※桂×神楽さん


アニマルプレイ/桂神※

 

 

 

 その日、江戸の町に人知れず奇妙な天人が観光に訪れていた。姿形は樹脂加工されたカナブンのようなのだが、こう見えても知能は人間並みで、しかし言語を持たない不思議な生物であった。種族間のコミュニケーションはどうしているのかと言えば、体を細かく振動させて音波を出し、その音波の送受信で会話のようなことを行っていた。

(ヤバい! 道に迷った! SOS!)

 一匹の天人がどうやら慣れない町に迷ってしまったようだ。同じツアーで来ていた仲間は既に集合場所へと戻っているのか、なかなかその音波も届かず少し焦りの色を浮かべていた。

 疲労困憊と言ったふうの天人は、とりあえず落ち着こうと、ある場所でその羽根を休めるのだった。




 江戸のかぶき町にある小さな公園。番傘を差している神楽はベンチに座り、のんびりと定春が走り回る姿を見ていた。そこに現れたのは黒い長髪をうざったく風になびかせる狂乱の貴公子・桂小太郎であった。

「定春くんも楽しそうに遊んでいるな。ホラ、エリザベスも行ってきなさい」

 すると桂の隣にいたエリザベスは“家族サービスしてきます! 桂さん”というプラカードを掲げると公園から出て行ってしまった。

「……リーダー、隣良いか?」

 その声に神楽は少しだけベンチの端へ移動すると、いいも悪いも何も答えずに定春を目に映していた。

「お前、テロリストの癖に昼間からよくこんなところに来られるアルな」

 すると桂は懐から鼻眼鏡を取り出して顔に掛けた。

「これなら真選組の連中にも気付かれまい」

 神楽は馬鹿だろと心の中で突っ込むだけにすると、傘をグッと天に掲げて背伸びをした。

 短い丈のチャイナドレス。それが更にせり上がると太ももが大胆にも露わになり、正面でボール遊びをしていたマセガキが青鼻ではなく鼻血を出した。きっと神楽の純白のパンツが見えたのだろう。しかし何も気付いていない神楽は軽く裾を引っ張ると桂を見つめた。

「そう言えばこないだ、銀ちゃんがお前の事すっごく怒ってたネ。何があったアルカ?」

「あぁ、アレか。アレは銀時が俺のからあげにレモンを勝手にかけるという愚行に出たのでな、代わりに俺も銀時の目玉焼きにソースをかけてやっただけだ」

 神楽は知っていた。銀時は目玉焼きには醤油派なのだ。マヨネーズでも塩コショウでもなく醤油をかけるのが拘りであったのだ。

「お前ら次元の低い争いばっかりしてるアルな。そんなんだから彼女も出来なくて………………えっ?」

 神楽は突然驚いた声を出すと慌てて辺りを見回した。妙な感覚に襲われたのだ。

 少々焦りの表情を浮かべる神楽に桂もおかしいと思ったのか、不思議そうにこちらを見つめていた。

「どうしたリーダー?」

 しかし神楽は首を振った。気のせいなのだろうか。今なにか擽ったさを感じたように思ったのだが、風が吹いただけなのかもしれない。 神楽は気にしないことにすると、途中でやめた話を再開した。

「お前も銀ちゃんも彼女の一人や二人作れず私とこうして昼間からつるんでるなんて、本当寂しいヤツらアルなぁ。新八にしたってそうアル…………ひゃッ!」

 だが、神楽はまたしても驚くと今度は素っ頓狂な声を上げた。

「さっきから一体、何事だ?」

 気のせいだと思っていたのだが二回も続くと疑い始める。体に異変を感じるのだ。まるで誰かに撫でられているような……しかし桂を見るもその手はずっと胸の前で組まれたままである。では、この妙な感触は何なのか。神楽は黙ったまま自分の下腹部を見下ろした。今は何も感じない。だが、先ほど二回もこの短いスカートの下――――――パンツの中に違和感を覚えたのだ。異物感と僅かな振動。確認してみようかと思ったが、場所が場所なだけにここでは無理である。神楽は我慢できず、公衆トイレに行って確かめてみようとベンチから立ち上がった。

「ちょっとトイレ……んッ、くッ!」

 その瞬間、間違いなく体を刺激する“何か”に神楽は変な声を出してしまった。パンツの中で何かがヴヴヴヴと震えているのだ。初めて襲われる感覚に神楽は膝の力が抜けてベンチに尻をついてしまった。

「気分でも悪いのか?」

 神楽は桂の問いに赤く染まる頬で首を振るも、未知の刺激に不安と恐怖が入り混じっていた。

 体を刺激するもの正体とは……だが、それを考えようにも思考が停止してしまう。振動がパンツの中で固くなったクリトリスにソフトに当たっており、神楽はその刺激に快感を覚えてしまったのだ。正体不明の謎の振動にも拘らず、神楽は不安と恐怖を押し退けて興奮してしまった。呼吸も心なしか浅くなる。だが、こんな昼間の公園で性的興奮しているなど破廉恥にも程がある。神楽は悟られないように普通に振舞おうと桂に話し掛けようとした。

「もしかしたらッ、今朝食べた……んんッ、アレが……あ、ダメっ」

 しかしこの有様である。程よくソフトに送られ続ける振動。神楽は指を軽く口に咥えると声を必死に我慢しようとした。だが、目は閉じられ快感に酔いしれているのは隠しようがない。そのせいか桂も青い顔をしていた。

「リ、リーダー……とりあえずトイレに行って来た方がいいだろう。俺の肩を貸そう」

 そう言って鼻眼鏡を投げ捨てた桂が神楽の肩を担ぐと、神楽は力の入らない膝で何とか立ち上がった。だが、ダメだ。体は“快感を得る”以外を受け付けない。神楽は桂の胸へ雪崩れ込むと着物を強く鷲掴んだ。

「今は待ってヨ……あ、んッ……!!」

 知識はあったが経験はしたことがなかった。友達との話で自慰行為について話題に上ることはあったが、わざわざ考えたことはない。どんなことよりも万事屋の仕事とご飯が大好きで、それ意外に素敵なことがあるとは思いもしなかったのだ。なのに、どうだろうか。パンツの中で震える何かが自分を支配して、他に何も考えさせてはくれない。自分は一体どうなってしまうんだろう。神楽は桂に掴まりながら押し寄せる快感に身悶えしていた。

「ヅラぁ、運んで……トイレ……」

 神楽はようやくその言葉を吐き出すと、桂は言われるがまま神楽を抱えて公衆トイレへと向かうのだった。そして狭い個室に神楽と桂の二人が入ると、一変して喧騒から遠く離れた別世界となった。神楽の息遣い、甘い声。それが確実に桂の耳へと飛び込む。

「リ、リーダー!?」

 だが神楽はそれに答えることが出来ない。桂に抱きかかえられたまま酔いしれているのだ。恥ずかしい声を出しているのは分かっている。それにパンツの中が濡れていることや、もうすぐ絶頂に達することも。神楽はこれが前に銀時の隠し持っていたAVで観た“イく”と言うことなのかと知るのだった。

「……イく、イっちゃうアルッッ!!!」

 神楽の可愛い声が桂の額に汗を滲ませると、桂は慌てて神楽を便座に座らせた。

「俺は目を閉じてるから早く出してしまえ!」

 桂は神楽が漏らしてしまうと思ったのかそう言うと、顔を両手で覆ったのだった。そんな姿に神楽はすっかり安心しきってしまい、便座に座ったまま下着を足首までずり下げると――――――背中を仰け反らせ、絶頂に達したのだった。

「……あンッ! イく!!」

 その瞬間、神楽の膣口付近から何かが飛び出して行くようにも見えたが、既にその姿はなく、結局神楽は振動の正体を知ることなく果ててしまった。

 だが、これで終わらない。神楽はまだ息も絶え絶えであったが、火照る体に今の自分が何を求めているのか……幼い性知識でもそれは分かった。何故なら体は十分に大人なのだ。

 神楽はパンツを足首に引っ掛けたままフラフラと立ち上がると、顔を両手で覆っている桂に掴まった。

「もう……こんな姿見られた以上……簡単には帰せないアル……」

「リ、リーダー!? な、なにをするッ!」

 神楽は躊躇うことなく桂の股間に手を伸ばすと、既に固く主張している膨らみに手を添えた。

「お前、私に興奮したアルナ? なんかよく分からんアルけど、私これが欲しいアル」

 赤い頬で興奮冷めやらぬ神楽は、桂の下腹部を着物の上から擦り上げると桂にねだるような瞳を向けた。桂の頬も既に赤く、呼吸は浅いものへと変化していた。桂自身も最早、無事で帰れるとは思っていないようである。

「な、何故こんな事になった? 悪いものでも食べたか!?」

 神楽は桂の着物の奥へ手を滑らせると、下着の上から男性器と思われる塊を擦った。

「そんなの……こっちが聞きたいアル。なんでこんな事になってるアルカ?」

 そうやって神楽が桂を茶化すように笑うと、白い手の中にあるそれは増々強度を増した。もっとイジメてくれと言わんばかりに……

 遂に神楽は桂の下着の中へ手を滑り込ませると、熱い塊を直に握った。どうやれば良いかなど本能が知っているのだ。神楽は桂に潤む瞳と甘い声を存分に注ぎ込むと、可愛らしい声で言ったのだった。

「……お前のコレ、私に頂戴ヨ」

 血走る桂の目。それは拒否するべきかどうかを悩んでいるものに見えた。何故なら彼は良識ある大人だ。昼間から少女と公衆トイレで猥褻行為など……

「私が知らないとでも思ってるアルカ? お前は女装したり、おっさん飼ったり……とんでもないド変態アル。今更ここで私とくっついたからって、どうって事ないアル」

 神楽は桂を上手いこと言ってそそのかすと、そっと背伸びをして桂の頬に唇を付けた。右手の卑猥な動きと反する純情なキス。桂はそんなギャップに卒倒しそうになったのか、神楽の肩を掴むと壁に押し付けた。そして、左足を神楽に抱えさせると桂は顔を歪ませながら、神楽の中へと沈むのだった。

「んッ……すごいアル、どうしよう……」

 神楽は桂の肉棒に膣内を占領されると、そのあまりの圧に弱音を吐きそうであった。だが、もう何を言っても遅いのだ。根元まで打ち込まれた男性器に、神楽の顔は男を興奮させる女のものへと変貌を遂げたのだった。

「リーダー……誰にも言うな……」

 言えるわけない。神楽はそう思いながらも、誰かに話してしまいたいくらい気持ちのよい行為に首を縦に振るのが精一杯であった。先程の振動の比ではないのだ。桂の腰が打ち付けられる度に体がブルッと震え、すぐにでも昇天してしまいそうなのだ。神楽は桂にしがみついてしまうと、いやいやと首を今度は左右に振った。

「そんなにしちゃ……駄目アル!」

「無理を言うな!」

 そもそも神楽がこの状況を自ら作ったのだ。何をされても桂を責める事は許されない。

 神楽は壁に手をつかされると、今度は後背位から挿入された。そう、通称立ちバックだ。それはかつてこの地球上を支配していた獣のように、荒々しく狂ったような交わりであった。

「あンッ! ハッ……ハァ……」

 狭い個室内は二人の熱い吐息と生々しい濡れた肉がぶつかる音、そして人間らしい咆哮で溢れていた。桂の性器が神楽の膣内に入り、そして出る。ただそれだけの事なのだが、神楽は何も考える事が出来ないくらいに真っ白になっていた。ここがどこだとか、相手が誰だとか、この後のこととか……

「気持ちいアル! もっと頂戴ヨ! 奥までッ、奥まで欲しいアル!」

「言われるまでもない!」

 桂は髪を振り乱しながら細い腰を掴み激しく腰を打ち付けると、神楽が啼き声を上げながら膝を震わせた。

 壊してヨ………………

 神楽はそんな事だけを考えてただ快感に酔いしれた。口からは涎が流れ落ち、とろける表情はまさにメスである。

「またイッちゃうアル! おかしくなっちゃうネ!」

 グジュグジュと神楽の膣から溢れでた愛液が、桂の肉棒で激しく泡立てられる。桂もそろそろ限界なのか、絡みつく神楽の膣に表情を大きく崩すと細い腰を強く引き寄せた。

「奥に膣内射精(だ)すぞッッ!」

 神楽は腹の中に注ぎ込まれる熱い精液に何度目かの絶頂を迎えた。軽く白目を剥き、膣内は痙攣を起こしている。脳内には注ぎ込まれた白濁液のせいか真っ白で、他には何も考えられなくなっていた。

「リーダー……す、すまない」

 引きぬかれた桂のペニスに導かれるように、膣内から精液が流れ出る。それがドロっとトイレの床に落ちれば、神楽の意識は引き戻された。

「さ、最悪アル! お前、中に出したアルカ!」

 神楽は桂に飛びかかると涙目で胸ぐらを掴んだ。しかし、自分が誘って貪り食ったのだ。桂だけを責めることは出来ない。それは分かってはいたが、初めての性交で更に中出しをキメられるなど思いもしてなかったのだ。

「腹立つけど、気持よかったから……フンっ、今回だけは特別ネ」

「…………リーダー」

 桂の頬がやや赤く染まる。それを見ている神楽も桂に何か特別な感情を抱いたかのような甘い顔になる。今までとは違う、明らかに一歩も二歩も関係が進んだような空気が漂っていた。

「あ、えと…………も、もし、もしもの話ネ……」

 神楽はゆっくりと桂に顔を近づけた。熱い眼差しと瑞々しい唇が桂に差し迫る。桂もそれを受け入れる準備をすると、神楽がゆっくり言葉を紡いだ。

「もし、また……したくなったら…………お前の使わせろヨ……」

 桂が分かりやすく頬を染めて、照れたような表情をする。

「そんなに気に入ったか。俺も久々だったぞ。こんなに乱れ狂ったのは」

 そんな二人が唇を重ねようとした時だった。

「終わるの待ってやったんだ。そこからは二人仲良く檻の中で盛ってなァ」

 トイレのドア上部から聞こえた声。神楽と桂が見上げれば、ブチ切れている真選組の沖田の姿がそこにはあった。

「それとも公開種付ショーでもやってもらうかねィ」

「ぎゃああああああ!」

 神楽と桂はドアをぶち破ってトイレから出ると、沖田にしばらく追い回されるのだった。


2015/06/29