これは、愛じゃない

 

最後の夜

 

確かめる為に向かうのだ。沖田の元へ。

神楽はネオンが輝き始める夜のかぶき町を一人不安げな表情で歩いていた。

「お姉さん、もう今夜は飲むとこ決まってるの?」

そんな声も無視し、神楽は目指した。真選組屯所を。

 

あの後、こう考えたのだ。宇宙船での出来事が幻覚であった可能性もまだ残っていると。沖田に会って反応を見ればそれは分かるだろう。そしてもし幻覚だったとしたら――――――全てを忘れて銀時と生きていこうと思ったのだ。

屯所に着いた神楽は門番の男に沖田が居るかと尋ねた。

「ああ、あんた確か万事屋の……隊長なら、さっき副長に呼ばれて道場に行ったけど」

「そう、分かった」

沖田はここに確かに居るようなのだ。神楽は屯所の裏に回ると誰も居ない事を確認し、高い塀を乗り越えた。そして道場の方へ向かうと丁度土方と別れ一人になった沖田が居たのだ。きっと姿を見せれば全て分かるハズ。何を尋ねなくとも、全て。神楽は深呼吸すると震えそうになる心を奮い立たせ沖田へと声を掛けた。

「ちょっと良い?」

縁側から姿を見せた神楽は道場へと上がり込んだ。こちらを見ている沖田の目にはやや驚きの感情が見えていた。

「何しに来た」

面倒だと言う雰囲気と少しの好奇心。微塵も軽蔑や劣情と言ったものは見当たらない。それらを感じ取った神楽は軽く笑った。全て幻覚だったのだと。

「やっぱり良い。気のせいだったみたいだから」

神楽はそう言って長い髪を耳にかけた。そうして背を向けようとした時だった。沖田の右手の拳に気付いたのだ。皮膚がめくれ、赤く血が滲んでいることに。神楽は慌てて駆け寄るとその手を取った。

「これ……やっぱりあんたが穴を……」

すると沖田は急いで神楽から自分の手を取り上げると揺れる瞳でこちらを見ていた。

「ありゃ……夢じゃなかったってことか……?」

繋がった視線が震えていた。互いに探っているのだ。身に起きたことが真実であったのかを。それを確かめる方法はただひとつ。どちらともなく歩み寄ると……沖田は道場の壁へと神楽を押し付けた。

「ってことは……もう旦那とヤッたのかよ」

「あんたに関係ないでしょ……」

沖田は神楽の首筋に強く吸い付くと証をつけた。怒ってる。嫉妬? 神楽は確かめようとして沖田の顔を押し返すとそこで緋色の瞳に迫られた。ゆらゆらと揺れる炎のような目は高い熱量を放っている。

「てめぇは俺だけに抱かれてろ」

「どういう意味よ……私は銀ちゃんと……」

「それなら……なんで来たんだよ、なぁ」

冗談では済まない言葉。その目に嘘偽りがない事はもう証明されている。やや赤みがかった頬。やけどしそうな体温。沖田の苦しみが押し付けられた唇から神楽へと流れ込む。そのせいか胸が苦しい。苦味すら感じる。来てはいけなかったのだ。あれは幻覚だったと言い聞かせて忘れる事が沖田の為にも神楽の為にもなったのだから――――――しかし、もう全てが手遅れであった。

「わかんない……だってわかんないの。あんたの事とか、自分の気持ちとか。言葉がみつかんない」

すると沖田は目を細め、柔らかく微笑んだ。その顔に神楽は動悸を激しくすると照れてしまい思わずうつ向いた。

「軽い言葉で語れるようなもんじゃねーってことか」

誰にも形容する事の出来ない気持ち。沖田への想いはそう簡単に表現することの出来ないほど複雑で歪で……いつだって視界の端に居て、その癖存在感だけは立派で。大きいとは決して言えない存在だが、それでもずっと神楽の視界の中に居た。これは恋じゃない。ましてや――――――

「愛なんかじゃないから」

「そうだ、これは愛なんてもんじゃねぇ。そんな漢字一文字で表せるような簡単なもんじゃねぇ」

沖田の手に顎を掴まれた神楽はその顔を上げた。

「てめーの愛は旦那にくれてやる。だから、それ以上のもんを俺によこせ」

そう言った沖田に神楽は侵入を許した。誰が見ているかもわからぬ場所で舌を絡め、自ら沖田を求めるのだった。

 

これで最後。

神楽は沖田の部屋でそう心に決め、チャイナドレスを脱いでいた。先程、道場で沖田に自ら頼んだのだ。抱いて欲しいと。沖田はその言葉を受け入れた。これで最後だと言うことも含めて全部。沖田が何故断らなかったのか。その理由はもう分かっている。銀時から神楽を奪う為ではない。神楽の堕ちた姿に陶酔する為でもない。傷ついた沖田の拳が全てを物語っていた。

下着も道徳心も何もかもを脱ぎ捨てた神楽は、沖田へとその姿を晒した。そして静かに布団へ仰向けに倒れるとこちらに被さってきた沖田の頬へ手を伸ばした。

「あんたらしくない顔」

すると沖田は頬へと伸びている神楽の手に唇を落とした。

「俺の何を知ってんでィ」

その言葉に胸が震える。沖田の唇から伝わってくる感情は穏やかで温かく、そして悲しいものであった。

「……分かってんだろうな、これで最後だ」

ゆっくりと重なる二人の唇。そこに愛などない。しかし二人の舌も指も熱く深く絡まり、簡単には解けないほどに強く結ばれた。

「なんで、いつもみたいに……乱暴にしないの?」

「テメーこそ、発情したメス犬っぷりはどーした?」

体は既に火照り始め、沖田を見ているだけでも疼いてしまう。それなのに羞恥心はしっかりとあって、今までのような姿をそう簡単に見せたいと思えないのだ。沖田も同じなのだろう。妙な照れが二人を包み、どこかもどかしい。だが、沖田の手はゆっくりと神楽の乳房へと伸び、いやらしく指が動く。それを気持ちいいと思ってしまった神楽は腕で顔を隠すと沖田の愛撫に悶えるのだった。

「隠すな。こっち見ろ」

「いや……」

「最後くらい俺を見ろ」

その言葉に神楽は顔から腕を退かせると沖田をその目に映した。すると沖田は待っていたと言わんばかりに神楽に見せつけるようにいやらしく乳房をねぶり吸い付くと、神楽のさきっぽは沖田の涎にまみれ固く勃起していった。

「ぁ、う、はぁ……ぁ」

熱い吐息が漏れる。沖田を見ながら神楽は正直に感情をさらけ出した。潤む瞳は沖田を求めており、吐息は官能的な声と混じっており自らをも興奮させた。

「乱暴に、して……」

「エラソーに指図するな、黙ってろ」

「あんたこそうるさい……はァ、んっ……」

触れる唇は愛を注ぎ込むように神楽の唇を割って中へと入り込む。それを心地よいと思うことは罪なのだろうか。神楽は震える手を沖田の背中へ回すと二人は抱き合い深くもつれていった。しかし許されない事だとは知っている。だが知っている事と理解する事は別なのだ。

時間をかけて熱い口づけを交わすが、ここに愛はないのだ。それを何度も確認するように二人は裸で唇を奪い合った。

次第に沖田の手が神楽の下腹部へと伸びる。口の中で舌を絡めながら神楽は予感に身を震わせていた。しかしゆっくりと太ももを撫でるだけで沖田の手が神楽の割れ目へと触れられることはなく、それなのに既にグッショリと濡れていた。

「太ももに垂れる程濡らして、だらしねー女でィ」

それには顔を赤くするだけで神楽は何も答える事が出来なかった。銀時とではこうはならない。沖田だから。どんなに口では銀時を求めていても、体はすっかりと沖田を求める器となっていたのだ。

「欲しいなら、ちゃんと言え……これはテメーの言葉だろ?」

不敵に笑う沖田が何を望んでいるのか。神楽にはもう分かっていた。

「バカ言わないで……別に……」

すると突然沖田は神楽の固くなっている乳首を捻り上げた。

「ひゃぁあ!」

「正直に言わねーと、もう片方の下品な乳も同じ目に遭わせるけど良いんだな?」

痛みと快感。悔しいが神楽は沖田を跳ね飛ばす事は出来なくなっていた。抱いてと自ら頼んだのだ。そして心の底からいたぶって欲しいと望んでいる。神楽は唇をゆっくり開くと小さな声で言った。

「お願い……触って……」

しかし沖田は神楽の乳首を更に強くつねると首を横に振ったのだ。

「分かってんだろ?」

その言葉の意味。沖田の望むものと神楽の望むものはきっと同じなのだ。こんな偽りの姿では納得しない。神楽は深呼吸するとバクバクと心臓を高鳴らせながら自ら天井に向かって脚を大きく開いた。手を使って割れ目をパックリ開かせると中から愛液が絶えず流れ出ており、勃起したクリトリスがパンパンに膨らんでいた。

「お願い、早く何でもいいから突っ込んで……イかせて」

すると沖田は神楽から離れ何か手にして戻ってくると、神楽の情けない格好を眺めながら言った。

「旦那のきたねーもんが突っ込まれた穴なら、これで十分だろ」

「えっ?」

神楽は沖田が何を手にしているのかを知る前に膣穴へと太く硬いものが突っ込まれて――――――

「い、いやぁ! 中で、んッ、動いて……!」

「イかずに耐えられたら、テメーを抱いてやる」

沖田は神楽の膣穴へ極太の電動バイブを突っ込み、更にクリトリスに振動を与えるマッサージ機を押し付けた。神楽の全身の毛が逆立ち、今までに経験したことのない快感が襲いかかった。

「ぁああ、ああッ、んッ、やめでッッッ、ぇううッ!」

バイブを前後に大きく動かされる度に膣内の肉が絡みつき、逃がさないとでも言うように余すことなく快感を得ようと必死であった。

「なんで、旦那なんだよ……」

そう呟いた沖田の手は激しくバイブを動かし、神楽はシーツを強く掴んで必死に耐えた。

「イケって」

「い、いやぁ、んあ、はぁ、あッ」

「なんで耐えてんだよ、乱暴に突っ込まれるならテメーはなんだって良い……」

神楽はそこでシーツから手を離し、沖田の腕を掴んだ。

「あんたじゃなきゃ、いや」

沖田の手がそこで止まり、神楽の膣からバイブが抜けて布団に落ちた。

「なんでも良いわけじゃないんだから……あんたじゃなきゃ嫌だって言ってんの」

そこで沖田の顔が歪み、クシャっと手で自分の前髪を崩した。

「それなら、旦那と別れろよ」

愛などない。二人の関係には少しも愛情はないのだ。それなのになんて会話を交わしているのだろうか。

「じゃあ、奪ってよ……あんたの事しか考えられないようにして」

沖田は神楽の体に被さると口づけをし、そして体を押し付けた。既に沖田の肉棒も固く勃起しており、腫れ上がった亀頭が我慢汁で濡れ神楽の割れ目に引っ付けられた。

「身勝手な女だ」

「そういうあんたも同じでしょ」

沖田のさきっちょが神楽の中へと差し入れられる。ニュルっと穴を広げていき、そして僅かに押し入った所で沖田が腰を止めた。

「旦那には中出し許したのか?」

「それは……」

神楽は沖田から視線を逸らせると答えた。

「ゴムつけてたから」

「ってことは生でやらせてねーのか」

この体と生殖行為を行ったのは沖田だけだ。銀時とのセックスは生殖行為ではなかった。この違いは一体なんなのだろう。答えなんて分からなかったが、体はきっと知っているのだろう。その違いを。

「俺に孕まされたいってことか。いいだろう、テメーに俺の子産ませてやるよ」

そう言って沖田は神楽の奥深く目掛けて一気に肉棒を突き刺した。

「んっ、あああッ!」

神楽は体を弓のように仰け反らせると膣穴をキュっと閉めた。気持ちがいい。銀時との行為では得られなかった快感が全身を駆け巡る。

「旦那も、惨めだな……テメーの女が他人の種欲しがる淫乱じゃ」

その言葉に心臓が高鳴り、更に愛液が溢れ出す。

「い、淫乱じゃ、ないからッ」

「見てみろ、俺のこんなに深く咥えこんでんだろ」

結合部を見れば沖田のものを嬉しそうに咥え、悦んでいる膣穴がそこにはあった。

「はぁ、ん、気持ちいい……ぁ、ダメぇ、気持ちいい」

快感に酔いしれる。誰にも許されることのない関係であるが故にこんなにも感じるのだろうか。それとも相手が沖田だからなのか。神楽は体を揺らしながらただ繰り返しそんな事を考えていた。

「善がって啼いて、そこでもまだ否定すんのか?」

「そんな、ことっ、んっ、あはっ、ぁ、イク……!」

沖田の肉棒が擦れ、中で激しく神楽を刺激するとすぐに愛液を噴きながら神楽は絶頂を迎えてしまった。しかし余韻に浸る間もなく、絶えず突かれては繰り返し絶頂を迎えるのだった。

 

脱力し、力は入らない。神楽はうつ伏せで腰だけを上げながら沖田に背後から突かれていた。沖田も何度か射精し、神楽の膣内へと精液を注いでおり、神楽の愛液と混ざり合ってなんとも言えない音と匂いを漂わせていた。

「おぢんぽぉお、いいッ、またっ……イクぅ、うううう、うッ」

神楽はついに布団に倒れ込むと仰向けに寝転んだ。そのせいで一旦体は離れ、神楽の膣内からドロリと妙な体液が溢れ出す。すると沖田が被さって来て、そこに栓をするように再び肉棒が突っ込まれた。

「これで最後だ」

何度も出している筈なのにその肉棒は熱く固く反り返っており、神楽もまた何度も絶頂を迎えているにも関わらず咥えて離さなかった。しかし思考はもはやまともではなく、何かを考えられる余裕はなくなっていた。

「それ、しゅき、良いッ、もっとして!」

突かれる度に甘い声で沖田をそそのかし、神楽はギュっとしがみつくと本能のままに言葉を紡いだ。

「好きッ、ぁ、ああ、好きぃ」

「旦那よりもか?」

「好きッ、すきぃ、沖田ぁ、すきっ」

二人は唇を重ね、身も心も深く溶け合うとついに最後の瞬間を迎えるのだった。沖田の肉棒は最大限に膨張し、神楽の中で今にも暴発しそうに膨れ上がった。それがパンパンと卑猥な音を立てて神楽を突いており、唾液を絡めて激しく求め合う口づけの音なのかなんなのか、グチョグチョと生々しい音まで聞こえていた。

「あー……出る」

細い腰を掴み沖田が一心不乱に腰を動かす。神楽もつま先にまで力を入れて沖田にしがみつくと二人は一番深く繋がった状態で絶頂を迎えるのだった。熱い精液が神楽の中へと注ぎ込まれる。そしてこれが二人の最後の夜となるのだった。

 

服を着て身なりを整えた神楽は、背後で寝そべっている沖田にこう言われた。

「俺の子が出来てたら俺の勝ちだ。念のために旦那とも生でやっとけ」

なんてことを言う男なのだろうかと思っているが、今の神楽は沖田を攻められる立場にない。同じ穴のムジナ。

「それじゃあ……行くわ」

沖田はもう何も言わなかった。神楽も振り返ることはなかった。何食わぬ顔で万事屋へ帰り、何食わぬ顔でシャワーを浴び、何食わぬ顔で銀時の隣で眠った。沖田もきっと何食わぬ顔で翌日を迎える。そう信じる事が唯一神楽の罪悪感を消し去る方法だった。

 

 

銀時が得た10万円にはどんな価値があったのだろうか。神楽の薬指に光る指輪にはどんな効力があるのだろうか。それを眺めながら神楽は寝室の銀時の元へと向かった。今夜は銀時が嫌がっても中に出して貰わなければならないのだ。あれから2日。沖田の熱が徐々に消え始め、そろそろ現実を生きなければと神楽は思い始めていた。

「銀ちゃん」

神楽は寝室の襖を叩いて名前を呼ぶと銀時の声が聞こえた。

「……入れよ」

神楽は襖を開けて寝室の中へ入ると、布団の上に体を起こした銀時がギョッと驚いた顔を見せたのだ。それもそうだろう。今夜はどうにかして銀時と交わらなければいけないと神楽は下着姿でやって来たのだから。

「おいおいおい、マジかよ。ちょっと積極的すぎねぇ?」

「嫌だった?」

神楽がそう言って自分の体を抱くと、銀時は頭もポリポリ掻いた。

「……嫌とか、そう言うことはねーけど」

神楽は銀時の隣に同じように腰を下ろすと銀時の手を握りしめ、目を見ながら言った。

「私、早く……家族が欲しいの」

「本当か?」

銀時の顔がパァと明るくなる。その言葉に神楽は大きく頷くと銀時は神楽を強く抱きしめた。

「つうことは……そういうことだよな?」

「この格好見ても、まだそんな馬鹿なこと聞くの?」

銀時の生唾がゴクリと喉を流れる。

「だよな」

そう言って銀時が神楽へ覆いかぶさると、神楽の偽装工作の夜が始まるのだった。

 

「神楽、お前マジですげー濡れてんだけど……」

銀時が仰向けに寝る神楽の股ぐらに顔を埋めながらそう言った。

「銀ちゃんを欲しいって思ったら……こうなちゃっただけ……」

ただ単に沖田の言うところの淫乱なメス犬に成り下がり、開発されてしまっただけなのだろう。それでも銀時は何も知らず嬉しそうだ。

「だから、早く……銀ちゃんの……」

「でも良いのか?」

心配そうな銀時の顔がこちらを見下ろした。優しさを感じる。この気遣いは沖田にはないものだ。そうしてまだ沖田と銀時を比べている事に気がついた。もう沖田と会うことなどないと言うのに。

「いいよ……痛みなんて気にしないし、それに早く銀ちゃんとひとつになりたいから」

嘘に嘘を重ね、嘘に塗れている。それでもここには愛があるのだ。

「神楽。愛してる」

その言葉に神楽も目を細めて答える。

「愛してる」

そうして唇を重ねると同時に銀時が神楽の中へと入っていく。熱い。この間のゴム越しとは全く違って気持ちがいい。神楽はゆっくり息を吐くと鼻から甘い声を漏らした。

「ん、ふぅ、んっ」

銀時が神楽の中で大きく膨らむ。それに気づき神楽は抱きしめた銀時の耳元で囁いた。

「グチャグチャにして、銀ちゃん」

その言葉通りに銀時は神楽を激しく突くと神楽もすっかりとその身をとろけさせ、快感を得ているようであった。

「んはぁ、ああ! 銀ちゃん、もっと、ぁ、あ!」

「お前っ、なんでっ、あ、エロい、ぁ」

銀時は限界のようでイクともなんとも言わないまま神楽の中で射精をすると、ドロっと熱い精液を腹の中に感じた。これで目的は達成されたのだ。神楽は体を起こそうとして……銀時に抑えつけられた。

「銀ちゃん?」

「悪いな、神楽……けどもう少し……」

どうやらこれだけで満足出来なかったらしく、神楽の腰を掴むとまだ熱の冷めない肉棒で奥の奥までほじり始めた。

「待って、ぁ、銀ちゃん……んっ!」

銀時に突かれる度に比較してる。銀時に抱かれる度に沖田を思い出す。神楽は胸が苦しくて仕方がなかった。体に感じる刺激など心に感じる刺激に比べると随分と小さなものであった。テクニックも愛情も銀時の方がきっと何倍も上なのだが、神楽の心は沖田を待っていたのだ。メス犬やメス豚扱いされ、淫乱と罵られ、痛いくらい乱暴に愛撫されたい。完全なる沖田の性奴隷と化しているのだと神楽は痛感した。

「神楽、好きだ」

銀時の汗が頬に落ちる。しかしその言葉に答える事が出来ず神楽は目に涙を浮かべた。本当なら……あの治験を受けなければこの言葉に心から愛してると答えることが出来たのに。どうしても銀時を責める思いが生まれてしまう。どうしてあんな怪しい治験を受けたのか。

「神楽? 痛むのか?」

「ちがっ……」

本当はこんな温かく優しいセックスなどつまらないのだ。愛ある言葉よりも侮辱され、罵られたい。しかしそれを口に出せば銀時は離れていってしまうだろう。それだけは嫌であった。身勝手な女だと沖田に言われたが返す言葉もない。身勝手で淫乱でどうしようもないメス豚であった。

きっと近いうち再び沖田に会いに出向いてしまうだろう。だからその時はどうか自分を拒絶して欲しいと神楽は銀時の体の下でただ願うのだった。

 

2018/02/16