リクエスト::R-18・銀神・処女じゃないと勘違いした銀時が、神楽にひどく当たるプレイ・中出し

※一応、16歳くらい(2年後)の神楽さんです。


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さくらんぼ/銀神:01

 

 パチンコ屋から肩を落として出て来た銀時は、ふと向こうの通りを歩く紫の番傘が目に入った。目の覚めるような赤いチャイナドレスに、透き通るような白い肌。銀時はそれが誰なのか一目で分かった。数年前から同居している神楽であった。

 ちょっと慰めてもらうか。

 そんな甘い考えの銀時は神楽に駆け寄ろうとして、神楽の隣に並んで歩く男がいる事に気が付いた。

 誰だアレ?

 新八でもない、知り合いでもない、全く見たことのない男。少し長めの黒髪に、新八のものより小洒落た眼鏡を掛け、神楽より頭一つ分高い身長とそこに乗っかる顔は――まァ、少々腹が立つ程の整った顔であった。

 その男と神楽が仲睦まじく歩いている。やけに眩しく見える笑顔がその男だけに向き、突っ立っている銀時に気付く様子はなかった。

 まさか、デートか?

 前にも一度神楽の恋人騒動があったが、その時も“デートくらいしても良い”などと言っていた。神楽の中でデートと言うものは、ただ一緒に町を歩いて、笑い合うくらいの認識かも知れないが、銀時はそんな生温いもんじゃねーだろと顔をしかめていた。

 どんなに人の良さそうに見える隣のあの男も、内心はいつ神楽をものにしようかとその隙を窺っているに違いない。デートなどハンティングであり、男など獣であるのだ。

銀時は神楽の隣で微笑んでいる男に唾を吐き捨てたくなった。

 ウチの可愛い神楽ちゃんに指一本でも触れてみろ。ハゲ親父がお前の髪をサハラ砂漠に変えに来るからな!

 銀時はそんな事を思いながら、遠退いて行く神楽達に背を向けたのだった。

 

 

 

 その日、夕方を過ぎても夜を回っても、神楽が戻る事はなかった。あまりにも落ち着きのない銀時に傍観耐え兼ねたのか、新八は溜息を吐くとお茶を汲んだ。

「さっきからウロウロと何なんですか? お茶でも飲んで少しは落ち着いて下さいよ」

 呆れた物言いの新八に銀時は苛立つも喉が渇いており、黙ってソファーに座ったのだった。

 冷たい麦茶。それが喉に流れ込んで潤したかと思えば、また直ぐに喉が渇く。きっとこれは神楽が戻るまで続くのだろう。

 空になったグラスをテーブルに置くと、銀時はソファーに踏ん反り返って天井を仰いだ。胸が掻き毟られるのだ。今頃、神楽はどこで何をしているのか。だが、だいたい察しはついている。デートの後に男女がどうなるかくらい……

 それが銀時の胸を締め付けると、気分を暗い谷底へと沈めてしまった。

 何と無くではあるのだが、神楽は自分に恋心を抱いているように思えて仕方がなかった。昔はそんな事もなかったのだが、最近は男として意識されている事にも薄っすらと気が付いていた。それが銀時の思い込みだと言われればそれまでだが、神楽の時折見せる照れた表情や熱を帯びた眼差しがそう思わさざるを得ないのだ。

 それに対して悪い気はしなかった。だが、だからと言って関係を進ませるつもりもない。何故なら銀時は神楽の保護者であるからだ。保護する立場の人間が、愛しいからと手を出すことは許されない。

 損な役回りだな。

 自ら志願したわけでもなんでも無い。それなのに世間からも“保護者”と言う大層なレッテルを貼られ、銀時はいつしか自分の気持ちを抑え込むことだけを考えていた。

 燃え上がることの許されない恋。そんなものなら早々と手離して捨ててしまいたい。だが、神楽は自分の隣――見える場所で大人へと成長していく。本当に“保護者”であれば手放しで喜べるのだろうが、素直に喜ぶことの出来ない銀時には、心をすり潰す苦行でしかないのだった。

「そう言えば銀さん、神楽ちゃんの事ですけど」

 新八が帰り支度をしながら銀時に話しかけた。それを銀時は天井を眺めたまま何と無く耳に入れた。

「先週からずっと一人で依頼を受けてるみたいですね」

「あー、そう」

 だから今日一緒に居た男が依頼人とは限らない。ましてやこの時間になっても帰らないなど。

「そうなると万事屋の稼ぎ頭は神楽ちゃんって事になりますよね。僕も負けていられないなぁ」

 呑気な新八の口調に軽く苛立った銀時は頭を雑に掻き毟ると、ソファーにきっちり座り直した。

「まぁ、何やって稼いでるか知らねぇけど、アイツはまだガキだよ」

 不安を払拭するように言った。

 でも、分かってはいる。それが願望だと言うことは。

「そうですか? でも、銀さんの元から巣立つ日は、まだまだ遠そうですよね」

 そうだと良いけどな。

 そんな言葉を飲み込んだ銀時は、帰り支度の済んだ新八と挨拶を交わすとソファーへと倒れ込んだ。

 巣立つ日はまだまだ遠い? なわけねーだろ。

 いくら神楽がこの万事屋を気に入っていても、惚れた男が出来てしまえば大事なものの順序は変わる。一番は万事屋で――なんて言うのはもう終わりなんだろうか?

 結局、神楽は銀時が寝る頃までに帰って来ることはなかった。寝間着に着替えた銀時は、なんでも無い表情で布団に入ると、今までが赤の他人に期待し過ぎだったのだと自分を嗤った。

 しかし、腹の底からふつふつと湧き上がる想いが神楽への執着を表していた。震えるような怒りと苛立ち。思い通りにならない現状に、銀時は奥歯を強く噛み締めたのだった。

 

 

 

 真夜中。ふと目を覚ました銀時は、近くに人の気配がある事に気が付いた。居間の明かりが開いた襖から漏れて寝室が僅かに明るい。

 神楽か?

 天井をぼんやり見つめていた銀時は、直ぐ脇でこちらを覗き込む神楽の白い顔に気が付いた。だが、神楽は銀時が起きた事に気付いてないのか、何かを喋りながら銀時の髪を撫でていた。

「銀ちゃん、ごめんネ」

 何に対して謝っているのか。遅くなったことか? それとも――

 その言葉を聞いた銀時はあまり良い気分にはなれなかった。

 しかし、次の瞬間には何も考えられなくなってしまい、ただ激しい動揺だけが銀時を包んだ。

 何が起こったのか。それが分かるまでにそう時間は掛からなかった。突然、神楽が銀時へとキスをしたのだ。桜色に染まった瑞々しい唇を押し付けて。

 か、神楽!?

 驚きのあまり動けずにいると、触れていた唇を吸われ、侵入してきた熱い舌が銀時の歯を撫でた。

「んッッ!」

 銀時は思わず神楽の肩を突き飛ばすと体を起こした。胸が苦しい。胸の内側を何度も何度も拳で殴られているようだ。

「お前、何して……」

「ごめんアル、本当にごめん」

 壁際へ吹っ飛んだ神楽は、目に涙を溜めながら銀時を見つめていた。

 しかし銀時は声を掛けることが出来ず、あまりに突然のことでパニックに陥っていた。

 なんで神楽はキスをしたのか? なんであんなに慣れていたのか?

 神楽はきっとキスくらい、誰とでもするのだろう。あの体を使って依頼人をそそのかして――それなら納得がいく。

 惚れている女とキスをしたのにも拘らず、気分は最悪であった。

 もう神楽は自分の知ってる神楽とは違うのだ。それが銀時を縛り付けていた鎖を壊した。

 銀時は壁際でへたり込んでいる神楽の元へ行くと、腕を引っ張り布団の上へ放り投げた。

「ぎ、銀ちゃん?」

「なんだよ? 自分からキスしといて、今更逃げ出すつもりじゃねぇだろーな?」

 そう言って銀時は神楽を仰向けにして組み敷くと、神楽の濡れた唇へ今までの想いを全て込めて、乱暴に重ねたのだった。

 本望ではない。こんな口づけなど。

 だが、銀時は神楽の都合など気にもせずにその唇を――誰かの唾液で既に汚れてしまった唇を無我夢中で吸った。

 大切にして来た神楽。それを己の手で壊していく。その行為の虚しさに銀時は泣き出しそうな気分であった。しかしその想いに反して、悲しいくらいに体は悦んでいるのだ。

 銀時は抑えることが出来ず、チャイナドレスを押し上げる神楽の乳房を乱暴に鷲掴んだ。そして激しく揉みしだくと、神楽が媚びるような甘い声で鳴いた。

「あっ……」

 腹が立つ。

 それが更に銀時の手の動きを加速させると、ついにチャイナドレスのホックが外され、剥かれるように神楽は肌を晒す。しかし、嫌がることもなく銀時に良いようにされた。それが期待通りではあるのだが、手垢にまみれた体だと思うと銀時はやるせなかった。

 どうせ他の野郎に埋もれるなら、ここまで溜めに溜めた己の欲を満たしてやる。

 銀時は神楽の唇から離れると、若い肌に唾を飲んだ。乱れたチャイナドレスの開口部から溢れ出す肉体。ずっと妄想の中で陵辱した丸みを帯びた乳房を、銀時はその手に取った。想像通りに少しも違う事なく柔らかい。それを強めに揉みしだけば、誘うように紅潮した頬で神楽が言った。

「銀ちゃん」

 吐息交じりに呼ばれる自分の名。身震いをする程に官能的であった。銀時は堪らず神楽の乳房にしゃぶりつくと、全てを忘れてしまおうと行為に没頭した。

 少しでも神楽が嫌がってくれたなら、まだ救いがあった。なのに、神楽は銀時から受ける刺激に声を漏らし、その体を火照らせている。そんな神楽が嫌いで仕方がないのに、欲しくて欲しくて堪らない。今すぐにでも擦り合いたいのだ。

 銀時は神楽の体から離れると、膝立ちして寝間着のズボンを下げた。そしてパンツまで下げてしまうと、神楽の腹に跨って熱く熟れた男根を乳房で挟ませた。

「な、なにするアルカ!」

「ふーん、これはやった事ねぇの? ンな乳してんのに勿体無えな」

 そう言って銀時は神楽の乳房で挟んだ肉棒を擦らせると、パンパンに腫れ上がった亀頭を神楽の口内へと突っ込んだ。そして、神楽の粘膜に擦り付けると体の中心が浮き上がるような不思議な感覚に包まれた。

 あー……やべェ。

 気持ち良いのに泣きたくて、泣きたいから気持ち良いのか。もうワケが分からない状態だった。

 銀時は神楽の頭を両手で掴んで激しく振らすと、喉元まで乱暴に突きまくった。これで神楽に嫌われるだとか、自分までも嫌いになるとか、そんな事は考えずにただ快楽を得る為に行為に没頭した。

「神楽ちゃん、上手いわ。本当上手くて腹立つわ」

 このまま中に突っ込んだまま、喉の奥に射精してしまおうかと思ったが、やはりここで終わりにしたくないと、銀時は神楽の口から引っこ抜いた。すると、咽て涙目の神楽が銀時を力ない瞳で見た。

「銀ちゃん? やっぱり怒ってるアルか?」

 その問いに銀時は口元だけで微笑むと、神楽のパンツを脱がしにかかった。

「別に怒っちゃいねーよ。てめぇに後ろめたい事があるから、そう思うんじゃねぇの?」

 神楽の瞳が一瞬揺れて、それに自分の中の熱が引いていくのを感じると、銀時はとうとう光を失ってしまった。ついでにそれが銀時から神楽への遠慮までをも奪い去ると、躊躇うことなく神楽の股を大きく開かせてしまったのだった。

 


 

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さくらんぼ/銀神:02

 

「い、いやッ! 待ってヨ! 銀ちゃん!」

 そうは言うが、神楽の割れ目からは既に愛液が溢れ出し、トロリと腿へ伝っている。

「何を待つの? カレシにでも許可取ってくるか? でも、なんて説明するよ?」

「カレシ? なんの話っ……あぁっ!」

 銀時は神楽の中へ指を挿れると、適当に掻き回した。それだけで神楽の秘部から蜜が溢れ出る。まるで蝶を誘う花のようだ。すっかり魅せられた銀時は、喉が鳴り唾を飲み込む。

 今直ぐにでも味わってしまいたい。

 銀時は神楽の中から指を引き抜くと、神楽に覆い被さって破裂しそうな肉棒を神楽の下腹部へと宛てがった。

「挿れちゃうアルか?」

 神楽のだらしない表情と熱い吐息。それが背中を押す。

 早くハメちまえよ。

 そう囁く声が聞こえて、自分もそのつもりだと思っているのに胸がチクリと僅かに痛む。挿れてしまえば、もう後に退く事は出来ない。昔に戻る事は不可能である。その事実が銀時を揺らしていた。

 このまま挿れてしまって本当に良いのか?

「ぎんっ、ちゃん?」

 息も絶え絶えに神楽が名前を呼んだ。きっと昨日までならそれが抑止力となったのだろうが、今日はもう無理であった。昼間の男の顔が浮かぶのだ。

 あの野郎の名前もそんな顔で呼んだのか?

 銀時は神楽の事を冷めた表情で見下ろすともう良いやと、腰を掴んで一気に貫いたのだった。

「いっ、痛いッ!」

 その声を銀時は無視した。どうせ演技なのだ。あんなに濡らしていながら痛いワケがない。

 銀時は神楽の温かさに脳が溶けそうになるも、我武者羅に腰を打ち付けた。思わず情けないが声が漏れる。

「くっ……あぁッ!」

 汗がポタリポタリと神楽に落ちれば、濡れた柔肌がいたずらに欲情を煽る。見えている神楽の顔も恍惚としていて堪らない。淫らに揺れる乳房と甘美な声。それらが銀時の全身に絡みつくと、悦びを引き連れてやって来た。

しかし、胸の中は闇に染まる。

「……ああっ! あんっ!」

「ンな声出すなよ! なんでお前っ……」

 銀時は片手で神楽の口を押さえると、泣き出しそうな顔で腰を動かし続けた。

 勘違いをさせる。自分だけが求められてると錯覚する。本当は神楽の愛などあちらこちらにばら撒かれていて、どこぞの男に開発された身が銀時の体へ快感を与えていると言うのに。

 それがすごく悲しくて、痛い程やるせない。

「なんでお前、俺じゃねぇんだよ。なぁオイ!」

 銀時はそんな女々しい事を口にして嘆く自分を、正面から殴り付けてやりたい気分であった。

 

 淀んだ空気と生温い室温。神楽のくぐもった声が響いている。

「んふっ! うっ、んん」

 何かを喋っているような気もしたが、銀時は目を閉じると行為に集中した。神楽の中へ出たり入ったりを繰り返し、徐々に徐々に昇りつめる。

 神楽の口から手を離した銀時は、神楽と繋がったままその白い体をうつ伏せに寝かせると、今度は背後から獣のように荒々しく突いたのだった。

「あっ、やっ、駄目アルっ! 銀ちゃん! ねぇ!」

 しかし、もうこうなってしまったら、神楽の言葉など耳に入らない。

「それ……イっちゃうネ……銀ちゃんッ!」

 構ってられるか。

 自分の方こそイってしまいそうなのだ。

 射精したい。奥の方でブチまけたい。そうすれば手に入るような気がしていた。神楽の心から何から、望むもの全てが。

 銀時は神楽の背中にしがみ付くと、腰を振りながら耳元に口を寄せた。

「気持ち良いから、このまま出すわ」

 早くその中を自分で満たしてしまいたい。支配欲に独占欲。それらが銀時の思考を飲み込んだ。

 動きを止めた銀時は、神楽の奥の奥で一度大きく膨れ上がり加速すると、勢いよく飛び出て神楽の膣内へと流れ込んだ。神楽はその間中、体を軽く仰け反らせると、ビクビクと痙攣するような動きを見せていた。

 銀時はようやく全て残らず注ぎ切ると、神楽を離してゆっくり腰を引き抜いた。

 「お腹、熱いアル」

 目に入ってきた鮮血と白濁液。それが混じりながら神楽の体内からトロリと垂れ出た。銀時の体から熱が一気に引いて行く。

 ど、どういうことだよ?

 頭の中には疑問が浮かび、目の前でうつ伏せで転がってる神楽を、まるで恐ろしいものでも見るかのように見下ろしていた。

 まさか、神楽はまだこの体を誰にも許してなかったのか?

 銀時は布団の上に情けなく座り込むと、何も言わずにいる神楽へと声を掛けた。

「……お前、初めてだったのか?」

 今までとは別の意味で泣きたくなった。

「当たり前ダロ。銀ちゃんが初めてアル」

 銀時は項垂れると顔を歪めた。そして布団のシーツを強く握りしめた。

 馬鹿野郎!

 自分を心の中で叱責すると、その場に急いで土下座をした。

「許してくれとは言わねぇ。だけど詫びさせてくれ! 神楽、悪かった!」

 下半身など丸出しのまま、銀時は額を敷布団へと擦り付けた。こんな事をするくらいで許される行いでないことは、百も承知している。しかし、こうせずにはいられなかった。

 そんな銀時を虚ろな目に映して神楽は、乱れた髪と服を直すと少しダルそうにその場に起き上がった。

「シャレになんないくらい痛かったアル。だけど――」

 神楽はそう言ってズリズリと座ったままこちらへ来ると、銀時の頭を撫でた。

「銀ちゃんへの想いが溢れちゃって、我慢出来ずにキスしたのは私の方アル。何か起きることは……まァ覚悟してたネ」

 神楽の穏やかな声。紡ぎ出されたその言葉に、銀時は呆けた顔を上げたのだった。

 今、なんつった?

「お前、カレシ居るんじゃねぇの?」

 神楽は怒ったように険しい表情を作ると首を振った。

「いるわけないジャン! 何言ってるアルカ? さっきから」

 どうやら全ては――――もう何もかもが銀時の勘違いで、ただの思い込みであったのだ。銀時は土下座をやめると、慌てて神楽の両肩を掴み揺さぶった。

「じゃあ、あんなエロいキスどこで覚えたんだよ! しゃぶり方も、あの舌の動きは何だよ! あと、触ってもねぇのに挿れて欲しそうに濡らしやがって……抱かれ慣れてんじゃねぇのか!?」

 デリカシーの欠片もない銀時の言葉に、神楽は顔を真っ赤に染めると顔を下へと向けた。そして言いづらいのか口をモゴモゴ動かすと、小さな声で呟いたのだった。

「す、好きならアレくらい普通ダロ」

 その言葉に銀時は、TKOを食らってぶっ倒れた。

 あの甘美な声も淫らな表情も、いやらしい体も乱暴にされて我慢するのも全て、全て銀時の為であったのだ。

「何それ、お前ちょっと……マジか?」

 銀時は神楽の言葉に舞い上がりそうになるも自己嫌悪に陥ると、勝手な欲で純潔を奪った自分に吐き気がした。

 いたたまれずその場に顔を伏せてうずくまると、神楽が銀時の背中に手を置いた。

「情けないアルナ。人の体を抱いて気持ち良くなった癖に何アルカ? その態度」

 そう言ったかと思うと、神楽は強めに銀時の背中をぶっ叩いた。背骨が折れたかと思う程の痛み。だが、神楽の痛みと比べると――いや、比べるものではない。

 銀時は叩かれて、どこか目が覚めた気分だった。

「オマエはほんっと、ほんっと駄目だナ」

 そう言うと、神楽はうずくまっている銀時に背中から抱き付いた。それが銀時の心にしみて鼻の奥がツンと痛んだ。

 温かい。そして、背中に神楽の柔らかな体が当たって少しだけ照れくさい。

「あー……神楽ちゃん。本当悪かったわ」

 そう言って銀時は伏せていた体を起こすと、どんな顔をして良いか分からず、口を歪めて神楽を抱き締めた。

「んふふ、銀ちゃん!」

 嬉しそうに声を上げた神楽は、乱れたチャイナドレスまま銀時の背中に腕を回した。その瞬間に銀時は、胸の奥に広がる温もりに思わず笑みが零れた。

 どうして初めからこんな風に出来なかったのか。

「あーあ、くだらねェこと考える前に言っちまえば良かったわ」

「なにをアルカ?」

 ンなもん決まってんだろ。

 銀時は神楽の首元に隠れるように顔を埋めると、照れ臭いのか遠回しに言った。

「お前に……その……まぁ……心底惚れてるっつーか……そういう事だよ」

 嫉妬や疑念が銀時を黒く染め、神楽の純潔を奪う結果となってしまった。しかし、それはやはり間違いであったと今まさに銀時は痛感していた。愛しているのなら、優しく抱き締めるだけで良かったのだ。甘い言葉を囁いて。

「でも、私は抱かれたかったアル。どんな理由でも良いから銀ちゃんに奪われたいって、そう思ってたネ。ずっと」

 しかし思いの外、神楽の方が劣情を抱いており、銀時はストレートなそのセリフに冷汗をかいた。どうもゾクリと刺激するのだ。神楽の危なげな若い熱のせいで。

「だから、今度は優しくしてネ」

 その今度と言うのは、一体いつの話だろうか。

 すっかり銀時の体温は下がり切っていたのだが、先ほどの神楽の言葉が再び火を付けてしまったようだ。

「神楽、とりあえず風呂入らねぇ? 洗ってやるよ」

 そんな事を言って銀時は“今度”の機会を窺うと、神楽を抱えて風呂場へと向かったのだった。

 

2014/06/12


以下、あとがき。

リクエストありがとうございました。

好きだと言って下さる現実トリップの銀時よりも強く当たる感じに書いたのですが、

気に入ってもらえるか心配です。

神楽はそんな銀時を受け止めたり、受け入れたりする女の子だと思っていますので

銀時のなすがままにしてみました。

これがもし惚れていない男なら、怪力でぶっ飛ばすことだと思いますが。

……という感じで書いたのですが、面白いと思って読んでもらえると嬉しいです。