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レッスン!:04

 

 上半身はシワのついたシャツと緩んだネクタイ。下半身は下着一枚。そんな姿の新八はベッドの端へと移動し、足を垂らして座った。そして神楽をベッドから下ろすと、自分の足の間へと座らせた。

 パンツの膨らみの近くに神楽の可愛い顔がある。その光景が更に新八を興奮させた。

「知ってる。するんでしょ?」

 神楽はそう言うと、人差し指で新八のパンツの膨らみをつついた。

「ま、待て。そう焦るな」

 童貞には刺激が強い。そんな事をされれば下着の中でぶちまけてしまう。

 新八は震える手で下着を膝下まで下げると、窮屈そうにしていたソレがバネのように勢い良く飛び出した。

「うそ……」

 神楽はどうやらソレに驚いているようで、瞬きを数回繰り返した。

「やり方は分かるな?」

 あれ程いやらしく自分の性器を弄っていたのだから男のモノをどうするか、それも知っている筈だと新八は思っていた。

 案の定、神楽は知っていると頷いた。しかし突然ブラジャーを外すと、セーラー服を胸の上までめくり上げた。そして、大きな乳房の間に新八のモノを挟み込むと、それを上下にしごき始めたのだ。

「こうするんでしょ? 兄貴の部屋に落ちてたDVDを観たら、確かこういう事してたから」

 強烈。その一言であった。もっとソフトなものが来ると思っていた新八は、目の前で神楽の間から顔を出したり、引っ込めたりしている自分の分身にひどく興奮した。

「なんか、変な気分」

 新八はそう言って虚ろな目をしている神楽の胸へと手を伸ばすと、触って欲しそうにしている乳首を弄った。すると神楽は今にも泣き出しそうな顔になり、潤む瞳で新八を睨みつけた。

「なんでジッとしてられないわけ? あんたがそんな事するから、また我慢出来なくなっちゃったじゃない!」

 どうやら神楽は本当に敏感な体質のようで、軽く新八に触られただけにも拘らず、その身を悶えさせていた。

「貴様の体はどうなっている? これくらいで我慢出来なくなるとは、随分とだらしがないな」

 その言葉が気に障ったのか、神楽は動かしていた手を止めたのだった。そして、俯いたまま立ち上がると、右手に小さく拳を作った。

 殴られる!

 新八は思わず身構えしたが神楽は動かず、作った拳もすぐに開かれた。

 一体、何なんだ?

 新八は神楽の顔を覗き込もうとしたが、その前に神楽の顔が上げられた。

「誰のせいだと思ってるのよ」

 神楽は小さく呟くと新八へと抱き付いて、そのままベッドへと押し倒したのだった。

 急のことに新八は慌てたが神楽が怒っていない事を知ると、上に乗る神楽の背に腕を回した。

「新八は馬鹿だから気付いてないんでしょうけど、私はあんただから我慢出来なくなるの。触って欲しいとか、触りたいとか……」

 神楽はそんな事を言うと、新八へと更に顔を近付けた。桜色の唇がやけに目に付く。

 新八は神楽の話した内容などあまり頭に入っていなかったが、心地よい鼓動のリズムに悪い予感はしなかった。

「何が言いたい? ハッキリと言え」

 新八は神楽の唇を見つめながら、今にもそれが自分のものにならないかなどと考えていた。それが神楽にも伝わったのか、こちらを見下ろす神楽の視線も新八の唇を見ているようだった。

「もう、いいわよ」

 神楽は怒ったようにそう言うと、新八の唇にキスをした。

 今日、知ったこと。それは神楽のあちらこちらが柔らかいと言うことであった。そして、例外なくその唇も柔らかかった。

 新八は神楽の唾液や呼吸、その他にも“ここまでしてもまだ分からないの!?”と言う苛立った気持ち、それら全てを吸い込んだ。ここまで来ればさすがに気が付く。神楽の何が本当で何が嘘で、どれが建前でどれが本音かなど。

 それは自分も同じであった。神楽と反りが合わずぶつかってばかりだが、それは神楽を思い心配するあまりに押し付けがましくなっていたせいなのだと。賃金が魅力的である事を理由に家庭教師を辞めないなどとは思っていたが、本心を探れば神楽から離れたくないのだ。その気持ちがなんなのか、今ならばよく分かる。

「好き」

 神楽がキスの合間に囁く。その言葉に体が反応し、股間の腫れがひどくなる。すると、神楽はそれに自分の性器を押し当て、擦りつけるように腰を自ら動かした。

「新八は? ねぇ、教えて」

 神楽のその言葉に新八も想いを口にしたかったが、どうしても喉から出てこなかった。今している行為よりも、その言葉を口にすることの方が何倍も恥ずかしいのだ。新八は神楽の舌を軽く吸うと、キスでどうにか伝わらないかなどと思っていた。

「言ってくれないの?」

 神楽は新八の唇から顔を離すと、不機嫌な表情をしていた。その表情はもっともなのだが、新八はやはりその想いを伝える勇気が出なかった。

「言ってくれないなら、一つになれないじゃない。新八は私としたくないの?」

 神楽はそう言いながら、自分の性器と新八の性器を擦り合わせていた。

 今にも一つにくっ付いてしまいそうだ。

 新八も神楽としたくないわけでは勿論なかったが、愛の言葉を囁くにはまだ時間がかかりそうであった。

「この体を見てみろ……俺の言いたい事は貴様でも分かるだろ」

 したくてしたくて堪らないと、新八のそれは神楽の割れ目をこじ開けんばかりに訴えかけていた。

「じゃあ、言ってよ。新八の言葉でちゃんと聞きたいよ」

 そう言って神楽が再びキスをすると、新八に神楽の想いが次々に注ぎ込まれた。

 堪らない。

 神楽への愛しさは、新八の中で大きく大きく膨らんでいた。

 今なら言える。

 体の内側で収まり切らなくなった想いは、遂に新八の口から漏れたのだった。

「好きだ。好きに決まっているだろ。ここまでしておいてそうじゃなければ、おかしいと思わないのか」

「あーあ、ムードぶち壊し」

 しかし、神楽は笑顔で新八を見下ろしていた。そして、何度目かの“好き”を口にすると、新八の耳元で囁いた。

「挿れちゃってもいい?」

 先ほどから神楽の潤んだ割れ目をぶち破りたいと、新八の肉棒はヨダレをだらしなく垂れ流していた。しかし今この状態で挿れてしまえば、間違いなく神楽の中で発射してしまう。

 新八は荒い呼吸でダメだと言うと、神楽が新八の顔を驚いた表情で見たのだった。

「でも、もう無理アル」

 そう言って神楽は新八の肉棒を自分の中へ飲み込もうとした。

「まっ、待て! それはマズい!」

 その時だった。家の玄関戸が開き、機嫌の好い星海坊主の声が聞こえて来た。

「神楽ちゃん、ただいまぁ!」

 慌てて二人は飛び起きると、脱ぎ散らかしたものを元の場所へと戻し、急いで勉強机に向かったのだった。

「ちゃんと勉強しているのかな? 神楽、入るぞ」

 父親である星海坊主が神楽の部屋の前に立つと、ドアを開けたのだった。

「いつも勝手に開けるなって言ってるでしょ! そのハゲ頭カチ割ったろか!」

 神楽は父親の顔面に分厚い参考書を投げつけると、ドアを閉めようと立ち上がった。

「新八くん、いつもすまないね。構いもせずに」

「いや、気遣いは結構だ」

 新八は眼鏡を指で押し上げると、言葉少なく答えた。

 内心は星海坊主に二人が何をしていたのかバレやしないかと、生きた心地がしなかった。

「神楽ちゃん、先生の言うことをちゃんと聞いて勉強するんだぞ」

「もう分かったから、向こうに行っててよ」

 そう言って神楽が父親を部屋から追い出そうとしていると、静かに隣の部屋のドアが開いたのだった。出て来たのは学ラン姿の神楽の兄・神威であった。

「お前、今日はブラブラ出歩いてないのか。珍しいもんだな」

 そう言った星海坊主の後ろを、ニヤニヤと不気味な顔で笑う神威が通り過ぎようとしていた。

「…………あーあ、ムードぶち壊し」

 神威は星海坊主の後ろを通りながら、学習机の前に座ったままの新八を見てそんな事を言ったのだった。

 途端に青ざめる新八と神楽。しかし何も知らない星海坊主は、神威の言葉に首を傾げていた。

「あいつは何の話をしてるんだ?」

「さ、さぁね」

 神楽は力なく部屋の戸を閉めると、急いで新八を振り返り見たのだった。

「……兄貴、居たみたい」

「あ、あぁ、そうだな」

 その後、勉強どころではなくなった二人は、神威のご機嫌を取るために全ての労力を使うのだった。

 

結局その日、脱童貞の出来なかった新八は帰りにコンビニへと立ち寄ると、泣く泣くパンツを購入し履き替えた。ついでにコンドームも購入すると、いつか来るその日を、絶対に神楽の家で迎えはしないと固く誓ったのだった。

 

2014/04/26