ナツノマモノ/銀→神
じわりと汗が肌に浮き上がり、耳障りな蝉の鳴き声が苛立ちを募らせる。
銀時は神楽と二人だけの昼下がり、おかしな幻覚を見た。
茫然自失――――己の存在を忘れた。
居間のソファーにうつ伏せになっている神楽を側から立ったまま眺めているのだが、柔らかなチャイナドレスの生地が神楽の脚の間に沈み込み、やけに尻を強調しているように見えた。
こんなに肉感的だったか?
銀時は額の汗が顎に流れ、床へポタリとちるのも気にせず神楽の尻に囚われていた。
華奢な背中、細いくびれ、誘うような尻。だが、スリットから覗く白い脚は少女特有の未発達なものであった。それを目に映しながら銀時はただ己の中に湧き上がる劣情に眉をひそめていた。
葛藤などはない。ただ欲しいと思ったのだ。
銀時は暑さのせいか善悪の判断を狂わせると、大人しく寝転んでいる神楽の傍にしゃがんだ。そして背中からいたいけな少女を抱き締めたのだ。
一瞬、蝉も鳴き止み、暑さまでもが引いたかのように静かになった。だが、瞬きをし終わる頃にはいつもの日常が戻っていた。相変わらずの暑さと蝉の騒がしい鳴き声。そして申し訳程度にそよぐ扇風機の風が、神楽の髪を僅かに揺らした。
「ぎん、ちゃん?」
背後の銀時を見た神楽の目は更に大きく開かれ、額に滲ませている汗が焦りを表していた。
銀時は神楽の体を抱いたままゴロンと右を下にすると、足まで使い体を挟んだ。
「悪い、神楽」
銀時は口だけで謝ってみたが、その手を止めることは出来ず、神楽の正面へ回すと生育途中の胸を撫で回した。
「何してるネッ! 銀時ちゃん! 銀ちゃんッ!?」
神楽は大きな声で叫ぶと真っ赤な顔で背後の銀時を剥がそうともがいた。だが、さすがの神楽も銀時からは逃れる事が出来ず、ただ闇雲に動き回るだけであった。
銀時は神楽が嫌がっている事など承知であった。だが、止めてやろうとは思わない。ただ触りたかったのだ。触ってみたくなっただけなのだ。取って食おうなどとは思っていない。神楽の体に自分の食指を絡めてみたかっただけなのだ。
ただそれしきのこと。
「やめろ! おい! 聞こえねぇアルカ! 腐れ天パ!」
神楽は叫び声を上げるが銀時には届かない。
神楽の小ぶりな乳房を下から上へと何度も揉みしだいた。尻には自分の股間を押し付けて、ひたすら腰を振った。神楽の弾力のある形のいい尻が銀時のモノをいい具合に挟み込む。
銀時はそんな体に神楽も充分に女だと知った。すでに下半身は猛々しく、神楽の首元に埋まる顔は惚けていた。自分をこんなにも男にさせる体が身近にあったことに驚きと喜び、それをいっぺんに感じていたのだ。
「いっ、やめろ……やめてよッ!」
神楽は銀時が何も言わず、ひたすら体を撫で回し続けることに顔を強張らせていた。目には薄っすらと涙を浮かべ、口元は悔しそうに歯を食いしばっている。
「なんで? 銀ちゃん?」
銀時は神楽の胸から片手を下の方へ移動させると、神楽のパンツの中へ手を突っ込んだ。
しかしそれにはさすがに黙っていられないのか、神楽はどうにかその手を掴むと引き抜こうと奮闘した。だが、白夜叉と呼ばれる男にそう簡単に勝てるものではない。もちろん銀時も今日は手加減してやるつもりもないのだ。結局そのまま銀時は荒い呼吸のまま神楽のパンツの中へやすやすと手を入れてしまうと、まだ毛の生えそろっていない割れ目へ進入した。
「なんで? なんでこんな事するアルカ?」
神楽の声が震えている。こんなに弱々しい彼女の声は未だかつて聞いたことはない。だが、銀時の意識はそんな神楽に同情することもない。これは仕方がない事なのだ。何故なら神楽が――――
「お前がこんな男専用の体してんのが悪いだろ?」
銀時はそう言うと頬に涙を零した神楽に気にせず、神楽のクリトリスに刺激を与えた。
「う、ううン!」
神楽は体を震わせて突然の刺激に耐えた。しかし、銀時は止まらない。神楽の匂いを嗅ぎながら汗まみれで欲望を満たす。理由は分からない。本能がそうさせるのだ。雄の本能が。
銀時の指が神楽の敏感な部分を擦る度に、そこが硬くなっていくのが分かる。
「分かるか? 神楽? お前も興奮してんだよ」
神楽は何も言わずにただフゥフゥと呼吸をしているだけで、もう何も言わなかった。その代わり、時折鼻から抜ける鳴き声のような音が聞こえてきた。そのうちにそれは明らかに「んンっ」や「はあッ」という息遣いに変化して、銀時の指も割れ目の更に奥へと伸びるのだった。
ヌルりとした体液が中指に絡まる、それが潤滑油となり指の動きも速くなる。
「あっ! はッ、はン……」
万事屋の室内は銀時の汗の臭いと神楽の女の臭いが混ざり合い、なんともまったりとした空気が淀んでいた。
ついに神楽は抵抗を全く止めてしまうと、銀時はそれを合図に神楽のパンツを脱がし、大きく片脚を開かせた。
「チャイナドレスってこんな事する為に出来てんだな」
銀時は自分の性器を当たり前のように露出させると、神楽の剥き出しになった尻に擦り付けた。そしてそのまま膣口まで滑らせると、先端をピトっとくっ付けた。
あとはこのまま一気に貫くだけだ。
神楽を貪り食う鬼はそんな事を心で呟くと――――――
「銀ちゃん?」
神楽の声にハッとした銀時は、古い床板の上に落ちた汗に目をやった。それは乾くことなくそこにあって、神楽はソファーからこちらを怪訝な顔つきで見ている。
激しい動悸に顔を歪めた銀時は、今まで見ていた光景が全て幻だったことを知る。
夏の暑さが見せた幻?
だが、妙な湿り気を下腹部に感じた。
「…………嘘だろ」
下着の中で銀時は射精していたのだ。年頃の少女の背後で立ったまま、溜め込んだ精液を垂れ流して…………どうもただの幻如きに性的快感を得たらしい。
「ガキかよ」
乾いた笑いが思わず出た。そんな銀時を見つめる神楽は、意味が分からないと言ったように首をかしげていた。
「銀ちゃん汗だくアル。お風呂入ったら」
「ああ、そうするわ」
銀時の瞳に映る神楽は、色気もなく子供じみた表情をしているが、やはり隠せない体の成長が雄を誘う香りを放っていた。
じきに来る。蛹から蝶へと変わる羽化の季節が。その時、銀時は自分を抑えることが出来ないような、そんな気がしていた。今はまだ妄想で耐えしのいでいるが、あのソファーに寝転んでいるのが大人へと成長した神楽だったら――――?
銀時は風呂場へ着くと、そんな神楽を妄想しながら汚れた性器をただひたすら弄るのだった。
2015/05/14
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