだ。カラダだけ、抜きたいだけならば、いくらでもこの街には溢れている。それなのにどうしてこの私なのだろう……神楽の頬が赤く染まった。そうしてぼうっとしているせいか、普段はあまり絡まれる事のない類の男達に道を塞がれた。
「一人? って言うか、この町の人?」
見た感じはお上りさんと言ったふうである。大体の目的は分かっている。
「残念アルナ。私はそう言う店、詳しくないネ」
だが、三人組の男達は顔を見合わせると頷いた。
「それなら君とお茶出来るだけでも良いんだけど」
デレッと笑った情けない表情。神楽はこの男たちが自分をどう見ているのかを知った。
「お前たちのおごりアルカ?」
「もちろん、もちろん!」
タダならちょっと付き合ってやっても良いか。神楽はこの近くの茶店に男たちを案内しようと思った時だった。追いかけて来たらしく銀時が男たちと神楽との間に割って入ったのだ。
「あれ? お兄さんたち、もしかして案内所探してる? 案内所ならすぐそこにあるから。だけど、もし声掛けた目的がそうじゃねえなら…………」
凄む銀時に苦笑いを浮かべた三人組は素早く立ち去るのだった。神楽は銀時の大きな背中を見ながら、今の発言の真意を探していた。
「お前も何気安く声掛けられてんだよ。金取れよな、金を」
そんな事を言った銀時だが、何故かこちらを見ることはなかった。その理由を神楽は知っている。こう言う時の銀時はいつも決まって――――――神楽は銀時の正面に回りこんだ。
「なんでそんな顔赤いアルカ?」
「……お前こそ、なんでニヤニヤしてんだよ」
銀時は頭を掻くと万事屋へ戻るらしく、今来た方向へと歩き出した。神楽もカッとなって家を飛び出したが、あんな台詞の後にこんな顔をされたのでは放っておけないと銀時の後ろに続いた。
「なぁ、お前っていつもああなの?」
先程のナンパの事を言っているのだろうか?
「うん、銀ちゃんと居る時はないけど、外出ると一回は声かけられるネ」
「まさか……ついて行ったりしてねえだろうな」
先程は危うく付いて行きかけたが、今までに一度もなかった。だが、ほんの少し意地の悪い小悪魔が顔を覗かせた。
「まぁ、お茶くらいなら良いかなって……思うアル」
すると銀時は立ち止まりこちらをスネた子どものような、なんとも言えない目で見た。
「なにアルカァ?」
神楽が茶化すように笑うと、銀時の顔がみるみるうちに赤くなった。気付いたのだろう。自分の心の中が丸見えになっている事実に。
「う、うるせェ!」
銀時は走って万事屋まで駆けていくと、神楽も慌てて後を追うのだった。
素直に言ってくれれば良いのに。神楽は居間のソファーに突っ伏している銀時を見下ろしながら思っていた。だが、それは見事に自分へと返ってきて胸の中心にぶっ刺さったのだ。きっとどちらかが折れなければ、いつまでも宙に浮いたままだろう。この数日間、銀時とも少し距離を置いてみて気付いたのだ。寂しがっている自分に。それなのにこの先、いつまでこんな感じで過ごさなければならないのか。考えると苦しくなった。もう銀時の思いは十分過ぎるほどに感じている。それならば求められるのならば、応えてあげても良いのではないか。
「銀ちゃん……」
神楽はソファーの傍に腰を下ろすと、色素の薄い癖っ毛を撫で付けた。
「………………んだよ」
まだスネているらしい。恥ずかしさもあるのだろう。神楽はフゥっと息を吐くとどうやって機嫌を直させようかと悩んだ。だが、あまり甘やかせば付け上がるのは目に見えている。また無許可で中出しするようになるのかもしれないのだ。定春のしつけよりも難しいと神楽は思った。
「銀ちゃん、さっきの嘘アル。ナンパされてもついて行った事なんてないネ」
すると、銀時の顔がこちらに向いた。
「つうか……ナンパされるな……」
それは向こうの勝手で神楽に落ち度はない。それでも銀時はどうしようもなく嫌らしい。神楽はおかしいと僅かに口角を上げた。
「ハイハイ。分かったアル。じゃあ、これからは銀ちゃんが隣歩いてヨ」
「……おう」
神楽はここで一度唾を飲み込むと、気持ちを落ち着かせた。今から少し、ほんの少し、踏み出すつもりなのだ。手のひらに汗を掻いているがここを逃せばもう言えそうにないと頑張った。
「か、彼氏でもないのに? 本当アルカ?」
声が上ずった。緊張はきっと銀時にバレている。銀時はこちらを見ていたのだが、再びソファーに顔を埋めると黙り込んでしまった。
確信はあった。銀時の気持ちは《ただお前のカラダだけ》と言うものではないと。それでもやはりこう黙られては不安なのだ。思わず銀時の髪をギュッと引っ張った。
「いでで!」
だが、顔はこちらへ向かない。他に何も言わない。どうして何も言ってくれないのだろうか。神楽の心臓の音だけがうるさく部屋に響いている気がした。
「…………じゃあ、彼氏にしてくれ」
相変わらずこちらは見ない。それが余計に神楽の心臓をうるさく跳ね上げさせると、勢い余って銀時に飛びつくのだった。
「んふふ……」
「何ニヤニヤしてんだよ」
「『じゃあ』って腹立つけど……してやっても良いヨ。彼氏に」
二人は狭いソファーの上でじゃれあうように抱き合うと、互いの顔を間近で見つめた。
「でも、あんまり結野アナばっかり見てんじゃねーヨ」
「あれ? もしかして神楽ちゃん妬いてんの? マジか」
そっちこそ分かりやすいくらいにさっきまで落ち込んでた癖にとは言わず、神楽は銀時の額に軽いキスをした。
「あと、勝手に中出し……しないでよネ」
すると銀時の目に輝きが増した。
「ってことは、許可取れば良いんだな。つう事でさっそく神楽ちゃん……」
銀時の手が神楽のチャイナドレスのスリットへと伸びる。だが、神楽ももうその手を止める事はなかった。そのせいか逆に銀時の手が一瞬動きを止めた。こちらを見ている目が驚いている。
「彼氏なんデショ? ちゃんと責任取るなら……好きにして良いアルヨ」
「かぁぐらぁぁあ!」
銀時は勢い良く神楽にダイブし覆いかぶさると、早々と着物を脱いで愛しの彼女の体に溺れるのだった。
2016/07/14
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